ギター/ベースの練習のベストパートナーTASCAM「GB-10」、MP3プレーヤー/レコーダー/チューナー/エフェクターで楽しく練習

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「GB-10」は、「ギター練習は、これ1台でOK」という練習ツール。パソコンから取り込んだ好きな曲に合わせて演奏が可能。速度やキーの変更、指定した範囲の繰り返し再生(ループ)や録音も可能。チューナーやメトロノームはもちろん、エフェクターも装備。腕を上げたいギタリスト/ベーシストなら要注目の機材となっている。

◆TASCAM「GB-10」』拡大画像


▲SDカードスロットは本体裏面の電池ケース内部に用意。最大32GBのSDHCカードが利用可能。電池はエネループなどの充電池も利用できる。
「GB-10」本体は、幅158cm、奥行き70cmとコンパクトなテーブルトップサイズ。操作パネルが配置された上面が手前に傾いているので、液晶も見やすく、ボタン操作も非常にスムーズ。電源は単三乾電池2本、あるいはUSBバスパワー、オプションのACアダプターが使用可能だ。記憶媒体はSD/SDHCカード。2GBのSDカードが付属するのでこれだけでもMP3なら500曲以上(128kbpsの場合)、非圧縮録音でも3時間以上を収録可能。必要なら別途SDHCカードでさらに多くの曲が利用できる。

右側面にはギター入力(標準フォーン)と入力レベル調整用のボリューム、ヘッドフォン/ラインアウト(ステレオミニ)、左側面にはUSB端子とリモート端子を装備。入出力はいたってシンプルで迷うことはないはず。


▲左側面はUSBがとREMOTE、右はヘッドフォン/ラインアウト、入力レベル調整ボリューム、ギター入力。

そして、操作性もシンプルそのもの。よく使う機能については個別のボタンが用意されているので、ここでも迷うことはない。ユーザーインターフェイスに変なクセもなく、機械が苦手という人もすぐに使い方がマスターできるだろう。


▲USBケーブルでPCに接続した状態での電源投入時の画面。ファイルのやりとりのためにSTORAGEにすると本体の操作はできなくなる。BUS POWERにすると通常の操作が可能に。
練習したい曲を本体に取り込む方法はパソコンからMP3ファイル、WAVファイルをコピーするだけ。「GB-10」を付属のUSBケーブルでパソコンとつないで電源ON(停止ボタン長押し)、BUS POWER/STORAGEの選択肢が出るので、ここでSTORAGEを選択すれば、「GB-10」内のSDカードの内容がパソコンに表示されるので、ドラッグ&ドロップでMUSICフォルダにコピーすればよい(USB 2.0対応なので速度も文句なし)。専用ソフトウェアなどはいっさい不要。コピーが済んだら電源をOFF、再度ONすればスタンバイOK。取り込んだ曲の再生が可能になる。液晶表示は日本語にも対応しているので、曲の選択も不便はない。それではギターとヘッドフォン(またはスピーカー)をつないで練習を始めよう。

■多彩な再生コントロール

液晶下に配置された再生ボタンで、MUSICフォルダ内の楽曲が即再生スタート。円形ボタンの左右で曲送りができる。ここでSPEEDボタンを押せば、VALUEボタンの-/+で0.5倍~1.5倍まで(0.1倍刻み)の変速再生が可能。音程が変わらないVSA(Variable Speed Audition)機能は、遅くしても音が極端に劣化することもなく非常に聞き取りやすいのが特徴。最初は遅くして、慣れてきたらだんだん速度をアップしていくという練習が手軽にできるし、速弾きフレーズの耳コピーにも重宝する。

KEYボタンでは音程の上下が可能。同じくVALUEボタンで-6から+6まで半音単位で設定できる。これもなかなか便利だ。たとえば、半音下げチューニングの曲であっても、ギターはレギュラーチューニングのままで合わせることができる。カポタストを使えば、上げることはできるが下げるのは無理。キーの異なる曲をいろいろ試したいという場合にもカンタンに対応できるというわけだ。キーを下げると女声ボーカルが男声っぽくなったりという違和感はあるが(これはほかの同種の機材も同じ)、楽器の音そのものがわかりにくいということはないので、いっしょに演奏する分には問題ない。また、KEYボタンを再度押せば、ファインチューンで-50~+50セントの微調整も可能。古い音源に多い、微妙にチューニングがずれた楽曲にも対応できるのだ。うれしい配慮だ。

繰り返し練習に必須のループ再生もとてもカンタン。繰り返したい範囲の最初と最後でLOOPボタンを押すだけ。再生モードをプレイリストにしておけば(後述)、1曲内に5つの範囲を指定可能。複数のポイントを繰り返し練習したいという場合にも対応できるようになっている。


