【インタビュー】Kαin、2daysライブを前に過去~未来を語る「究極の真理とは人間は生まれた瞬間に死が決まっていること」

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■曲を演奏するために一番似合う服装、メイク、照明、演出を追求するべき
■トータルアートとして考えるにヴィジュアル系はすごく良いジャンルのはず

──そんな硬直化したシーンを何とかしなければ!と思うことはありませんか?

YUKIYA:そこに関しては諦めの境地というか。ヴィジュアル系だけの問題ではなく、下手をすると、あと10年20年の内に“ロック=オジサンが聴くもの”という概念になってしまいかねない気がしているんですよ。というのも、携帯やスマホが普及して若者の必需品になっている今、それだけで彼らのランニングコストは毎月7~8千円取られているはずで、そこで3千円のアルバムは買えないと思うんです。要するに今はオジサン、オバサンのほうがCDを買う時代で、だからリイシューものが一番の売れ筋になっているんですよね。今後CDというメディアがどれだけ生き残るかわかりませんけど、CDがいわば大人の嗜好品みたいになっていく可能性がある。

──ええ。もはや音楽をCDで聴く時代ではなくなりつつあるのかもしれないという恐怖は、昨今とみに感じるところです。

YUKIYA:となるとCDを買ってもらうためには、盤に入っている音だけでなく、パッケージにも価値を持たせることが必要になってくる。実際、僕は“装丁もアートだから”と主張して1995年あたりから規格外のものを自分で手掛けてきたんですが、当時はレコード会社の人間に“生意気だ”と怒られていたんですね。でも、今やパッケージも含めて自分の作品ですと主張できないアーティストは、いわゆる握手会だのハグ会だのっていう肉体営業でしかCDを売る方法がない。とはいえ、それがエスカレートすると、もう、ミュージシャンではなく、ただのホストになってしまう。例えば近年のKαinでは、1曲入りのCDをライブ会場でだけ販売するという方法を取っているんですよ。その代わり紙ジャケットだとかの凝った装丁にして、その曲のためだけの写真/歌詞カードを付けて。そうやって単なるパッケージ/CD盤ではなく、その中にあるコンテンツ自体を魅力的なものにしないと、もうビジネスとして残ってはいけない。ただ、そうして手に取って家に残しておきたいパッケージ作りをしても、そこに対して価値を感じる若い人って今はすごく少ないだろうから、やっぱり懐にある程度余裕のある世代にしか響かない結果になってしまう。実際、僕のお客さんは30代の男性が多いですし、それでも自分が納得のいく作品を残して、そこに対価を払ってくれる人を相手にやっていくしかないなと思うんですよね。

──女性客の多いシーンにおいては、他に例を見ない男性率の高さですよね。そこも稀有だなと。

YUKIYA:いや、それも自分の中では全然不思議じゃなくて、もともと僕が好きで観に行っていたバンドは男性が多かったんですよ。ブレイクする前、新宿LOFTで観ていたBOφWYはパンキッシュで、ちょっとヤバい感じの男性ファンとか多かったですし。ただ、いわゆるヴィジュアル系雑誌と呼ばれるものに僕が載ってしまったから、そういう見方をされるだけで(笑)。Kαinというバンドに関しては、自分が好きだったロックバンドのフォーマットをそのまま使いたくて、だから1stアルバム以降は一般流通のCDを6年くらい作ってないんですね。もちろん新曲はどんどん増えているし、そのうち音源化していない曲でも客席が歌うようになってきてますけど、それでファンが“この曲、なんで早くCDにしてくれないんだろう?”って我慢できなくなったときに、アルバムを出したいんです。僕が知っているバンドは、みんなそうでしたから。

──そうすればコンテンツの価値もグッと上がりますもんね。

YUKIYA:逆に最近はサイクルが早すぎて、新しいアルバムが出ると前のアルバムのことなんて忘れてしまう風潮があるじゃないですか。だからバンドの重みというか歴史が蓄積されないわけで、僕なんてKαinを結成するときに“自分たちが最高だと言えるアルバムを1枚だけ出して、その曲だけを世界中演奏しながら食っていけるなら、それだけで死んでもいい”って、メンバーと話してましたからね。それが究極の理想だからアルバムを大事にしてきたし、これからも1stアルバムの楽曲はやり続けていくんですけれど。ここに来て、ようやく2枚目のアルバムを出してもいいんじゃないかという状況になったんですよ。

──1stから6年ぶりに?

