【インタビュー】Superfly、新曲「Live」リリース「“あなたが必要だから生き続けてよ”って。それがこの歌」

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■過去を振り返るのはお休みにして、前を向こうって
■そう思ったら、なんだかやけにスッキリしだしたっていう、今日この頃(笑)

──それからカップリングに収録されているうちの1曲「万華鏡と蝶」ですが、これは同じく『闇金ウシジマくん Part2』のイメージソングですね。作曲は志帆さん自身によるもので。

志帆:はい。AメロとBメロは以前に作ってあったんですけど、蔦谷さんに相談したら「もうひとつ大きなメロディが必要だよ」と。その段階で蔦谷さんが仮のアレンジをつけてくれたんですけど、そこにサイケデリックなシンセの音が入ってたんですよ。それに引っぱられて、サビのメロディをこういうふうにしたんです。

──そのサイケデリックなシンセの音がこの曲の肝になっている。Superflyらしいロックナンバーではあるけど、そのシンセの音が新鮮な聴き心地に繋がってますね。

志帆:シンセの音が入ったことですごく広がりましたね。万華鏡のなかにいるという映像も、それによって見えてきたし。蔦谷さん、さすがだなって。

──歌詞はどういったイメージで?

志帆:これが映画で流れるとしたら、ここから何か騒ぎが起きるぞ、やばいぞ、っていう不穏な感じがふさわしいんじゃないかと思って。で、シンセの音から、万華鏡のなかに自分がいて、そこから抜け出せないでいる映像が浮かんでいたので、それってどういう意味を持つのかなって考えたんです。それで思ったのは、恐らくこれは嫉妬とか欲望といったあんまりキレイじゃない感情に捉われてしまっている人間の葛藤を意味してるんじゃないかなと。

──もがいている感じ。

志帆:そうそう。

──本当はここから抜け出して飛びたいんだけど、抜け出せずにいるという。

志帆:そう! で、最初はネガティブな感情を払拭しようと葛藤しているんだけど、だんだんと慣れてきてしまって、その万華鏡のなかが居心地よく思えてきてしまうっていう。そういう歌詞にしたいということを作詞家のjamさんに相談したら、万華鏡のなかにいるのを自分じゃなくて蝶にしてみたらどうだろうって話になって、“ああ、めっちゃ絵が浮かぶ!”と思って。だから羽が燃えるんですよ。

──燃えて堕ちる。

志帆:はい。

──その堕ちてく感じ、もがいてる感じは、どこかエロチックでもありますよね。

志帆:ああ、わかります。

──退廃的というか。それはさっきの話じゃないけど、パリのイメージにも通じるような。

志帆:ああ、その影響があったのかも。だからか、この歌はなるべく妖艶に歌いたいと思ってたんですよ。

──なるほど。ちなみに“ほぼ全編英語詞”で歌われているけど、それはなぜ?

志帆:映画のCMで流れるということだったので、日本語で歌詞を書くと邪魔になるというか、観てる人がその言葉に引っぱられてしまうとよくないなと思って。だから聴いた感じが気持ちいいっていうふうにしたかったんです。

──映画思いですねぇ。

志帆:いや、なんか、ありがたかったんですよね、その話をいただけたことが。だから映画がよりよく感じられる音楽にしたいって思ったし。さっきも言ったように、今は自分を出すというよりは、ある意味で客観性を大事にしたいと思っているんです。

──そしてカップリングのもう1曲が詞曲の両方を自分で手掛けた「The Long Way Home」。これは素晴らしい。個人的にはこれが本当に大好きで。名曲だと思う。

志帆:よかったぁぁぁ。めちゃめちゃ嬉しい!! これ、(このインタビューをした日に)マスタリングを終えたばかりで、まだ全然客観的になれてないんですよ。本当に手探りで作った曲で。

──作ったのはいつなんですか?

志帆:2月の大雪の日。世界が真っ白だったから、なんとも言えない気分になって作ったんです。夜も明るいし、なんだか妙に物悲しい気持ちになってきて。私はそういうときにギターを弾きたくなるので、アコギを弾いてたらこのサビが出てきたんですよ。で、この切なさをどうやったらちゃんと表現しきれるんだろうって思いながら、あがきまくって作りました。

──切なさがテーマ?

