【ライブレポート】Berryz工房、10周年。「一言でありがとうございますっていうと、なんか物足りないなって」
メモリアル公演ということで、アンコールは特別仕様となっていた。始まった曲は「あなたなしでは生きてゆけない」。彼女たちのデビュー曲である。ステージ上のモニターには当時のミュージックビデオが映し出され、あの頃のBerryz工房と今のBerryz工房がシンクロしていく。当時、大人びた小学生の女の子が精一杯の背伸びをして歌っていた「運命は ここにあったわ」というフレーズも、今ならまた別の意味にも聞こえてくる。
そう、あの頃の彼女たちBerryz工房の運命は、確かにここにあった。この10周年のステージへと続いていたのである。
ラストのMCで、メンバーひとりひとりが感想を口にする。口癖の「そうですねー」からスタートした菅谷梨沙子は、「なんかほんとに……泣かないよ?」と、会場を笑わせながら、いろんな人に支えてもらって10周年を迎えることができたことへの感謝の言葉を述べる。熊井友理奈は、普段は照れくさくて聞かない自分たちの曲を聞きながら会場入りしたというエピソードを話しつつ、「ねー、何が言いたいんだろう……(笑)。10年分の思いってほんとに、言葉にできないなって思って。それだけいろんなことがあったし。」と、涙を我慢して、「引き続きよろしくお願いします。」と頭を下げた。
そして夏焼 雅。「年をとって涙腺が弱くなった。」と、めっきり涙を見せる機会が増えた雅ちゃん。2013年11月29日の日本武道館の初単独公演の際には、開演前から感動して泣いていた雅ちゃん。
「そうですね、10年、ほんとすごいなって思うんですけど、アイドルグループで10年も続いている人たちってね、そんないないでしょ? だからほんとに、よくBerryz工房はそれが続いたなって思って。すごい飽きっぽい子たちが多いのに。喧嘩も多かったけど、うん。よく続いてるなって嬉しく思ってます。……私、ヤバい。ちょっと待って。」
順調そうに見えたMCだったが、ここでたまらず背を向けてしまう。そして雅ちゃんは、クリスタルのように輝く涙を目に浮かべながら「昨日の夜、泣いたんですよ。すでに。なんでかっていうと、夜、ももから、まず最初に……。」と、昨晩、嗣永桃子からメールが着たことを明かす。ドヤ顔のももち。「でもね、全然、感動しなくて(笑)。だってさぁ、なんか、“言ってよ”的な感じで送ってくるから。」と、雅ちゃんは、ももちが仕掛けた3月3日公演用の感動MCネタ工作を暴露。ただし、ももちからのメールの内容について「いいメールを送ってきてくれて」と、雅ちゃんも感極まって声が少し震えていたのは聞き逃してはいけないポイントではあった。
そして涙した真相を語り始める雅ちゃん。「その(3月3日)00:00になったとき、キャプテンからすっごくいいメールが届いて。ほんとにそれ、思い出すだけで泣けるの……。嬉しすぎて、もう……10年迎えられて本当によかったなって思います。」と、日付が変わったタイミングで、キャプテンからもメールが届いたことを会場に伝えて、雅ちゃんの涙腺はついに崩壊。「あー、泣いちゃった。」と、声を絞り出して、なんだか子どものように悔しがる姿に、客席からは大きな歓声と拍手が飛んだ。
そんな雅ちゃんの涙のMCを受けて、須藤茉麻の挨拶が続く。「みなさんどうもありがとうございました。」と、いつもどおり涙もなくサラッと話し始める彼女。しかし、今日、ここでなぜ須藤は涙を見せないのかが明らかになる。
「いろんな場面で、いろんなメンバーの涙を見てきたんですけど、なぜ、そういう時でも私、泣かなかったというと……。ここで初めて言います。別に恥ずかしいとか格好つけていたとかいうんじゃなくて、みなさんの目に映る私の最後の姿は、やっぱり笑顔がいいなと思っていたので。」
「最後の姿は笑顔がいい」という、Berryz工房・須藤茉麻の美学。プライド。一本筋の通った彼女の姿勢に、会場からは、この日一番とも言えるくらい大きな歓声が巻き起こったのは言うまでもないだろう。
徳永千奈美は、「10年ということは、20年、30年、40年とずっとやっていきたいなと思います。もし踊れなくなったとしても、ハロー!プロジェクトの応援席(ステージ上に設けられるひな壇)の端っこでステージに立ちたい、というくらいの気持ちはあるので、みなさんも末永く応援していただけたら嬉しいなって思います。11年目も頑張ります!」と、Berryz工房40年継続を宣言する。ももちは、会見で出た話を披露しながら、つんく♂プロデューサーと、そしてともに10年間走り続けてきたメンバー、ファンへの感謝の気持ちを伝える。「キャプテンにも副キャプテンにもなれなかった私ですけれども、ちょっとでも、“ももちがいるから元気になれるな”なんて、りーちゃんらへんが思っててくれたら嬉しいです。」というももちの発言に、コクリと頷く菅谷梨沙子だった。
「この10年間、どうもありがとうございます。」と、最後はキャプテン・清水佐紀からの挨拶。10年を一言で言い表すことはできないというキャプテンは、メンバーチェンジなく10年間、Berryz工房をやってこれたことが自分自身にとって誇りなのだと語る。そして、キャプテンなのに迷惑をかけたこともあったし、嫌な思いをさせたこともあったと過去を振り返りつつ「それでも一緒にここまで突っ走ってくれて、ほんとにありがとう。」と、涙ながらにメンバーに感謝する。
これまで、事あるごとに謙虚な姿勢を見せてきているキャプテンだが、間違いなく言えることは、Berryz工房が10年続いたのは、ほかでもない、清水佐紀がキャプテンだったから、という部分が大きいはずである。記者の記憶が確かならば、過去、嗣永桃子による「キャプテンの言葉には、(事務所の)大人の人たちをも動かす説得力がある。」という主旨の発言もあったはず。清水がキャプテンとしてグループ内外から絶大な信頼が寄せられているからこそ、Berryz工房はバラバラになることなく10年続いた。いや、もちろんこれは推測なのだが、しかし、同時に限りなく真実に近いはずだ。
「この10年間応援してくださっているファンのみなさん。みなさんがいなかったら、このステージ立つことはできないし。この10年間、歌って踊ってパフォーマンスすることはできなかったと思います。一言でありがとうございますっていうと、なんか物足りないなって感じがするんですけど、感謝の気持ちをこめて言わせていただきます。『ほんとにどうもありがとうございます』。この感謝の気持ちをこれからもっともっと恩返ししていきたいなって思いますので、これからもBerryz工房の応援、よろしくお願いします。」
そして、ファンはもちろん、10年間、Berryz工房に関わったすべての人への感謝の気持ちを込めて、7人から贈られたラストナンバーは「Bye Bye またね」。
2014年3月3日、Berryz工房10年の記念日。そして彼女たちが11年目の未来へと向かう日は、涙と笑顔でいっぱいの1日となったのであった。
text by ystuji a.k.a.編集部(つ)
◆BARKSアイドル
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