【インタビュー】KING BROTHERS「YouTubeとかで動画を観てないで、ライヴにおいで。楽しいよ。」

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2014年、7年振りの原点回帰となる3人編成に戻り活動を再開したKING BROTHERS。ニュージーランドの盟友バンドThe DHDFD'sを迎えてのスプリット・アルバムとしてリリースされる新作『The DHDFD's VS KING BROTHERS』には、バンド本来の聴く者が総毛立つような爆発力が生々しくパッケージされている。3人編成となって初の東京でのワンマン・ライヴの翌日、新生・KING BROTHERSとしてメンバー全員に話を聞いた。

  ◆  ◆  ◆

── まず、昨夜のライヴ(3月3日@代官山UNIT)の手応えはいかがでしたか?

ケイゾウ(Vo.Gt):う~ん、とにかくお客さんも沢山入って良かったなという感じでしたね。

ゾニー(Dr):僕は東京初のプレイということで、すんなりお客さんに受け入れてもらって良かったなという気持ちでした。

── 新メンバーのゾニーさんは元々KING BROTHERSのファンだったんですか?

ゾニー : そうですね。10年以上前からアルバムも聴いてまして。ヤバいバンドだっていうのは知ってました。まさかそのバンドに自分が入ることになるとは思わなかったです。

── 3人編成に戻った経緯を教えて頂けますか?

ケイゾウ:去年の7月にシンノスケ(B)とタイチ(Dr)が抜けまして。次はまた3人でやってみようというのはその時から感じはじめていましたね。

── ベースが入った4人編成でやってきた中で何か違和感があったんでしょうか?

ケイゾウ:う~ん…。ベースという楽器を理解するのに凄く時間がかかったんですよね。KING BROTHERSでベースを鳴らすということに。今回3人でやろうと決めた時には、もっとダイレクトに音楽を作って行きたいなと思ったんです。マーヤ君のギターと、ドラムと僕のギターでやった方が直接的で良いなという感じで。

── 昨日のライヴ中にケイゾウさんの「ギターが2本だから音が良く聴こえる」というMCがありましたけど、あれは3人になったことを意識的に伝えたかったんでしょうか? それとも単純にベースがいないぶん、音がクリアに聴こえたということですか?

ケイゾウ:今回のアルバムの前にbloodthirsty butchersのトリビュートでレコーディングして、左右にマーヤ君と自分のギターがあって真ん中にドラムがいてという位置で楽器を置いたときに、マーヤ君が何をやってるのかとか、自分がどんなプレイをしてどういう絡みで曲が成り立っているのかというのが凄く聴こえてきて。それが今のKING BROTHERSの新しい形だなと思って。もちろん昔もそうだったんですけど。より個々のプレイヤーがどういう演奏をしているのかを感じたいんですよね。

── マーヤさんはライヴではどのように感じましたか?

マーヤ(Gt.Vo):まずライヴができるようになったという手応えはありましたけど。ライヴをするに値するラインになったという意味で。ベースの存在はとても重要に関わってきていて、スリーピース・バンドの良くない所を補ってはいたんですよ。良くも悪くもギターとドラムを接着してくれていたんですよね。でも元々バンドにいなかったもんだから、ベースの役割は明確にわかるようになってはいたんですけど、4ピースでのKINGサウンドが完成する旅路の途中で終わったので。

── 旅路の途中ですか?

マーヤ:まあ、完成形を披露できずに終わったなという気持ちはあるんですよ。

── 4人編成で7年間やってきた中でも完成形とは思えなかったということですか?

マーヤ:シンノスケも元々ベース・プレイヤーではなかったので、ベースという楽器を理解している人間がいなくて時間がかかったんです。全員で手探りでしたから。曲を作って行く上では感覚的なことだけじゃなくて、理にかなったことが必要で。曲作りって数学的な所があると思ってるんですけど、数学的解釈をして構成を考えないと上手くいかないことが多いんで。それを説明するのに時間がかかるというか、客観的に言ってあげられなかったなとは思うんですけど。僕もただ横で見ていただけじゃなくて、いろいろ勉強しましたけどね。

── KING BROTHERSの音楽性って気合いとか勢いがすべてみたいな印象があるので、数学的というのが正直ちょっと意外に思えたんですけど、ベースが弾く単音とギターのアンサンブルがむずかしかったということですか?

