【インタビュー】KING BROTHERS「YouTubeとかで動画を観てないで、ライヴにおいで。楽しいよ。」
── ケイゾウさんはボーカリストと周りの楽器という観点でいうと4人から3人への変化をどう感じていますか?
ケイゾウ:そうですね……。ベースっていう楽器は名前の通りベース(土台)なんですよね。それがないとなると、特殊な音楽になるというか。
── ライヴを観た時に音の塊としてグルーヴが出来上がっていて、そこにベースが入る余地がない音楽のような気がしたんですけど、ケイゾウさんが求めていた音楽的役割ってどんなことだったんでしょうか?
ケイゾウ:結局、ベースがいてもいなくても、音楽的に鳴らすノリ、グルーヴは一緒だと思うんですよね。それを複数の人間で分担してどう打ち出すかがそのバンドの個性になると思うんですけど。4人でやってた形から足りなく感じた所は誰かが補わなければいけなくて、今は探りながら作ってる感じかなあ。過去の曲に関しては元々4人でやってるものを補うにはどうしたら良いのかを考えるんですけど、昔よりは音楽的に何が足りないのかというのはわかってきたんで。3人になってもっとリズムのタイトさ加減が際立ってくるんじゃないかと思いますね。4人時代というのは、ベースをどうやって際立出せていくかということに時間がかかって。さっきマーヤ君が言ったみたいに、結局辿り着かなかったんですよね(笑)。
マーヤ:う~ん。
ケイゾウ:それはベースっていう名前の通り、ドラムとベースが音楽の土台になると思うんですけど、それを鳴らすという所に到達しなかったんで。そうなった時に乗っかるギターだったりというのは、次のアプローチかなと思ってたんですけど、そこに辿り着かなくて。それは、元々ベースレスの3ピースにベースが入ってきたことの難しさなんですけど。
── ゾニーさんは今回バンドに加入する上で、ご自分がKING BROTHERSに求められていることって凄く考えたと思うんです。
ゾニー:はい、そうですね。
── そこはゾニーさんの中でどんな答えが出ているんでしょうか?
ゾニー:凄くドラマー冥利につきるというか、ベースとドラムの両方の役割、抜けたメンバー2人分を僕が補うという使命感はありますね。これは僕が勝手に思ってることなんですけど。バンドのあり方の形として、ピースにはめ込むのは2人分、という使命感です。
── ライヴのアンコール一発目のドラムの音をケイゾウさんが「ゾニー、もっとデカい音で叩いてくれ!」って言いましたよね。そういうことってスタジオでもあるんですか?
ゾニー:ありますね。「あ、バレちゃった」と思いました(笑)。
一同:(笑)。
ゾニー:そんなに意識してなくて、普通にスっとやっちゃったんで。そこは命かける所だったなって。
マーヤ:フォワードの意識をもっと持つべき。守らなアカンし点も入れろって。
ゾニー:キーパーもやるけど、走ってこい、と(笑)。キーパーとリベロ(攻撃参加型ディフェンダー)という。
マーヤ:いや、キーパーとフォワードだよ。中間はいらないから(笑)。
ゾニー:守って、点も入れてこいってことですか(笑)。あ、でもこれ一番わかりやすいと思います(笑)。
── なるほど(笑)。ライヴの最後、フロアでの演奏でゾニーさんは立ちあがってグルっと観客を見渡しましたけど、凄く嬉しそうでしたよね。
ゾニー:まあそんなには……。シンバルでみんなが怪我しなければ良いな、と(笑)。本当にステージ上と気持ちは変わらないというか、意識はしてなかったですけどね。
── アンコールで新曲の「JUDGEMENT MAN」を演奏する前にケイゾウさんが「この何年間かイラつくことばっかり起きまくって」というMCがありました。
ケイゾウ:ははははは。
── アルバムの中でも一際印象的な「何があったんだろう?」というくらいの怒りに満ちた内容ですが、この曲が出来た背景を聴かせてもらえますか?
ケイゾウ:そうですね(笑)。まあ日々の思い通りにならないことって誰にでも沢山あると思うんですけど、そういうことを歌っています。
── 最後に「おめえだよ!」って連呼しているのはエレファントカシマシの「奴隷天国」での宮本さん風ですね。
ケイゾウ:その通りですね、タイトルの感じもそうですけど。マーヤ君が「これはJUDGEMENT MANにした方が良い」って言って。そういうのも含めてリスペクトを込めたオマージュになっていますね。
マーヤ:「ファイティングマン」からとったんです。ズバっと言ってる曲だからズバっと言い切ったタイトルが良いだろうと思って。
── ケイゾウさんとマーヤさんはこの曲の怒りを共有している感じですか?
マーヤ:まあ、良くわかりますよ。でもね、歌詞の内容をひっくるめてこの曲を通じて「がんばれ」と言いたいですね、僕は。そんなことばっかりなんで。
── それは聴く人に対してですか?
マーヤ:聴く人に対して。こんな気持ちになることも多々あるけど、「負けんな」と。それだけは言いたいですね。
── KING BROTHERSの曲は満たされない内容の歌が多いですけど、それはなぜなんでしょう?
ケイゾウ:よく「ブルースがブルースが」って言ってるんですけど、本当にそれをやりたいというか、それしか出来ないってことに尽きますかね(笑)。現時点での自分から出てくるものがそうなんで。
── マーヤさんはご自分のライヴ・パフォーマンスのテーマってありますか?
マーヤ:テーマっていうか、「こんな奴がいたらええな」っていうのを自分でやってるだけですからね。最初は「本当にこんなことやってええんか?」って思いながらやってたんですけど、昔からそんなことしてたわけじゃないのに、今は前からやってたみたいになってるから。「俺がいつ“西宮”ってずっと叫んでたよ!?」とか(笑)。なんか前からやってたことみたいになってますけど、でもそれくらいの説得力をもってがんばらなきゃと思ってます。これからもマイナー・チェンジをどんどんしていくと思うんですよ。ああいうの(「“西宮”コール」)が出てきたのって4人になってからだと思うし。そういう空間を持てたということですからね。これからどんなことをやってやろうかな、という気持ちもありますけど、軸にあるのは過去の偉大なロックンロールスターたちがやってきたことの真似ですよ。
── ロックスターへのリスペクトがあるんですね。
マーヤ:だからパフォーマンスという点で言うなら、まだまだエグいロックスターたちが沢山いるんで、その教えを本当に真摯に受け止めて全力でパフォーマンスしていきたいですね。まだ(ジミヘンみたいに)火をブワ~とかはやってないですからね(笑)。
ゾニー:ドラムセットもまだ壊してないしね(笑)。
── キース・ムーンとジミヘンが一緒にいるバンド(笑)。でもKING BROTHERSが火を点けてもドラムをぶっ壊しても多分驚かないですけどね(笑)。
ゾニー:だからそれが“前からしてた感”ですよね(笑)。
一同:ははははは!
マーヤ:まあそのまんまやると面白くないので、何か進化した形でトライしたいなと思ってますけどね。
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