志帆:物悲しさを表現したかったんです。あの雪の日に感じた気持ちを忘れたくなかったので。

──ヴォーカルでもそれを表現しようと。

志帆:はい。延々と練習してましたね。“The long way home~”ってところをどう歌ったら切なく表現できるかとか。“帰り道が~”のところは雪の日に胸がキュウっと苦しくなる感じで出てきたので、それをどう表現できるかとか。で、より切なく聴こえるようにベースラインも変えてもらったりして。

──ちょっとカントリーロックっぽい風合いもあって、1stアルバムの頃のSuperflyを思い出させるところがあった。

志帆:ああ、そうかも。あのアルバムに入っててもしっくりきそうですね。

──あと、音の感触が新鮮でした。ザラッとしてるでしょ、音が。もしかして今までとは違うエンジニアさんとやってたりします?

志帆:はい。いろんな方とやってみたいっていうモードだったので、この曲だけ蔦谷さんに勧められた諸鍛冶(辰也)さんにやっていただいたんです。CHARAさんの曲をやってらっしゃっる方で、私はロンドンにひとりで行ったときによくCHARAさんの曲を聴いていて、“ああ、いい音だな”って思っていたので。

──なるほど。歌詞は、過去の自分を振り返りながらも新たな道を信じて歩いていこうというもので。

志帆:私、過去に執着する癖がすごくあって、今起きてることをなかなか受け入れられないところがあるんですよ。こういう不確かな仕事だからかもしれないけど、今の状態がずっと続くわけないとか思いがちなんですね。別に過去が好きっていうわけではないけど、なんか怖くなったりするとすぐに過去を見ちゃうところがある。ぶれない自分であるためにいろんな新しいものからの影響を自ら遮断してしまっているんだと思うんですけど。愛媛にいた頃の自分がありのままの自分なんだと過剰に思ってるようなところがあるんですよね。だけど、そういうふうに自分の心の拠り所だと思っていた愛媛も、やっぱりだんだんと変わっていく。大事な場所や友達も変わっていくものだし。そうすると自分の居場所はどこにあるのかわからなくなって……。最近はそういう気持ちがやけに強くて、それがこの曲のメロディの物悲しさにも繋がっていったんです。でもこのメロディができたあとに、ふと、“もう過去に執着するのはやめよう”って思えたんですよ。今をもっと信じようと思えた。だから、最近の制作の流れもそうですけど、ここからはいろんな人の影響を大いに受けてみようと思ってるんです。ここからの出会いをもっと大切にして、そこから受けた影響をもっともっと自分のなかに取り込んで、過去を振り返るのはお休みにして、前を向こうって。そう思ったら、なんだかやけにスッキリしだしたっていう、そんな今日この頃(笑)。

──いい感じじゃないですか。

志帆:はい。三十路を迎えたことですし(笑)。やっぱり30になるまではどっか中途半端感があって気持ち悪かったんですよね。まあ、いい一区切りというか。で、今は次のアルバムに向けて、新しいやり方を模索しながらひたすら曲を作っているところなんです。いろんな人に影響を受けて、その上でシンガーとしてどうあれるかみたいなことを試していけたら、きっと面白いものになるだろうなと。なんかホント、ストーンズを観てから不思議な力がどんどん湧いてきてるんですよ(笑)。

取材・文◎内本順一


■17th Single「Live」
2014.05.14.Release
【初回限定盤】(CD+DVD)WPZL-30842/3 ¥1,600+税
【通常盤】(CD)WPCL-11803 ¥1,100+税
01. Live
*映画「闇金ウシジマくんPart2」主題歌
02. 万華鏡と蝶
*映画「闇金ウシジマくんPart2」イメージソング
03. The Long Way Home
<初回限定盤特典DVD収録内容>
「FUJI ROCK FESTIVAL'10」ライブDVD
01. Alright!!
02. 愛をこめて花束を
03. Wildflower
04. マニフェスト
05. タマシイレボリューション


◆Superfly オフィシャルサイト

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