【インタビュー】Crack6、新作にALvinoとTMH4N'Sも参加「10thアニバーサリー二部作が完成した」

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MSTRこと千聖が率いるCrack6のミニアルバム『Crazy Monsters Parade』が6月18日にリリースされる。ソロプロジェクトスタートから10周年を記念したメモリアルアルバム『6 elements』からわずか半年という驚異のハイペースで送り出される本作にはCrack6主催のイベント<Crazy Monsters>でおなじみのALvinoのKOJIと潤、THE MICRO HEAD 4N’SのRickyとSHUNもゲストミュージシャンとして参加。PENICILLINのギタリストである千聖のボーカリストとして、ソングライターとしてのキャパシティの広さ、発想の豊かさを感じさせる振り切れた作品に仕上がった。信頼できるメンバーと共に創り上げたアルバムについて、楽曲制作エピソードを含め、ガッツリと全曲を語ってもらった。

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■タイトルが『Crazy Monsters Parade』になるのは必然だった
■今までは、ここまでイキきった歌を作ることに対する不安も

──ミニアルバム『Crazy Monsters Parade』はバリエーションに富んでいるのに1曲1曲がイキきっていてパワーがみなぎっていると思いました。前回のフルアルバム『6 elements』から半年も経っていないのに、このペースはすごいですね。

MSTR(千聖):Crack6が結成10周年イヤーということもあって、『6 elements』と今回の『Crazy Monsters Parade』は二部作のような感覚で考えていたんです。PENICILLINのツアーも間に挟んでいたので制作期間は短かったけど、寄せ集め的なものは作りたくないし、時間がないからといって妥協はしたくないから、今のCrack6が求めているものを作りましたね。

──タイトルが“Crazy Monsters Parade”になったいきさつというのは?

MSTR:このアルバムを作るにあたって、何曲かあったデモ曲の中で最初に採用された曲が「Crazy Monsters」という曲なんだけど、きっかけは去年、イベント<Crazy Monsters>を主催したり、ハロウィンパーティを企画したときに出演してもらったバンドメンバーと一緒にセッションできる曲がほしいっていうところから始まってるんです。だから今回のアルバムの初回盤に収録されているDVDと通常盤に収録されている「Crazy Monsters ~All Monsters ver.」にはRicky(THE MICRO HEAD 4N‘S)や潤くんとKOJIくん(ALvino)、SHUNくん(THE MICRO HEAD 4N’S)が参加してくれているんですね。そんないきさつもあって、タイトルが『Crazy Monsters Parade』になるのは必然だった。

──なるほど。前作はU6さん(Gt&CLEAN VOICE)が加入して初のアルバムだと思うんですけど、今回は今のメンバーでCrack6の音もガッツリ固まった感があるんじゃないかなと。

MSTR:制作に入って前半戦は、ぶっちゃけエンジンがあまりかからなくて、スタジオでメンバーとずーっとバカな話ばっかりしてたんですけど、そういう中で自然とコミニュケーションをとってたし、会話がアルバムのヒントになったりはしましたね。Crack6って各自がプレーヤーだけじゃなく、アレンジ等、自分である程度完成に持って行けてしまうメンバー……つまりはプロデューサー集団みたいなものなんですよ。だから、スタジオ作業もPCの前で「ここはこうしたらどうかな?」っていう意見が飛び交うこともあるし、ちょっと特殊な感じかもしれない。世代も違うし、影響を受けた音楽も全然違うんだけど、話し合いの中で「それは新しい!」と思ったら取り入れるし、ワイワイした雰囲気で作ってますね。

──ワイワイ言い合いながら音楽を作っている空気感は曲にも反映されてますよね。

MSTR:みんな違う角度から攻めてくるから、いろんな意見を整合させるのは大変ですけどね。最終的には俺とSHIGE ROCKS(Gt&Sound Producer)で判断させてもらうんだけど、その凸凹感をぶつけ合わせて作れたのは楽しかったですね。

──収録曲について、ぜひエピソードを教えてほしいんですが、まず、1曲目「Violet Eyes」はイントロでヒーリングミュージックかと思いきや、いきなりアクセルを全開で踏みこむようなギターサウンドに移行するナンバーですね。

MSTR:これはPENICILLINのツアーが終わって、やっと俺自身が作曲モードに入ってフル回転し始めた頃に作った曲ですね。ギターとか弾きまくったデモを持って行ったら、やっと(作曲に)エンジンかかって来たねって言われた(笑)。最初は頭のSEはなくて、曲の全部のアレンジまで決まり、さらにこの曲が1曲目になることが決まってから付け足したんです。SEに関しては、SHIGE ROCKSが弾いたピアノのフレーズを元にみんなでああでもないって作って、「南極物語」って呼んでた(笑)。「オーロラが見える感じしない?」「オーロラって北半球じゃなかったっけ」っていうくだらない話をしながら作りました。そこから加速していく展開の曲で、歌詞は……そうですね、悲恋をイメージして書きましたね。“灼熱の情念が 身を焦がすよ”ってフレーズが出てくるけど、情熱じゃなくて情念ですからね。どんだけ重いんだよっていう(笑)。その激しいエネルギーと激しい曲調とマッチングすればいいなと思って作った曲です。

──激しさとスピード感、美しいメロディが交錯するような構成ですよね。

MSTR:激しいジェラシーには、当然、寂しさや悲しさもつきまとうじゃないですか。怒りの感情と相反するように思えた悲しみや愛情は、実は背中合わせのものなので、この曲のメロディの緩急を感情で表したら悲恋の歌になったっていうイメージですね。あとVioletという言葉がフッと浮かんで来て使いたくなったんで、歌詞を共作している(大久保)英紀と、「紫の目に惑わされて、自分を見失うぐらい狂っていく人を描きたいね」って話合って作りました。まぁ、なんといっても、自分で“I am crazy!”って歌ってますからね。

──女性目線でここまで恋にのめりこむ心理を描いたのは初めてなんじゃないですか?

MSTR:初めてですね。今までは、ここまでイキきってる歌を作ることに対する抵抗というか、不安もあったし、自分があんまりドロドロしてないので(笑)。ただ、仕事となると、意外と粘るタイプなんですよ。まわりにも「しつこい」って言われるんですけど(笑)、そういう性格を恋愛に当てはめたから書けたのか、それとも全くのフィクションと割り切って書けたのか(笑)。でも書いてる時は、どんな感じに最終的になるんだろう?ってスリリングで面白かったです。ギターソロも狂気と悲しみが交差するようなイメージですね。

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