エントゥームド A.D.の最新作「みんなの好きなエントゥームドに666%忠実なアルバム」
スウェーデンのデス・メタルシーンで中心的存在であるエントゥームドが、新たなメンバー編成とともにエントゥームド A.D.名義で最新作『バック・トゥ・ザ・フロント』を8月6日に発売する事を発表した。
◆エントゥームド A.D.画像
エントゥームドはスウェーデンの首都ストックホルム出身のデス・メタル・バンドで、同郷のディスメンバーやカーネイジらと共に1980年代後半から90年代前半にかけてのデス・メタルのムーブメントの中心的役割を担った最重要バンドのひとつだ。
バンドの結成は1987年。ナイヒリスト(NIHILIST)として活動を開始したが、デモ・テープをレコーディングした後、エントゥームドに改名、そして1990年に英国のレーベル「イアーエイク」と契約してファースト・アルバム『レフト・ハンド・パス』をリリースした。翌1991年にはデス・メタルの傑作との誉れの高いセカンド・アルバム『クランデスタイン』を発表、世界中のメタル・マニアを大いに魅了した。サード・アルバム『ウルヴァリン・ブルーズ』以降はバンドにとってのルーツとして息づくパンク/ガレージ・ロックの要素も前面に打ち出すようになり音楽面での多様化を印象づけた。1997年リリースの4作目『DCLXVI:トゥ・ライド・シュート・ストレイト・スピーク・ザ・トゥルース』を最後に、バンドの結成メンバーの1人であるドラマーのニッケ・アンダーソン(へラコプターズ~現インペリアル・ステイト・エレクトリック)が脱退、それ以降は音楽的な面で様々な変遷を経ていくことになった。
2013年、L.G.ペトロフ(Vo)、アレックス・ヘリッド(G)、ニコ・エルグストランド(G)、ヴィクター・ブラント(B)、オーレ・ダールステット(Dr)という編成による通算10枚目の新作『バック・トゥ・フロント』がリリースされることがアナウンスされたものの、ほどなくして新たに契約した「センチュリー・メディア」が「予測不可能な技術的問題」を理由として翌2014年に発売を延期することを公表した。そして2014年1月、エントゥームドがエントゥームドA.D.と改名することを発表したが、その編成にアレックスは含まれておらず、彼はニュー・アルバムの制作にも関わっていないことも明らかとなった。
この件に関して、シンガーのL.G.は「今の段階では公に語りたくはない」としているが、感情面でアレックスと衝突したことは想像に難くない。なお、エントゥームドというバンド名はアレックス、L.G.、ウッフェ・セダールンド(ギター)、ニッケという4人が所有権を持っており、L.G.1人ではこの名前を使うことが出来なくなった模様だ。一方、アレックスは、ウッフェや元シンガーのオルヴァー・セフストロムと共に、この2月、『クランデスタイン』の全曲をシンフォニー・オーケストラとの共演で演奏するという特別なショウを行なったが、今回の分裂騒動については沈黙を保ったままだ。
L.G.、ニコ、ヴィクター、オーレの4人編成で制作した『バック・トゥ・ザ・フロント』について、L.G.は「みんなの好きなエントゥームドに666パーセント忠実なアルバムだ」と語っている。彼らは本作を発表後、エントゥームドA.D.の名前でライヴ活動を始めることになっている。
【メンバー】
L.G.ペトロフ(ヴォーカル)
ニコ・エルグストランド(ギター)
ヴィクター・ブラント(ベース)
オーレ・ダールステット(ドラムス)
『バック・トゥ・ザ・フロント』エントゥームド A.D.
CD VQCD-10392 ¥2,400+税
1.キル・トゥ・リヴ
2.ベドラム・アタック
3.パンデミック・レイジ
4.セカンド・トゥ・ノン
5.ベイト・アンド・ブリード
6.ウェイティング・フォー・デス
7.エターナル・ウォウ
8.ディギトゥス・メディウス
9.ヴァルチャー・アンド・ザ・トレイター
10.ジ・アンダーマイナー
11.ソルジャー・オブ・ノー・フォーチュン
12.ゴスペル・オブ・ザ・ホーンズ(日本盤限定ボーナストラック収録)
◆『バック・トゥ・ザ・フロント』エントゥームド A.D.オフィシャルサイト