【ライブレポート】福山雅治、50万人動員 <WE’RE BROS.TOUR 2014 HUMAN>で体現した、人間が抱える深くて大きな愛
5年ぶりのリリースとなったオリジナルアルバム『HUMAN』を掲げて4月からスタートした、福山雅治にとって初の全国ドームツアー<WE’RE BROS.TOUR 2014 HUMAN>。50万人超を動員したこのツアーの中から、5月17日のさいたまスーパーアリーナ公演をレポートする。本人もMCで何度も伝えていたとおり、観客との距離がいちばん近い会場であり、さいたまスーパーアリーナ最大の動員数となる“スタジアムモード”で行われた。
◆福山雅治 <WE’RE BROS.TOUR 2014 HUMAN> 画像
この日、集まった観客は、来場者全員に配られたライトスティックをそれぞれ手にしながら、開演を楽しみに待っていた。照明が落ち、オープニングSEが流れ始めると、さっそく手元のライトが光りだす。それは会場を埋め尽くした3万人の存在を示すように、多くの青い光が散りばめられていた。
ステージ中央のスクリーンには“WELCOME TO FUKUYAMA’S WORLD IN SAITAMA”の文字が照らされ、今度は白い光に包まれるとステージには真っ白な衣装に身を包んだ福山が登場。大歓声で迎えるオーディエンスに応えるかのように両手を広げ、ゆっくりとセンターステージに移動した福山はまず、アカペラで「Beautiful life」を届けた。一斉に静まり返った会場に福山の歌声だけが響き渡れば、まさに“FUKUYAMA’S WORLD”へと誘われた。
インスト曲「Prelude」からアルバムのタイトルチューン「HUMAN」、さらにたたみかけるように「fighting pose」へ。福山のカラフルかつスリリングなギタープレイを堪能した会場は開始からたった20分ほどですでに熱気で溢れかえった。
「会いたかったですよ、さいたま! このさいたまスーパーアリーナが今回のツアーの中でいちばん“あなた”と近いんです。近いからよく見える、よく届く。なので、いつも以上に叫んでもらってもいいですか?」
序盤からテンションが振り切れたオーディエンスも大きく応えると、さらにユーモアいっぱいに「今回のツアーでいちばん近い“ライブハウスさいたま”、よろしく! 今日はニューアルバムからお届けしていくライブなんですが、それ以外のアルバムからもやっていいですよね? あのヒット曲と呼ばれる曲もやっていいですよね? あの日本国民の誰もが知っていると言われる……いや、僕が言ったんじゃないですよ? 日本の音楽市場に燦然と輝くと言われている……これは僕が言ってるんですけど(笑)。あの大ヒット曲、やってもいいですか?」と続けた。そして「虹」、「IT’S ONLY LOVE」、「桜坂」と、大ヒットナンバーを3連発。どの曲もイントロが鳴るたびに歓喜に沸いたのはもちろんのことで、リリースから月日が流れても、たくさんの人の心に響いた名曲は、いつまでも色あせずに大切な思い出とともに美しく輝いていることを確信させた。
続くMCでは「ニューアルバム『HUMAN』が、あなたのおかげでオリコンウィークリーチャート初登場で1等賞をいただきました。しかも、なんと人生で初めて2週連続の1等賞です。どうもありがとうございます」と感謝を伝えた後、「あなたにいただいたでっかいプレゼント、その感謝の気持ちを熱い音楽に乗せてお返ししていきます。じっくり、たっぷり感じてください」と、最新作収録曲を存分に披露する……その前に、アコースティックギターに持ち替えた福山が何やら弾きだしたのが“Tu Tu Tu”と、「Peach!!」のサビのメロディー。そのまま歌いながら手拍子を煽ると、“とりあえずPeach”という文字がスクリーンに映り出された。なるほど、“とりビー!”ならぬ“とりピー!!”とは! 思わずクスリと笑いながら納得したところで、今度こそ「とりビー!」で大きく右手を突き出し、全員で乾杯する。
また、懐かしい楽曲も演奏された。22年前にリリースしたアルバム『BROS.』に収録されている「Running Through The Dark」は、自身の会社員時代の想いを綴った曲だという。そしてデビューアルバム『伝言』収録の「BLUE SMOKY」は、“東京に行けばどうにかなる”という想いで上京してきたが何の手がかりも掴めずに焦っていた頃の曲で、どちらの曲も18歳の福山雅治の焦りやイライラした様子が垣間見える、人間くささと青くささを感じる歌だ。「今の『HUMAN』とどのように繋がっているか、僕自身も演奏しながら確かめさせてもらいます」。この2曲を披露する前に福山が話した、その言葉が印象的だった。
そして“8月9日11時2分”を表す映像が流れ、「クスノキ」へと繋ぐ。長崎県の山王神社にある被爆クスノキをテーマにしたこの曲は、もちろん戦争という消せない痛みや悲しみを含みつつも、そこからの“再生”というキーワードを感じ取れる。これは長崎県出身の彼だからこそ歌う意味があり、人の心に訴えかける力を持つ楽曲である。そして、また別の映像が挟み込まれる。自身の“昭和という時代”を振り返るように、「クスノキ」にも出てくる一本足鳥居の前での写真や、ライブハウスでの写真、修学旅行での写真などが次々と映し出されると、「昭和やったね」を披露。長崎弁で歌われた、幼い頃の祖母との思い出。ここで改めて『HUMAN』というアルバムで福山雅治が描いた、人間が抱える深くて大きな愛、人生の遙かなる道程、曲たちが持つ力強さを感じさせられた。そして先ほど「Running Through The Dark」、「BLUE SMOKY」を披露した意味も納得できるものだった。
