【インタビュー】the god and death stars、集大成的アルバム『mary bird milk』リリース「歌謡曲は避けてきたんです。でもひとりになってみると“みゆき感”濃いなぁと」

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the god and death starsが2月12日、全12曲を収録した『mary bird milk』をリリースする。2曲の新録曲に加え、2013年12月25日に下北沢SHELTERで行われたワンマンライブ<複雑な倒立>から10曲のライヴ音源を収録したこのアルバムには、the god and death starsの現在進行形が宿って鮮烈だ。
deadman、the studs、THE MADCAP LAUGHSなど、数々のバンドのギターとしてシーンに名を馳せてきたaieを中心に活動をスタートしたthe god and death starsは、ex.蜉蝣のベーシストでありSTEREO.C.Kのkazu、ドラマーに大嵩 潤を迎えた3ピース。ソリッドにしてタイトなバンドサウンドは、もともと演奏力の高い3人が集まったならではのもの。他人にお任せ的な邪念がなく、潔い。
オルタナティヴな質感の強いバンドサウンドのルーツと最新the god and death starsスタイルについて、aieに話を訊いた。

◆アルバム『mary bird milk』トレーラー

■どんなギターを使っても俺が弾けば俺の音になるっていう
■歌に関してはステージの本数を増やすことが大事だった

──遡ると2006年くらいからthe god and death stars名義で活動をはじめたということですが、その経緯はどういうものだったんですか。

aie:これは、僕がパーマネントにやっていたバンドが止まってしまって、やることがないときに、ひとりで活動するときの名前として使っていたんです。今の3人になったとき、バンド名を変えてもよかったけど、誰もこだわりがないので。っていうことでバンド名だけは2006年からあるんですけど、実際は、この4年くらいでようやく動き出したという感じですかね。

──個人ではじめたときは、漠然とでも自分の音楽のスペースとしてこういうことがやりたいとか、こういう面を出したいというものはあったんですか。

aie:とくになかったんですよね。例えば、次にまたバンドをやるとしたときのデモテープ作りじゃないですけど、ライブでやった感触でいけそうな曲は残していこうっていう、公開リハーサル的なものでいいんじゃないかなと思ったんです。それの延長なんですよね、今も。とくに、なにか決めているわけじゃないんです。

──バンドの形態として3人という人数にこだわりはあったんですか。

aie:4人でもいいんですけど、それこそ一から全部自分たちでやってるから、4人になると収入が減るなとか(笑)。もうちょっとそこがクリアになったら、4人になるかもしれないですけど。

──そのくらいなんですね(笑)。それまではギタリストとしてのキャリアもあるわけで、ギター&ヴォーカルになると歌という制約が入りますよね。歌とギターのせめぎ合いとか、面白さっていうのは感じているんですかね。

aie:僕もともと、ギターを弾いてましたけど、あまりギタリストが好きじゃないっていうか。カート・コバーン(ニルヴァーナ)とかギター&ヴォーカルの人のギターが好きで。そういう人たちのアプローチのほうが歌に純粋に近いし、そういうギターをむかしから心がけていたので。そこはスムーズでしたね。ほんと、ギターに関してはまったくこだわりがないんですよ。なんでもいいんです、サオもアンプも。鳴ればいいっていう。

──これが自分の音だっていうのがありません?

aie:生意気かもしれないですけど、俺が弾けば俺の音になるかなっていうのは最近思うというか(笑)。さすがに長い間やってるとあるかなっていう。

──この楽器、機材を使うからとか、この音の組合せだからじゃなくて、もっと裸のところで勝負してるっていう状況なんですね。

aie:それも不幸中の幸いというか。バンドからひとりの形になると、自分のアンプとかを持っていけないんですよね。車も持っていないし、基本的に電車移動なので。そういうスタンスになったときに、どの現場にいっても同じ音を出すのは、どの現場にでもあるアンプ……たとえばジャズコーラスとかマーシャルとかを使うのがいちばんいい。最小限って考えると、なんでもよくなるんですよ。実際、今やっていても、過去出している音とあまり変わらないので、こだわりはまったくないですね。壊れてなければいい、壊れてても最悪OKかなくらいの(笑)。

──そこまでになれるって結構難しいことだと思いますよ(笑)。

aie:ひとりになったとき、とにかく限界までやれることやろうと思って、全部のオファーを受けたんですよ。とくに去年、一昨年くらいは1年で100本近くライブをやって。バンドは長いことやっているけど、歌は1年のものなので、リハーサルよりも、ステージの本数を増やすことが大事だったんですよね。そういう流れで、持ちものの制約とかがあって今のスタイルに落ち着いたかなっていう。でも、楽器とか機材を買うのは好きなんですよ。ただ、買って満足というか。

──ライブの千本ノックの間にいろいろ削ぎ落されて、今は必要なものだけでやっていると。

aie:歌とかも、自分で言うのもあれですけど、一年単位で成長を感じるなと思っていて。そこも楽しいんですよね、まだまだ。

◆インタビュー(2)へ
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