▲可変速再生、キー変更、ループ再生が操作パネルのボタンでカンタンに行える。

このほか、再生中に再生ボタンを押すと数秒戻るフラッシュバックという機能も用意される。戻る秒数は1~10秒(1秒単位)で指定可能。耳コピーの際にループするほどではないけど、ちょっと戻って聴き直したいということは多いはず。インタビューのテープ起こしなどに便利に使えそうだ。

なお、VBR(可変ビットレート)で作成されたMP3ファイル使用時にループ再生で正確なIN/OUTポイントが設定できない場合があるほか、サーチ時に経過時間の表示と再生音がずれる、曲の最後の部分を繰り返して再生したりする場合がある(いったん停止すれば正常な状態に復帰する)。曲ファイルを準備する際にはCBR(固定ビットレート)で作成するのがベストだ。

■ギターエフェクトも用意


▲ギターの演奏。円形ボタンの下(ギターのアイコン)を押せばギター入力からの音が聞こえてくる。
いっしょに演奏する曲の用意ができたら次はギターの準備。シールドを挿したらボタン一発でギターの音が聞こえてくる。いくら練習といえども、「クリーンなサウンドだけではつまらない」「歪みやエフェクトで気持よく弾きたい」という人も本体だけでOK。別途アンプシミュレーターやエフェクターは不要だ。

ここでも設定はカンタン。まずは入力ボリュームでギター入力の音量、BALANCEボタンとVALUEボタンで楽曲ファイルの再生音量を調整。EFFECTボタンでエフェクトON/OFF、長押しで設定変更となる。プリセット10種+ユーザーによる設定保存も10個まで可能、いつでも呼び出し可能。設定項目のタブは3つあり、アンプのタブではゲイン/マスター/トーン、さらにキャビネットも選択可能。リバーブの量もここで設定する。コンプレッサータブでは深さ/アタック/レベルを、FXタブではエフェクトタイプとそれに適したパラメータを設定する。エフェクトタイプにはコーラス、フランジャー、フェイズ、トレモロ、オートワウ、ディレイが用意される。

設定項目はいたってシンプル。アンプの設定は名機のモデリングといったものはないが、クリーンからクランチ~ディストーション・サウンドまで、練習には十分なサウンドメイクができる。エフェクトも上品で粗い感じはない。もっと凝った音作りが必要なら、お気に入りのストンプなり機材なりをいつものようにつなげばいい。それでも「GB-10」の機動性が失われることはないはず。


▲EFFECTボタンとギター入力を押すと画面上の「FX」「G.IN」のアイコンが反転(左)。EFFECTボタン長押しで設定画面。まずはプリセット選択(中)。アンプ設定タブではキャビネットの変更やリバーブの設定も(右)。


▲コンプレッサーの設定(左)、エフェクト設定(中)が終わったらSAVEタブで設定を保存。BALANCEボタンでは曲再生音の音量が調整できる(右)。

■重ね録りもOKな録音機能

楽器練習にもう1つ欠かせないのが録音機能。自分の演奏をチェックする機能もしっかり「GB-10」は備えている。

ギターの演奏はSDカードにオーディオファイルで保存可能(16ビット/44.1kHz、非圧縮のWAVファイル)。自動で新規にファイルが作成されるので面倒な手間は不要だ。ファイルのタイムスタンプが固定(時計を内蔵していないので、日時が2010/10/01 0:00になる)なのがちょっと不満だが、ファイル名は自動で連番となるので、運用面でさほど不便はないはず。

録音で注目したいのは、曲に合わせた演奏を録音するオーバーダビング(多重録音)機能。オーディオファイルを再生しながら入力音をミックスして録音できるのだ。この場合はもとのファイルは残したままで、新たにファイルが作成される。操作は録音ボタンを押しながら再生ボタンを押すだけだ。なお、再生速度やキーの変更をした状態でのオーバーダビングはできない(通常再生のみとなる)が、そこはしっかり練習してオリジナルの速度・キーに合わせられるようがんばろう。もちろん、自身で録音した曲へのオーバーダビングも可能。バッキングを録音、その上にソロを重ねるなんてこともできる。

■その他の便利な機能

練習に便利な機能としてチューナーとメトロノームも用意。チューナーは、メーターがグラフィカルに表示されるほか、基準周波数も変更できる(A=435~445Hz)し、内蔵オシレーターを使って基準音を出力することもできる(C3音~B5音)。メトロノームは9拍子まで対応で1拍めにアクセントがつく(0指定でアクセントなし)、テンポは20~250、レベル調整も可能と十分なもの(ただし、メトロノームを流しながら録音不可なのが残念!)。

ファイル管理機能もなかなかよくできている。フォルダごとSDカードに放り込むことができるので、アルバム単位での管理が楽に行えるだけでなく、曲送りの際の再生範囲をフォルダ単位に絞ることが可能(全ファイルを対象とすることも可能)。また、本体内でプレイリストを作成すればそれを再生範囲にすることもできるし、ループ機能が拡張され1ファイルあたり5カ所のループが設定可能になる。


