【ライブレポート】HERO、大熱狂&見事な一体感で渋谷公会堂をライブハウス化。「暴れなかったことに悔いを残すな!」
「渋公! ついに来たな! 今年の締めくくりのワンマンだ! キメてこうぜ! いいか? 今日は歌で始まって歌で終わろう。デカい声で歌ってくれ!!」
◆HERO <メジャー1stワンマンツアー「オープニング」~グランドファイナル~ 「ライブハウス渋谷公会堂へようこそ!」> 画像
メジャー1stワンマンツアー「オープニング」を経てのグランドファイナル公演はHEROにとって初のホールワンマンでもある12月30日の渋谷公会堂。「ライブハウス渋谷公会堂へようこそ!」と強気なタイトルが付けられたこのライブで、彼らがどんなステージを見せてくれるのかは、正直、未知数だったが、驚くべきことに4人は前半戦にして椅子のある空間にかまえることなく、前半から渋公を文字通りライブハウスに変えてしまった。
初ホールに緊張するどころか、HEROはオープニングから、会場の空気を掴んでしまったといっていい。のっけからリリースされたばかりのメジャー第2弾シングル「絵足し歌」をぶつけ、サビで「オマエらの歌声、聴かせてくれよ!」とJIN(Vo)が煽り、大合唱。続く「to you…」ではみんなが隣の人と肩を組んだ状態でジャンプして盛り上がり、メンバーも嬉しそうな表情だ。そして、2012年にアニメの主題歌に起用され、スマッシュヒットを記録した「テノヒラ」では連帯感としか言いようのない横モッシュ状態。
2階席まで壮観なほどの光景が繰り広げられるが、4人が、しっかり足に地をつけて初ホールに立っていることが何より頼もしかった。“恥ずかしい気持ちなんて、ここでは必要ないよ”と言わんばかりのリーダーシップを発揮するJINは、ハイトーンが際立つ伸びやかなヴォーカルを聴かせ、SARSHI(G)、yu-ta(B)、Yusuke(Dr)の楽器陣はソリッドで力強いバンドサウンドを鳴らし、パフォーマンスに気をとられて、演奏が乱れることがいっさいない。HEROは疾走感のあるストレートでメロディアスな楽曲がメイン。それだけに心地いいグルーヴを出すのはハードルが高いと思うのだが、スリーピースの息の合った演奏は彼らがインディーズ時代から、ここに至るまで積み上げてきた実力を物語っていた。
そして、MCになると早口かつ毒舌かつハイテンション。HEROの初ワンマン記念日である12月30日に多くの人が集まってきたことにお礼を述べつつ、「2階席があると上から見降ろされているみたいでムカつく」と笑わせ、「今日は父親と母親が見に来てます。初呼び!」と会場を沸かせる。そこから、親孝行しようと思ってカニ料理をごちそうしたエピソードへと移行し、照れ屋のお父さんのレストランでの様子をみんなの前で暴露(笑)。場内を思いきりリラックスさせた直後に、「暴れてないヤツを1人も作るな。1人ぼっちを1人も作るな。いいか!?」と煽り、炎が上がる演出の中、SARSHIとyu-taが走ってポジションを入れ替わるアッパーなナンバーに突入する展開もみごと。“赤い糸”をモチーフにしたJINのメッセージとキメの連続のバンドアンサンブルが醍醐味の新曲「Red String」もライブの流れの中にごくごく自然に組みこまれ、「頭振る準備できてるか?」とメジャーデビューシングル「答え合わせ」が披露されると完全にHEROのペースだ。
インディーズ時代から演奏されてきた懐かしいナンバーと新しい曲が入り混ざったセットリストは、きっとHEROの歩いてきたヒストリーそのもの。そして、彼らは成長した自分たちをカッコをつけて見せるのではなく、当時の熱いスタイルのまんま渋谷公会堂に持ちこんだのだ。
