【インタビュー】Superfly、新曲「Live」リリース「“あなたが必要だから生き続けてよ”って。それがこの歌」

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■みんないろんな事情を抱えながら、それでも生きてる
■“生きる”ってすごい大きなテーマだけど、私なりに書いてみたいって

──さて、新曲の話をしましょう。ニューシングル「Live」。実に1年7ヵ月ぶりとなるシングルですが、どういうモードで作り始めたんですか? 新しいSuperflyを提示しようという気持ちだったのか、それとも……。

志帆:新たな方向性を提示するぞ!とか、新しいSuperflyを見せよう!っていうことではなかったですね。例えば映画やドラマの曲を書いてくださいというお話をいただいても、以前だったらまず“Superflyはこういうアーティストです”っていうのをそこで見せなきゃとか、そのなかで自分らしさも確立させなきゃっていう気持ちが強かった。でもそういうことはもうやりきったなという思いがあって。今はそれよりも“応えたい”という気持ちのほうが強いんですよ。今回のこの曲も“ウシジマくん”の監督がずっと声をかけてくれていて、ちょうど私のお休み期間に重なっていたんですけど、締め切りも待つから書いてほしいと強く言ってくださったのが嬉しかったから、その気持ちにちゃんと応えたかった。だからとにかく映画にマッチする曲をと思いながら作ったんです。本当に素直に、映画に合った曲を作りたいと思ったんですよ。

──自分自身を前に出すよりも、求められることに応えたかった。

志帆:そうです。あと、今までは等身大の自分であることが大事だと思っていたし、『Force』のときはリアルであることがすごく大きなテーマだったんですけど、それはもうやりきったというか。自分に向き合って突き詰めることを『Force』でとことんやって、一回すっからかんになったので、今は無理に自分のことを掘り下げなくてもいいと思ってるんです。それよりも周りからの刺激や影響を受けながら、自分の想像力や妄想力を活かして作っていきたい。『Force』のときは周りからの影響なんて受けちゃいけないって思いながら、修業のように作っていたんですけど、今はどんどん影響を取り込んで、それによって起こる変化を楽しみたいんです。

▲映画『闇金ウシジマくんPart2』
──新曲「Live」も映画からのインスパイアで作られたわけですよね。

志帆:はい。最初は2曲、主題歌の候補があって、もう1曲はちょっと暗い曲だったんですけど、映画を観させてもらったら、そっちは向いてないと思ったんですよ。ズドーンと暗く終わるよりは、ちょっとこう光が射し込んで来るイメージのほうがいいと思えた。そういうふうに私なりの意見を言って、それでこの「Live」に決まったんです。

──“生きる”ということがテーマになった壮大なバラードですが、歌詞も映画からイメージを膨らませていったんですか?

志帆:はい。“ウシジマくん”の登場人物はみんないろんな事情を抱えていて、ダークな面もあるけど、それでもなんだかんだで生きている。頑張って更生する人もいたり、ウシジマくんみたいな生き方をしている人もいたり。みんないろんな事情を抱えながら、それでも生きてるんだなって思って。だから、“生きる”ってすごい大きなテーマだけど、私なりにそれで書いてみたいと思ったんです。

──なるほど。

志帆:それと、ちょうど私がこの曲を書こうと思ってたときに、同世代の身近な女性から同じような悩みや愚痴を聞くことが多かったんですよ。年齢的にそれまでバリバリ働いていた子がお母さんになることが多くて、その急激な環境の変化にいろいろ考え込んでしまったり、あるいはまた社会復帰したときに以前と同じように職場の人と接することができなくて鬱っぽくなったり。子供も生まれて幸せなはずなのに、どうしようもなく孤独を感じてしまって、いっそ全てがなくなればいいのにって極端なことを考えてしまうというふうに言ってる子もいて。そんな話を聞いて私はすごく悲しくなってしまった。で、“あなたは世界にひとりしかいないんだから、いなくなられたら困る”って言ったんですけど、そんなことを話しながら思ったんですよ。“こういうふうに孤独を感じながらも、人知れずなんとか頑張って生きている人って、たくさんいるんだろうな”と。だから私はそういう人たちを肯定してあげられる曲を書きたいと思った。“あなたが必要だから、生き続けてよ”って。それがこの歌なんです。

──そうした自分の身の回りの女性のことと、映画から受けたメッセージ的なことが……。

志帆:リンクした。みんないろんなことを抱えながら、それでも生きてるんだって。だから映画のなかのいろんな人たちを肯定する曲にもしたかったし、私の回りにいる大事な女性たちを応援できるような曲にもしたかったんです。

──“私はこう!”というよりは、相手を思って書いている感じが伝わってきます。

志帆:“私はこうで”みたいなことを入れようとは思わなかった。今はあんまり自分がどうのってことを歌いたくないんですよね。

──メロディも広がりがあって、押しつぶされそうになりながらも生きている人たちを肯定してあげられる優しさがありますね。作曲は多保孝一くん。そういうメロディを作ってほしいと頼んだんですか?

志帆:実はこれ、もともとの土台は多保くんが10代の頃に書いたものなんです。当時はすごく大人びたメロディだなって思っていて。私も若かったので、その分ちょっと違和感があったんですよね。今の私だからこそ感情込めて歌えてますけど、当時は大人っぽすぎる感じがした。でも今回、映画のトーンにこのメロディがやけにしっくりきたので、もともとの世界観を活かしながら蔦谷さんにアレンジしてもらったんです。

──「The Bird Without Wings」の世界観に近い印象を受けました。

志帆:えっ、そうですか?

──暗いところから光の射すところへと出ていく感覚。その広がり方が。

志帆:ああ、なるほど。それはそうかもしれないですね。スケール感もあるし。

──アレンジも広がりがある。

志帆:ちょっとスペーシーな感じにしたかったので、個性的なシンセの音を入れてもらったんです。

──ギターの音も効いてますね。

志帆:あのギターはちょっと下品なくらいにグイグイくる感じになってるけど、あえてそういうふうにしたかったんですよ。あれがないと淡々としたものになっちゃうから。

──いい意味で、引っかかりがある。歌う上ではどんなことを意識してましたか?

志帆:あんまりメロディに捉われたりせずに歌いたかったんです。メロディにカチッと合わせるのではなく、崩しながら歌うぐらいの感じで。相手を思い浮かべながら。

──さっき言ってた同年代の友人たちの孤独を覆うような包容力が感じられます。

志帆:あ、ほんとですか? じゃあ、よかった(笑)。

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