【インタビュー】Sensation、3rdアルバムに高度な演奏力と綿密なアレンジ「テーマはスポーツにフィットする、身体を動かしたくなるインスト」

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■自分の中にある情景を表現することを重視してコードを決めますし
■タイトルを先に決めてマッチする曲を作ることも多いですね

──合唱を思わせるコーラスもスポーツ感を高めていますね。ビートチェンジを使った緩急が心地好い「乱舞」もスポーツ感のあるナンバーです。

大賀:Sensationの初東京ライブのときに、タオルをグッズ販売したんですね。MCで客席のファンの方々が、“このタオル、どうやって使ったらいいの?”的な雰囲気になって(笑)。僕が思わず「タオルの振れる曲を用意します」と言ってしまったという。約束は守らないと男らしくないので、そういう曲をアルバムに入れるために作ったんです。ギターリフから発展した曲なんですけど、Sensationらしいリフですよね。「Fantasista」もそうですけど、僕たちのリフはギターの開放音を絡めたものが8割くらいを占めている。「乱舞」は、その代表みたいな感じです。

──「Fantasista」のイントロはタッピングかなと思いました。

大賀:違います。開放音を使うといってもいわゆるロックのオーソドックスなパターンではなくて、音程差のあるフレーズだからタッピングっぽく聴こえると思うんです。「Head Game」のリフもそう。「Kaleidoscope」の間奏はタッピングですけどね。「乱舞」に関しては、大陸が変わっていく様を表現したくて、Aメロはアメリカで、Bメロは僕の中ではブルガリア辺り(笑)。で、サビで日本に戻ってくるという構成になっています。ビートチェンジはアレンジとして思いついたわけではなくて、それぞれのパートで表現したいことを形にした結果、こういう流れになったんです。

──そういう曲の作り方をしているから、Sensationの楽曲が映像的なんですね。

大賀:そうですね。コードも音楽的な面白さとかではなくて、自分の中にある情景を表現することを重視して決めますし。タイトルを先に決めて、それにマッチする曲を作ることも多いですね。

──アダルトなジャズテイストとアッパーなシャッフルパートという異なる要素を融合させた「So High」は、どういう風に形にしたのでしょう?

大賀:あまのじゃくな曲を作りたいと思ったのが入口でした(笑)。アルバムに高速スウィングを入れたいという話が出ていたので、スタンダードなジャズの雰囲気を活かしたオケに、ジャズっぽいアドリブでメロディをつけて。ただ、そのままじゃ面白くないなと思ったときに、ジャジーなものがいきなり荒々しいシャッフルに変わるアレンジが頭の中で鳴ったんです。ドラムはストレイキャッツみたいにシンプルなビートを叩いてるだけみたいな。それに合わせて、ギターはドライヴトーンで暴れることにしました。

──1曲の中でまったく違うテイストのギターが鳴っているので、最初に聴いたときはゲストプレイヤーを呼んだのかと思いました。

大賀:それくらいの二重人格ぶりですよね(笑)。ただ、音楽的に破綻させないために、ジャズパートとアッパーパートのバランスにはかなり気を遣いました。

──さすがです。「陽炎」や「Natsu no Kaze ~薫風~」でも、クリーントーンを使った風合いのリードを披露していますね。

大賀:“スポーツ”というアルバムテーマですが、途中でリフレッシュタイムがほしいと思ったんです。サッカーで言うとハーフタイム。そういうものでは、僕は映画音楽的な気分になれるものが好きなので。クリーントーンを活かして作ったのが「Natsu no Kaze ~薫風~」です。「陽炎」のほうは、アルバムの中で一番最後に作った曲。「So High」へスムーズにつなげられる曲がなかったので、土壇場でもう1曲作ったという。普通の感覚では弾けないようなオシャレなコード進行の中で、メロディアスにギターを弾きたかったんですね。Aメロはアドリブ的な要素を入れつつ、サビでキッチリと綺麗なメロディーになるように、というイメージでしたね。ただ、ドラム録りが全部終わった後に作ったので、車谷を再び呼びだして、もう1曲録ってもらったという(笑)。

──な、なるほど(笑)。「陽炎」は、ジャジーなプレイとテクニカルかつホットなプレイの両方を味わえることもポイントです。

大賀:自然な結果というか。ゆったりとした6/8拍子の中で、まずはニュアンスを出したいと。最初はギターのボリュームを絞って弾いていたんですけど、途中のセクションで急に暴れたくなって、ブッとボリュームを上げて、“うりゃっ!”と弾きました(笑)。

──ジャズやフュージョンに精通しつつ、ロック魂を持っているんですね。

大賀:基本はロックです。人間というのは不思議なもので、20代半ばくらいにロックが子供っぽく感じたりするじゃないですか。僕も同じで、ジャズが弾けたほうが大人でモテると(笑)。そっちに走った時期もありましたけど、それは大きな勘違い。ジャズをやったからといってモテるわけでもなかった(笑)。でも、それ以前に自分はやっぱりロックが大好きで、ロックのすべてがカッコいいと改めて感じたんですね。一時期浮気したけど、ロックから離れることは二度とないと思います。

──ジャズテイストを活かせるプレイヤーになったわけですから、ムダにはなりませんでしたよね。アルバムラストの女性ボーカルをフィーチャーした「Can’t live,Can’t help」もいいフックになっています。

大賀:1stアルバムのときから、必ずコラボレーショントラックを入れるようにしているんです。1stアルバムでは男性ボーカル曲を入れて、2ndアルバムでYMOの「ライディーン」を僕らなりのアレンジで収録していて。今回はプロデューサーに、「コラボレーショントラックで悩み中です」という話をしたら、女性ボーカルを提案していただいたんです。今の自分たちがやりたい歌もののメロディーを僕が作って、女性に歌ってもらいました。

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