キュンとさせるピュアなラヴソングを歌うJINのMCにふりまわされることもHEROのライブに行ったら覚悟(?)しなければならない。この日もヘドバンして疲れた瞬間のみんなの顔にツッコミを入れたり、いきなり着席させて、イエスノーゲームをさせたり。メンバーすらも例外ではなく、いつか、テレビ番組「ミュージックステーション」に出演したときに、各自がどういうふうに登場するか、ステージに設置された階段を使って実践させられたり、とにかく何をしゃべり出すか予測不可能。それでいて、何度も「みんな、疲れてない?」と客席を気づかう優しさをのぞかせていたのも印象的だった。
後半は大歓声があがった初期のナンバー「This is Live!!」でみんな、くるくるまわりながら歌い、「暴れなかったことに悔いを残すな!」と「相対性理論」では銀テープが舞い、怒濤のヘヴィチューン「翼が折れて迷宮に迷い込んだ漆黒の天使」へと突入し、本編ラストは「最後はオマエらの声で締めてくれ!! 一緒に歌を共有してくれ!!」と叫んだ「ソプラノ」。みんなの歌う声がライブハウス、渋谷公会堂に響きわたったのは言うまでもない。
そして、アンコールではSARSHIの半生を振り返った写真がスクリーンに映し出されるという企画に、みんな大爆笑。かわいらしい幼児期を経て、「ムサ〜い!」という声が飛び、爆笑された中学生時代、金髪になった高校生時代から、バンドを始めた頃のメイクバリバリの時代を経て、現在の写真が映し出されると、「中学時代に戻ってない?」とJINからの毒舌ツッコミ。「デカイ声、まだ出せるか? 拳作れ!!」と「罪と罰」ではオイコールで一体になり、「人間定義」ではヘドバンの嵐に加え、ウェーブまで飛び出す熱い光景が。
しかし、まだまだ体力があまっているHEROとオーディエンス。ダブルアンコールでは彼らの原点の楽曲「超過激愛歌」が披露され、JINは最後に想いのたけを話した。
「楽しかったか? よく(ファンを)アガるって言うじゃない。だけど、俺らがオマエらにサヨナラするのは解散するときだから。オマエらからサヨナラするってムカつくじゃん? 俺らは俺らのやりたいことを信じて歌うことしかできないからさ。これはいい!って自分たちで思うものしか作りたくないから。でも、一生懸命やるから、これからもついてきてな!」
拍手と歓声に渋公が沸き、ラストナンバーは、出会えた喜びと“アリガトウ”を何度でも言える嬉しさを歌った「カゾエウタ」。「約束の歌だ」という言葉とともに披露されたこの曲をみんな、じっと聴きいっていた。
完全燃焼したライブが幕を閉じたあとにスクリーンに映し出されたのは「See you again」と題して2014年の5月から全国ツアーがスタートし、ファイナル公演が8月23日に日比谷野外大音楽堂で行なわれるというニュース。ツアーとともに5月にニューアルバムがリリースされることも告知された。
2013年の最後のミッションだった渋谷公会堂をライブハウスにするもくろみは大成功。爽やかさと熱さと、そのアクの強さで2014年も駆け抜けていってほしい。
文◎山本弘子
<HERO ONEMAN TOUR 2014「See you again」>
2014年5月5日(月) 大阪AKASO
2014年6月8日(日) 柏PALOOZA
2014年6月14日(土) HRさいたま新都心VJ-3
2014年6月21日(土) 仙台MACANA
2014年7月12日(土) 名古屋E.L.L
2014年7月19日(土) 岡山IMAGE
2014年7月26日(土) 金沢AZ
2014年8月2日(土) 福岡DRUM Be-1
<HERO ONEMAN TOUR 2014 FINAL>
「See you again」“また会いましょう”
2014年8月23日(土) 日比谷野外音楽堂
◆HEROオフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・VARKS
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