【ライブレポート】THE ポッシボー、1年前の悔し涙を胸に、大阪で中野サンプラザ公演を報告
11月16日の中野サンプラザ単独公演に向けて、現在、JAPANツアー真っ最中のTHE ポッシボー。6月1日は13か所目となる江坂MUSEにて大阪公演を行なった。大阪といえば、彼女たち、そしてファンが過去に一度、悔し涙を流した街でもある。
◆<祝 THE ポッシボーJapanツアー2014 ~8年かかりましたわ~>大阪公演 画像(昼公演・夜公演)
2013年8月18日、americamura FANJ twiceにて行なわれた<THE ポッシボー 東名阪ライブツアー2013勝負 ~合計2222名動員でサンプラ押さえっ!!~>大阪公演。中野サンプラザの最大動員数となる2222人をこの東名阪ライブでクリアーできれば中野サンプラザに向けて会場を押さえるという、彼女たちとファンの夢がかかった同ツアーの最終日。残り動員数289人に対して、大阪公演の動員は、262人だった。発表の瞬間、会場からの大きなため息と「足りなかった……悔しい。」というロビンの涙。「ごめん!」「諦めんなよ!」というファンからの声、そして重い空気。「今日来てくれたみなさん、本当にありがとうございます。ギリギリまでわかんなかったんですけど、人生、難しいですね。」と、頭を下げた5人。そして、どこにもぶつけることができない感情から起こる大きなポッシボーコールの中での「電光石火 Baby!」の絶唱……。非情な現実を目の当たりにしたこの時、彼女たちのこれまでの勢いを失速させまいと、全国のどこよりも早く、誰よりも近い場所でTHE ポッシボーを奮い立たせたのは、ほかでもない大阪のファンだった。
そして、約1年の時を経て行なわれた今回の全国ツアー<祝 THE ポッシボーJapanツアー2014 ~8年かかりましたわ~>大阪公演。会場には、1年前の、あの場所にいたというファンも多数詰めかけたことだろう。衝撃的だった日の記憶をポッシボーの新しい歴史で上書きするため。中野サンプラザ公演開催決定の報告を受け、怒涛の展開が続く彼女たちの背中を再び押すために。
4月27日、恵比寿リキッドルームからスタートしたツアーもいよいよ折り返し地点。大阪公演は、昼・夜公演ともに、ほかのどの会場にも負けないくらいの熱い盛り上がりを見せた。
ファンファーレが鳴り響き、逆光の中、浮かび上がる5人のシルエット。「行くぜMUSE!!」と、ロビンのシャウトからの1曲目は、初日の恵比寿で初披露となった新曲「なんかすんごい事ができそーだぞーう!」。鳴子を片手にクラップで会場の気持ちをひとつに集めていく。さらに「全力で愛して…ねッ!」。バックバンドを引き連れての全国ツアーということで、リズム隊(ドラムとベース)が生み出すグルーヴが実に心地よい。実はこのふたりが彼女たちの所属事務所の取締役だなんて、THE ポッシボーのファン以外はきっと信じないだろう。
「ネットによると、今日はいろんな現場が被っている中、みなさん、ポッシボーに会いに来てくれて、ありがとうございます! 今日来てくれたみんなをとことん愛したいと思います!」と、ロビン。「ポッシボーで一番人気のごとぅーです! はいはい。言ったもん勝ちでしょ!」と、最年少・ごとぅー。「前髪をがっつり上げてるんですけど、私、汗がすごいから、このおでこで……みんなを跳ね返せるくらい楽しみたいと思います!」という、はしもんの挨拶には「どういうことですか?」とツッコミが入る。「どうしよう。珍しく緊張しているんですよ。この後、わかると思うんですけど、今日は乙女の私を見てください。」と、“総長”ではない乙女なあっきゃん。さらに、「このツアーが始まってから、汗の消費量がハンパないんですよ。今日も、今はちゃんとメイクしてますが、中盤戦になって、マスカラが落ちて、すっぴんのような顔になるから、今のうちに、このいい感じの顔を見納めしておいてください!」と、客席から途切れることのない笑いを獲得していくもろりん。そんな5人の、“アイドルらしからぬ”自己紹介。
