【倉木麻衣×BARKS連載対談】第一回(幼少期~1999年)「今振り返ると、みんなはバイトや部活に打ち込んでいたんですけど、自分は部活もやりつつデモテープを作って」

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■本格的な制作はボストンが初めてで。不安と期待が入り混じっていました
■本場の空気を体感して発見することもあると……恐れを知らない十代でした(笑)

▲ボストンレコーディング風景
▲ボストンレコーディング風景
▲Mai・K USデビューマキシシングルプロモーション用カセット
▲「Love, Day After Tomorrow」アーティスト写真
烏丸:そのオーディションで認められて、デビューが決まって。それから?

倉木:そこでいきなり、「ボストンでレコーディングしてきてほしい」ということを、プロデューサーの方に言われまして。1週間近く行っていたんですけど、レコーディング・スタジオに入って歌う作業も初めての経験だったんですよ。

烏丸:ラジカセの前で歌ったことはあるけど。

倉木:そうなんです(笑)。それまでの準備がまったくない中で、体当たりでやっていたので。右も左もわからない状況の中で、すべてが手探りでしたね。

烏丸:誰しも初レコーディングというものありますけど、いきなりボストンですか。

倉木:あ、ごめんなさい、日本のスタジオでデモを作って、それからボストンに行ったので。本格的な制作はボストンが初めて、ということですね。しかも日本とは全然やり方が違うんですよ。すごくうれしい気持ちと、不安と期待が入り混じっていました。ただ洋楽が好きだったので、本場の空気を体感して発見することもあるだろうと思って、恐れを知らない十代でしたね(笑)。その時は、カメラマンの方と2人きりで、飛行機に乗って行ったんですよ。

西室:私は先にボストンに行って、準備をしていたので。倉木と、カメラマンの方と2人で来てもらったんです。今考えるとすごいことなんですけど、男性カメラマンと2人きりだったんですよ。

倉木:成田空港で初めて挨拶して。私はバイト経験もないですし、社会経験がまったくなかったので、もうその人についていくしかなくて(笑)。

烏丸:Beingさん、ずいぶん無茶してません?

西室:今思えば、せめて女性のカメラマンにしておけば良かったなと思うんですけど(笑)。16歳の女の子を、初めましての男性カメラマンと一緒に、いきなり十何時間も飛行機に乗せるなんて。でも当時は、あまり気にしてなかったんですよ。

烏丸:スタッフもガムシャラだったんでしょうかね、きっと。

西室:そうですね。

烏丸:倉木さんというアーティストが出てきて、どうやって育成して、どうやってデビューさせようか?というのは、スタッフワークじゃないですか。

倉木:周りはほとんど大人の方たちばかりなので、自分のことをどう話せばいいのか、こんなこと言ったらまずいんじゃないかとか、すごくナーバスになっていた時期はありました。失敗しちゃいけない、迷惑かけちゃいけない、みたいな。

烏丸:だって、16歳だもんね。キャパシティ・オーバーでしょう。

西室:夏休みの思い出に、みたいな考えもちょっとあったんですよ(笑)。英語の勉強も兼ねて、ホームステイで、アメリカを体験しつつレコーディングもしようみたいな。わりとざっくりした感じで。

倉木:そこで歌ったものを、ペリー(・ゲイヤー)さんというプロデューサーの方が気に入ってくださって。

西室:「すごくカッコいいから、アメリカでも出せばいいのに」と言って、そこからアメリカでリリースする運びになるんですけど。

烏丸:その流れも面白いですね。おっしゃるように、期待と不安が入り混じる中で、でも結果的に見事に楽しんじゃってるわけですよね。

倉木:そうですね。向こうで、アメリカのレコーディングのやり方を学んでこれたかなと思います。フィーリングをすごく大事にして、「それもいいね」と言いながら、何度も歌ってみたり。歌のボキャブラリーというものを体感できたのは、すごく良かったと思います。