▲チューナー(左)、メトロノーム(中)も用意。ファイルはフォルダでの管理が可能で、プレイリストを利用すれば、収録フォルダの異なる曲の連続再生なども可能になる(右)。

録音機能では、録音したい音の頭が切れることを未然に防ぐ録音開始操作2秒前から録音できるプリレック機能、入力信号のレベルに応じて自動で録音を開始/一時停止するオートレック機能(オーバーダビング時無効)を備えるほか、最大ファイルサイズ(2GB)または任意の位置で現在のファイルへの録音を停止し、新規ファイルに録音を継続するトラックインクリメント機能も備える。録音したファイルを任意の位置で分割することがパソコンいらずでできるのも便利だ。

また、今回はテストしていないが、オプションの3ボタンフットスイッチ「RC-3F」があれば、ハンズフリーでさまざまなコントロールが可能になる。モード切り替えにより、再生/早送り/巻戻し操作、フラッシュバック機能を使って短時間で同じフレーズを何度も聞く、エフェクト操作(プリセット変更&再生/停止)、録音やオーバーダビング操作ができるので、両手はギターに専念させたいという人はこちらも検討してほしい。


ギター/ベースの練習に欲しいと思う機能がこれでもかと詰まった「GB-10」。「同じことはパソコンでもできる」と思っていたが、実際に使ってみると、セッティングのカンタンさ、物理的なボタンによるダイレクトな操作感、手軽さはこちらのほうが数段上。電池駆動OK、ギターバッグに入れておけるサイズということもあり、いつでもどこでもすぐに練習が始められるというフットワークの軽さは非常に魅力に感じられた。家族に気兼ねなく練習できる点もポイントが高い。発売から時間がたっているので、価格面での魅力も十分。あらためてチェックしてほしい逸品だ。

<おもな仕様>
記録メディア:SDカード(64MB~2GB)、SDHCカード(4GB~32GB)
録音ファイルフォーマット:WAV
WAV量子化ビット数:16ビット
再生ファイルフォーマット:WAV、MP3
WAV量子化ビット数:16ビット/24ビット
MP3ビットレート:32~320kbps、VBR対応、ID3TAG Ver.2.4対応
サンプリング周波数:44.1kHz
チャンネル数:2チャンネル
再生スピードコントロール:0.5倍~1.5倍(0.1倍単位)
再生キーコントロール:♭6~♯6(半音単位)、ファインチューン(-50セント~ 50セント)
アナログ入力:
・GUITAR IN(モノラル標準ジャック、アンバランス):入力インピーダンス 800kΩ、基準入力レベル -13dBV(0.2V、INPUTボリューム 7) 、最小入力レベル -25dBV(0.05V、INPUTボリューム 10) 、最大入力レベル 3dBV(1.4V、INPUTボリューム 7)
アナログ出力:
・ヘッドホン/LINE OUT:3.5mmステレオミニジャック、アンバランス
・ヘッドホン接続時 :最大出力 15mW 15mW(32Ω負荷)
・LINE接続時:出力インピーダンス 23Ω、基準出力レベル -14dVB(10kΩ負荷) 、最大出力レベル 2dBV(10kΩ負荷)
エフェクター:ギターアンプ(リバーブ)、コンプレッサー、FX(コーラス/フランジャー/フェイザー/トレモロ/オートワウ/ディレイ) 、初期プリセット数 10、ユーザープリセット数 10
チューナー:クロマチックモード=測定範囲 B0(30.90Hz)~E6(1318Hz) 、オシレーターモード=チューニングトーン範囲 C3(130.8Hz)~B5(987.8Hz) 、A4キャリブレーション範囲 435Hz~445Hz
メトロノーム:テンポ範囲 4分音符=20~250回/分、拍子 0~9拍子
USB:mini-Bタイプ、フォーマット USB2.0 HIGH SPEED(480Mbps)
REMOTE:2.5mmステレオミニジャック、別売フットスイッチRC-3F専用
電源:単3形電池2本(アルカリ乾電池またはニッケル水素電池)、USBバスパワーから供給、AC100~240V、50-60Hz(別売AC アダプター PS-P520)
消費電力:0.4W(MP3再生時)
電池持続時間:アルカリ乾電池使用時(EVOLTA)=約13時間(JEITA録音時間)/約13.5時間(JEITA音楽再生時間) 、ニッケル水素電池使用時(eneloop)=約11時間(JEITA録音時間)/約11.5時間(JEITA音楽再生時間)
外形寸法:158(幅)×30(高さ)×70(奥行き)mm
質量:160g(電池を含まず)
付属品:SDカード(2GB、本体に装着済み)、USBケーブル

◆GB-10
価格:オープン(オンラインストア価格:14,800円)


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