ちなみに夜公演では、「ライブはハプニングが付きもの!」と、昼公演での“ハプニング(というか失敗)”をネタにするロビンがいたり、「今日最後なんで、最っ高の公演にして……終わったあといい酒飲むぞー!!」と、叫んだものの、即座にほかの4人から、「待て、後藤。飲めないだろ。一番飲めないだろ。」と総ツッコミを食らったごとぅーがいたり。「13公演目にして、やっと大阪にこれたわけですけど……13公演やってるんで、順調にパンツが緩くなってます!」と、ダイエット効果を発表するあっきゃんに対して、もろりんは「13公演目にして、やっと大阪にこれたわけですけど……いい感じにパンツがきつくなってます!」と、あっきゃんの挨拶に被せて、かつ笑いまでとっていくという、昼公演以上の緩い挨拶となったことを紹介しておく。そして同時に、本番はリハーサルでやった台本通りの言葉をそのまま口にする大体のアイドルグループの公演とは違い、彼女は、ほぼ定型文であるはずの最初の自己紹介ですらもアドリブというのが“アイドルらしからぬ”点であるということも、合わせて指摘しておく(どっちがいい、とか、どちらが優れているとかいう話ではないのだけど)。
「乙女! Be Ambitious!」「人生はパーリィー! だぁー!」など、ラストスパートのように飛ばす曲を序盤から並べた今回のツアー。昼公演でのあっきゃんを襲った緊張のもととなっていたのは「恋はダンシン!」に組み込まれたプロポーズコントだった。
曲、後半。後ろの人にも見えるように、前列のオーディエンスが一斉にその場にしゃがみ込んで、コントが始まる。ステージ上、スポットライトに浮かび上がる、男役のロビン(ロビ男)と腕を組んだあっきゃん。
あっきゃん:ねえねえ、『アナと雪の女王』おもしろかったねー。また行こうね。
ロビン:ああ。うん。
あっきゃん:ねえ、いつ行く? いつ行く? 今決めて、今。うん、じゃなくて今決めて!
ロビン:え……来週とか?
あっきゃん:来週? ホント? 絶対だよ! 絶対。やったぁー!
ちょっと“アレ気”な女の子を熱演するあっきゃんに、観客から苦笑する声が漏れる。
あっきゃん:ねえねえ、このあと、どうする?
ロビン:このあと? ……結婚しよっか。
あっきゃん:……うん。//////
そんなコントに笑いと冷やかしの声で大盛り上がりの会場。さらにロビンがあっきゃんにキスをして、「恥ずかしい!」と本気で照れる、とても乙女なあっきゃんである。ちなみに、夜公演の同コントはごとぅーとはしもんが担当。昼公演終了後から夜公演の開場時間までのわずかな時間には、ステージ上で、はしもんが立つ台を設置して、スタッフと熱心に位置を確認するごとぅーの姿があった。MCはぶっつけ本番のアドリブなのに、コントには入念な準備を行なうTHE ポッシボー。すごいんだかすごくないんだかよくわからない気もしなくもないが、いや、彼女たちはすごいのである。
“ポッシボーで一番人気”のごとぅーがラブリーさを存分に振りまく「Lovely Lovely」、ツアー中ということで、ホテルでの過ごし方や、「昔は(アメニティーを)持って帰ってた。でも今は使わない。」というもろりんの成長(?)をも知ることができたトークなどをはさんで、大阪の昼公演にはアップフロント関西所属の宮崎梨緒とYes Happy!からなるユニット・Lovelys!!!がゲストとして登場。「いつもだったらダメだけど、今日は許してあげよう。」と、ロビンOKのもと、彼女たちの「マドンナソング」では、会場のポッシボーファンが声を合わせて「愛してるぜー!」と声援を送って盛り上げた。