マーヤ:うん、それが一番難しかったですね。気合いはみんな持ち合わせていたんで。ライヴに関してはそういうことはそこまで重要じゃなくて。まあ練習が反映されないライヴをやってるんで。

── 練習が反映されないライヴというと?

マーヤ:あんまりね。たとえば僕は練習では弾いてるけどライヴでは弾いてない所がいっぱいあるから(笑)。そんなことよりギターをむしり取ってでも(ライヴで見せるアクションをしながら)「そこのおまえ! 前に来いっ!」っていうことの方がライヴでは重要だったりするんで。賛否両論の意見があると思いますけど。僕はそっちの方が重要だと思ってるから、ずっとそうやってる結果、ギターをあんまり弾いてないということにはなるんですけど(笑)。でもスタジオは別で、そもそもどういう音楽をやってるかを確認しに行く場所でもあるので。だから(ベースについては)勉強しつつ、ちょっとずつ言葉にしてあげられるようになってきたところだったんですけどね。でもそれはギターにもドラムにも歌にもすべてに言えることなんで。(3人編成で)まだ4回位しかやってないですけど、ゾニー君はまた違うタイプのドラマーなんで、前のドラマーがやっていたことは期待してはいけないし、違う魅力が個々にあると思うのでそこをガンガン出して行ってほしいなと思っていて。必要なことは、スタジオでのアンサンブルができてライヴではそんなことお構いなしに爆発できるっていうことなんで。そこを求めた結果、生き残った男なんで、彼に関してはそこはまったく不安はないですね。

── ゾニーさんが入ったことでベースが必要ないと思ったのか、それともベース抜きの編成にする上でゾニーさんのドラムが必要だったのか、どちらですか?

マーヤ:ベーシストがいたっていう事実はあるんで。その良さもわかっているんですよ。これは僕の意見ですけど、どうしてもベースシストが欲しくなったら、その時考えようって言ってたんですよ。

── まずは、原点に立ち返って、という。

マーヤ:まあでも、ど~してもベースが欲しくなったら、それはもう仕方がないじゃないですか(笑)。やるにあたって必要なパーツだということですからね。それは対応するべきだと思うし。ただ3人でやってた時のことは覚えてるし。伊達にやってきたわけじゃないので、できなかったこともできるようになってきていて。僕は昔やってたことを全部覚えているんですよ。一度も忘れたことがないくらい叩き込まれているんです。だから3人でやる自信はあったんですけど。3人でやってた頃のドラマーとは違うんで、かつてのドラマーができたこともあればゾニー君しかできない事もあるし。そういう意味では今のこの3人でのバンドがどうなっていくかはわからないですけど、土台作りはわかってるんですよ。ただね、実は僕らもそこで止まってるんです。(以前の3人編成時代のドラマー)和田シンジ君以降、3ピースの進化の途中で4人に変わったんで。だから4人でベースを迎えてやった知識というのは、これから役に立つと思ってます。それを今から新曲なんかでトライしていけたら良いなとは思っているんですけど。もちろんライヴでもそうなんですけど、昨日のワンマンで僕が感じたのは、4人になって解消したことが、3人に戻ったらやっぱり解消されていないということがあって。ベースがいてできる事も増えたし、できなくなったこともあったんですよね。具体的に言うと、3人編成になってフロアのお客さんをあんまり見れなくなったんですよ。

── ベーシストに任せて自分が前に出る、ということができなくなったという?

マーヤ:そうですね。昨日のライヴで違和感の正体がやっとわかったんですけど、俺4人だった時はめっちゃフロア見ててんな、ということで。3人になってカバーしなきゃいけない瞬間が増えたんですよね。

── ライヴを観た限りは凄く前に出て煽ってましたけど。それは4人の時とは全然違ったんですか?

マーヤ:違いますね。でもそういう風に見られてなかったとしたらバレてないというか。ひとまずなんとかやれてるんでしょうけど(笑)。でもそれを気付かれないうちになんとかせなアカンなとは思ってますけどね。個人的なことなんですけど。
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