YUKIYA:はい。で、それを恐らく今年中には皆さんに提示できるにあたり、今のKαinを一度整理したいというのが、5月の2daysライブの発端なんです。いわば1枚目のアルバムに沿ったものと、この後に出るであろう2枚目のアルバムの世界観に沿ったものの2つに分けて、コンセプチュアルな部分を提示するショーケース的ライブというか。そこでバンドとしての方向性が変化しているのか、それとも芯の部分で統一された世界観があるのかを、自分ら自身も確認したいんですよね。Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREというホールっぽい作りの会場をセレクトしたのも、世界観を見せることに重きを置いたライブをやりたいからで、いつものワンマンより若干チケット代が高いのは、それ相応の演出を考えているからなんです。

──メンバーへの楽曲提示の話から考えても、相当緻密に練り込まれた世界観が展開されそうですね。

YUKIYA:やっぱり、全てに意義があるべきなんですよ。その曲を演奏するために一番似合う服装、メイク、照明、演出を追求するべきであって、そのへんも改めて考え直したいというのが、このバンドの始まりでもあるんです。そうやってトータルアートとして考えるには、ヴィジュアル系ってすごく良いジャンルのはずなんですよね。

──では、2008年に媒体取材を受けないスタンスを表明していたにもかかわらず、今回こうしてインタビューに応えてくださったのも、2枚目のアルバムが見えたからなんでしょうか?

YUKIYA:そうですね。やっぱりKαinを始動した当初は、新しいバンドを作ったのが嬉しくて、ハシャいじゃってたんですよ。もう、JILSのYUKIYAじゃないんだっていうことを知ってほしくて、めちゃめちゃヴィジュアル系雑誌に広告費を使って。でも、半年くらい経つと矛盾に気づき始めたんです。広告を打てば打つほど、やって来るのは“D≒SIRE/JILSのYUKIYAさんが新しいバンドを始めたんだ”と引っかかる、いわば昔のお客さんで。そうなるとライブを観に来ても、彼らが求めている“過去のYUKIYA”とは当然違うから、ガッカリして帰るだけなんですよね。ある意味、自分で自分のことをマイナスプロモーションしていたんです。

──だって新しいバンドは、キャリアを積み重ねた過去のバンドに比べると、どうしたって完成度で劣りますもんね。

YUKIYA:そう。まだバンドの実像が追いついていないのに、人を呼んでしまっていた。それで1年経ったあたりで、しばらく露出を断ることにしたんです。結果として動員が減ったとしても、何年後かに残ったお客さんは本当にKαinが好きな人たちだから、それくらいふるいにかける覚悟を決めないとダメだろうと。要するに、僕の覚悟が足りなかったんですよね。本当にイチから新しいバンドを始めるなら、名前も見た目もガラッと変えるくらいでないといけなかったのに、考えが甘かった。そこからは露出もせず、ひたすら新曲を作って、それをライブで聴いてもらって……という活動をしてきたんです。

──そうして積み重ねてきた楽曲は、来るべき2ndアルバムには入るんでしょうか?

YUKIYA:入ります。1枚目はKαinを結成してすぐに作ったアルバムだったから、お客さんは1曲も知らない状態でワンマンとかやってたんですけど、今回はみんなが好きな曲、家でも聴きたいと思ってくれているであろう曲が入っているアルバムを作りたい。それは自分が好きで見ていたバンドのスタイルであって、つまり、今はファン的視点でバンドの活動をひとつひとつやり直している感覚なんですよね。それはJILSの途中で目覚めるまで、10年以上も流れに身を任せてきた自分にとっての贖罪でもあるのかもしれない。そういう意味でも、このバンド名とコンセプトで良かったなぁと思っているんですよ。

取材・文◎清水素子

■<Kαin 2days GIGS『Lasting【world】memories』>
○“day1 ~the edge of -paradiselost-~”
2014年05月03日(土) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
open/start 17:00 / 18:00
全指定席前売\5,500(税込、ドリンク代別) 当日券\6,000(税込、ドリンク代別)
※全指定席前売2days通し券\12,000(税込・ドリンク代別)
Kαin 新録未発表音源&幸也デザインによるオリジナルプレミアムチケット付き(当日会場入場時に配付)

○“day2 ~an Act of -kaleidoscope-~”
2014年05月04日(日) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
open/start 16:00 / 17:00
全指定席前売\5,500(税込、ドリンク代別) 当日券\6,000(税込、ドリンク代別)
※全指定席前売2days通し券\12,000(税込・ドリンク代別)
Kαin 新録未発表音源&幸也デザインによるオリジナルプレミアムチケット付き(当日会場入場時に配付)

一般発売日:4月6日(日)~
チケットぴあ0570-02-9999(Pコード:227-805)
ローソンチケット0570-084-003(Lコード:74784)
イープラスhttp://eplus.jp


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