後半戦は「恋の魔力」、「GAME」と疾走感をもってラストへ向かってどんどん加速していく。“その男、ギター好きにつき”という映像で前振りされた「Cherry」は、福山がレコーディングで使用していた赤いメインギター“Cherry”への愛を“これでもか!”という程込めた楽曲だ。“Cherry”持ち、サポートメンバーのギタリスト今剛と小倉博和と3人並んで息の合った演奏は痛快で、“Cherry”を愛でるように掻き鳴らす様子は素敵であった。
次に、スタジアムモードの会場にサプライズは起こった。「RED×BLUE」ではステージ下手に走り出したかと思うと、動くフロートに乗り込み、会場内を1周しながらのパフォーマンス! さらに近づく福山との距離に、オーディエンスは驚きながら喜びながら手を振っている。
まさかの動くフロートに会場が興奮した後は、「みんなで一緒に歌いましょう!」と呼びかけ、会場中がひとつになった「明日の☆SHOW」が終わると、ピアノの演奏が始まり本編ラストの「暁」へ。壮大な演奏に乗せ、優しく語りかけられているような歌からは彼の大きな慈しみが感じられるようで、この日のライブの充実感とともに安心感が同時に残った。ほどなくアンコールで登場した福山は、「生きてる生きてく」と「MELODY」でこの日最高潮の盛り上がりへと導く。メンバー紹介をして送り出した後、再びひとりになったところで「じゃあ、もう1曲聴いてください」とアコースティックギターを手にした福山が「家族になろうよ」を弾き語りで演奏した。シンプルだけどとても大切そうにひとつひとつ鳴らされた音と歌声がじんわりと心に沁みこんで、あたたかな気持ちになる。最後に花道を歩き、センターステージで深々とおじぎをした福山は、「今日はほんとにどうもありがとうございます。熱い熱い土曜日の夜でした。ライブハウスさいたま、ほんとにありがとう。また逢いましょう、またやりましょう。バイバイ!」と、笑顔で去って行った。
開演からあっという間の3時間。全24曲のステージ、その中で何度も「ありがとう」を言う姿がとても印象深く記憶に残っている。いつだって自分を応援してくれている“あなた”への感謝の心を持ち続けていると、それは何回伝えても全然足りないんだと、だから言い続けるんだとばかりに。初めて2週連続1等賞を獲ったように、まだ初めてのことが待っているかもしれない。たくさんの“あなた”が支えてくれている限り、どこまでも彼は魅せ続けてくれるだろう。この後には台湾、香港公演も控えているが、さらにその先、そしてデビュー25周年となる2015年の活動にも注目したい。彼が次に描くのはどんな世界だろうか。
取材&文◎大井美和
<FUKUYAMA MASAHARU WE’RE BROS.TOUR 2014 in ASIA>
6月7日(土) 台北アリーナ
18:00開場/19:00開演
6月14日(土) 香港コンベンション&エキシビジョンセンター ホール5BC
19:00開場/20:00開演
6月15日(日) 香港コンベンション&エキシビジョンセンター ホール5BC
19:00開場/20:00開演
http://www.fukuyamamasaharu.com/sp/tour2014_asia/
New Album
5年ぶり、11枚目のオリジナルアルバム
『HUMAN』
2014年4月2日発売
CD2枚組(全形態共通)
■Disc1
1.クスノキ
2.Prelude
3.HUMAN
※アサヒ スーパードライ CMソング
4.とりビー!
5.ミスキャスト
6.246
7.Cherry
8.暁
※アサヒ スーパードライ ドライプレミアムCMソング
9. 昭和やったね
■Disc2
1.家族になろうよ
※ゼクシィCMソング
2.fighting pose
※WOWOW開局イメージソング
3.生きてる生きてく
※映画ドラえもん『のび太と奇跡の島 ~アニマルアドベンチャー~』主題歌
4.Around the world
※アサヒ スーパードライ CMソング
5.Beautiful life
※P&G SK-Ⅱ CMソング
6.GAME
※テレビ朝日系列ロンドン・ソチ五輪放送テーマソング
7.誕生日には真白な百合を
※TBSテレビ 日曜劇場『とんび』主題歌
8.Get the groove
※アサヒ スーパードライ CMソング
9.恋の魔力
※フジテレビ系ドラマ『ガリレオ』主題歌
[初回限定MUSIC CLIP COLLECTION]DVD付盤
UUCH-9050) ¥5,100(税抜)
内容:CD2枚組(収録内容:全形態共通)
三方背ケース付+特典DVD(ミュージッククリップ 8曲収録)
※2011年~2013年に発売された全シングル作品と新曲『HUMAN』のミュージッククリップを収録
1.HUMAN
2.家族になろうよ
3.fighting pose
4.生きてる生きてく
5.Beautiful life
6.GAME
7.誕生日には真白な百合を
8.Get the groove
[初回限定 グッズ付 盤]
UUCH-9051 ¥4,600(税抜)
内容:CD2枚組(収録内容:全形態共通)
スリーヴケース付+特製グッズ(オリジナルデザイン スペシャルマフラータオル)
[通常盤]
UUCH-1078/9) ¥3,600(税抜)
内容:CD2枚組(収録内容:全形態共通)
◆福山雅治 オフィシャルサイト
◆福山雅治 『HUMAN』特設サイト
◆福山雅治 UNIVERSAL MUSIC WEB SITE
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