烏丸:16歳で、そんなこと思ったの? おませさんですね。

倉木:ふふふ(笑)。

烏丸:それよりも、アメリカの肉はまずいな、とか(笑)。そういう感想が先に出そうなものだけど。

西室:そういう余裕もなかったんですよ。スタジオに行ってレコーディングして、部屋に戻ったら寝るだけみたいな感じだったので。スタジオに行くといろんな人がいて……。

倉木:そこで歌詞を書いたり。

西室:「踊りながら歌ってみたら?」とか。「手をこういうふうに動かしてリズムに乗ると、うまく歌えるよ」とか。そういうことを教えてもらって、すべてが体当たり体験でしたね。

倉木:それを持ち帰って、日本でレコーディングをした時に、アメリカで体験したことがすごく生かされたんですね。リラックスして、踊りながら歌うコツとか、そういうものが。

烏丸:それは経験しないと、なかなかできることじゃない。

倉木:そうですね。日本に帰ってからもずっとそういう生活が続いて、学校生活と両立させる日々が続きました。学校から帰るとすぐにスタジオに行って、レコーディングして、最終電車に乗って帰る時に、電車の中で学校の宿題をやったりとか。今だから言えますけど、スタッフの方に英語の宿題を手伝ってもらったこともありました(笑)。

西室:英語で日記を書くという宿題があったんですよ。でも「スタジオでレコーディングしました」とは書けないから、「今日は友達と買い物に行きました」にしようか、とか……(苦笑)。

倉木:本当に私のデビュー当初は、学校とスタジオとの行き来の中での生活だったので。どれだけの人に自分を知ってもらえて、聴いてもらえているのか、あんまり実感が湧かなかったんですよ。それよりも、次の曲を制作することばかり考えていたので。

烏丸:デビューした!とか、実感してる暇もなかったというか。

倉木:そうなんです。

烏丸:コンビニでかかった!とか。

倉木:初めて自分の曲が流れてきた時には、「ああ、デビューしたんだ」と思いましたけど、当時はテレビやメディアにあんまり出なかったので。スタジオで歌っているだけなので、何か不思議な感じでした。周りでは騒いでいるけど、自分ではよくわからない感覚というか、台風の目の中にいるような感じでした。

文◎宮本英夫

  ◆  ◆  ◆

次回の連載対談は、倉木麻衣の2000年、<怒濤のリリース、激動の1年>をお届けします。

■DVD SINGLE「Wake me up」
2014年2月26日(水)発売
※映画「魔女の宅急便」主題歌
【初回限定盤】VNBM-3005 ¥1,300 (tax out)
1. Wake me up(Music Clip)
2. Wake me up(Live @Mai Kuraki COUNTDOWN LIVE 13-14 ~あRE:がとう!一期一会!~)
<Bonus Disc>
1. Wake me up
2. always giving my heart
3. Wake me up ~Instrumental~
【通常盤】VNBM-3006 ¥1,000 (tax out)
1. Wake me up(Music Clip)
<Bonus Disc>
1. Wake me up
2. always giving my heart
3. Wake me up ~Instrumental~

■LIVE DVD『Mai Kuraki Symphonic Live -Opus 2-』
2014年3月26日(水)発売
【LIVE DVD 2枚組】VNBM-7020~21 ¥6,476 (tax out)
<DISC1 - 1部->
PRELUDE 【CARMEN】
1.Revive
2.冷たい海
3.儚さ
4.さくら さくら...
5.Stay by my side
6.Start in my life
7.Reach for the sky
8.風のららら
<DISC2 - 2部->
Overture 【Prelude for Mai.K】
9.The Sound of Music Special Medley
10.不思議の国
11.あなたがいるから
12.明日へ架ける橋
13.chance for you
14.Love, Day After Tomorrow
EC1.Time after time ~花舞う街で~
EC2.always
Extra stage.
もう一度
Secret of my heart
※ミニプログラム封入 ライブ来場者にのみ配布されたプログラムを今作用に再編集して特別封入


◆倉木麻衣 オフィシャルサイト
◆BARKS内 倉木麻衣特集ページ

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