【ライブレポート】SASAKLA、静かに熱くパフォーマンス
2014年1月14日(火)19時から渋谷区伝承ホールでにて<SASAKLA NEW YEAR BAND CONCERT>が開催された。林立夫、伊賀航ほか豪華バンドメンバーと共に、自身の運営するスタジオ「guzuri recording house」のテラスを模したステージに立ったSASAKLAは、1stアルバム『Rocking Chair Girl』と2nd『Spring has come』、ミニアルバム『Country Made』からの曲と、ジェームス・テイラーの「Sweet Baby James」、大瀧詠一の「スピーチバルーン」のカバーを含む計20曲(本編 18曲、アンコール2曲)を、静かに優しく、しかし熱い情熱をもって、2時間にわたりプレイした。
◆SASAKLA 画像
18時の開場から続々と人が集まる伝承ホールのロビーには、手紙社がオープンしたcafeが登場。珈琲はもちろん、紅茶やビオワイン、シードル、シナモンやイチジクのシフォンケーキ、イチジクとくるみのパウンドケーキ、チーズやみそ味などのビスコッティ、クリームチーズとオリーブなどバラエティ豊かなFood&Drinkが、寒さに身を震わせた来場者の心も身体も温かくほぐした。19時をほんの少しまわったタイミングでステージ上にバンド・メンバーが全員登場、1stアルバムのタイトル曲「Rocking Chair Girl」で、SASAKLAのコンサートは幕を開けた。
4曲目まで演奏してから、メンバー紹介と本日のステージセットについて簡単に説明するSASAKLAは、スムーズな演奏とは真逆な口下手なMCで観客を一瞬にしてハラハラさせた。コンサート中盤、チェロの橋本歩と2人で演奏した「クランベリーの庭」の後、1人でステージに立ったSASAKLAは、敬愛するジェームス・テイラーの1970年のヒット「Sweet Baby James」を披露。入間のジェームス・テイラーと称される事もあるSASAKLAは、ジェームス・テイラーの子守唄を優しくしっとりと、愛情深く歌った。
さらに2曲をSASAKLAひとりで演奏した後、バンドメンバーが再びステージに登場。ミディアムテンポなナンバーを3曲披露した。時にメロウに、時にSWAMPなアレンジで聞かせたステージ本編のラスト曲は、先日急逝した大瀧詠一のアルバム『A LONG VACATION』から「スピーチバルーン」だった。大瀧詠一のアルバムでもドラムを演奏した林立夫と共に、SASAKLA流の大瀧詠一ワールドで本編は幕を閉めた。
2ndアルバムのタイトル曲「Spring has come」から始まったアンコールでは、このステージ初のSASAKLAのロングMC?と言うか、ぼやきモードが炸裂。「きっと神様が僕に何か喋らせてくれると思ったんですが、何も喋らせてくれませんでした。guzuri recording houseのテラスを模したステージだから、キャッキャ楽しく出来ると思ったんですが全然無理でした。リハではあれこれ考えて、トークもバッチリ決まってたのに…」などなど。
また2013年5月に行われた伝承ホールコンサートでサウンド・エンジニアを担当し、SASAKLAの心の師でもあった、2013年11月に逝去された藤井暁についても「藤井さんと出会ってなければ、ここでこんな風に歌っていなかった」「藤井さんの音作りを見て、その時の空気感、時間を刻む大切さ、時間の尊さを教えてもらった」と語り、「音楽と言う尊い時間をこれからも残して行きたい」と決意を静かに、藤井暁や大瀧詠一に宣言する様に口にした。
アンコール最後の曲は新曲「南の窓から」。SASAKLAのスタジオguzuri recording houseは南側にドアがあり、そのドアから人が出たり入ったりすると言う。大瀧詠一、藤井暁は慌しく2013年末に出て行ってしまった。しかしSASAKLAのスタジオや心には、しっかりと彼らの残した音が宿っている。そんな事を感じさせる2時間のライブだった。