序盤からの攻めのセットリストは、中盤、後半になってもその勢いが衰えることがない。「風のうわさ(More うわさver)」を、女の情念すらまとって歌い上げるあっきゃん。開演前に楽屋へ挨拶に行った際、椅子の上にちょこんと体育座りして歯磨きしながら、もぐもぐと話しかけてきてくれた時の可愛さとはまったく違う姿である。
なお、夜公演ではこの後、1年前、悔し涙の発表の直後に歌われた曲でもある「電光石火 Baby!」へ。4カウントから熱を帯びるドラミング。客席から浴びせられる熱い歓声に応えるように、そして過去の光景を振りきるように、“狙った未来はこの手の中”と疾走していくTHE ポッシボー。沸き上がる感情を爆発させながら熱唱する姿。彼女たちはこの日、1年前とは違う、大阪のステージに立っていたのだった。
もろりんが腰に命をかける「Nasty!」からの「Do Me! Do!」のスリリングな展開。それは、恵比寿の初日と比べると、さらにパワフルにタイトになったバンドサウンドとメンバーのパフォーマンスを実感できる瞬間でもあった。13公演、1ヶ月ちょっとの期間で、「おっ」と思わず声を出してしまうくらいに進化したステージを披露するTHE ポッシボー。この全国ツアーが終了する時、11月16日のファイナル公演、中野サンプラザで彼女たちはどんなライブを見せてくれるのか。いやが上にも期待は高まるというものである。
地方公演では、ポッシボーがフロアに降りて、まさにファンと会場一体となって光り輝く「希望と青春のヒカリ」や、ライブの定番「さぁ来い!ハピネス!」で最後まで激しさを持続させる本編。そしてアンコールでは、これまたアイドルらしからぬアコースティックライブのコーナーが展開される。昼公演ではもろりんがメインボーカルで、モーニング娘。の「夢の中」と、こちらも普段はライブで客席側も燃える「永遠ファイアーボール」が落ち着いた雰囲気の中で披露される。緊張するもろりんと、それを見守る4人の姿を観ることができたはずだ。
そして特筆すべきは夜公演での同コーナー。初日にも披露された「私の魅力」に続いて、THE ポッシボーの歌姫・はしもんがソロで歌ったのは、中島みゆき「ファイト!」だった。
アーティストとしての輝かしい経歴は言うまでもなく、ラジオのパーソナリティーとしても、長きにわたって若者たちの心をつかみ、影響を与えてきた中島みゆき。「ファイト!」は、そんな彼女の番組に寄せられた、ある中卒の女の子からの手紙がきっかけになって生まれたと言われている。タイトルから応援歌だと思われがちなこの曲だが、歌詞で描かれているのは、どうにもならない、どうしようもない理不尽さを前に、それでも傷つきながら闘い続ける者たちの姿。そしてそんな者たちへ向けた強烈なメッセージ。凄みを利かせ、声を震わせながら歌い上げるはしもん。その圧倒的なボーカルに、客席は物音ひとつ立てることもできない。直立不動のままでじっと耳を傾け、歌声にただただ胸を打たれていた。
「この歌を歌えるアイドルは、橋本愛奈しかいないと思います。」と、直後に語ったロビン。確かに、歌唱力があればこの曲を歌えるかといえば、歌えないだろう。表現力があればいいかといえば、そうではないだろう。「ファイト!」を本当の意味で歌えるアイドル。それは、どん底の状態から、それでもがむしゃらに闘い続け、傷つきながら這い上がってきたTHE ポッシボーの、橋本愛奈しかいないのかもしれない。
歌い終わっても止むことがなかった彼女への大きな拍手も、それを物語っていた。
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