【ライブレポート】MICHAEL、聖なる夜に降臨。「一人でも待っていてくれる人がいる限り、バンドはやめられないし、歌うのもやめられない」

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2013年8月12日に行なった日本武道館のライブを最後に活動を休止したロックバンド・SOPHIA。そのメンバーである松岡充(Vo)、豊田和貴(G)、赤松芳朋(Dr)の3人が結成したニューバンド、MICHAELが12月25日にZEPP TOKYOで<“Holy night from archangel” 20131224-1225>を開催した。

◆MICHAEL ライブ写真&0th Mini Album『MICHAEL』ジャケット写真 画像

聖なる夜、クリスマスにMICHAELが降臨――。
12月24日に大阪、続く25日の東京でMICHAELの第零章が幕を開けた。

12月25日。会場が暗転し、流れ出したのは「愛の讃歌」だった。始まりから観客の度肝を抜く。それもそのはず。SOPHIAとまったく同じオープニングSEだったのだ。彼らの、MICHAELにかける想いが生半可なものではないことが伝わってくる。SOPHIAのライブ同様、フロアから大きな拍手が上がり、SEが終わると、ピアノが奏でられる中、舞台中央から伸びた花道の先端に松岡が登場した。

まず彼が歌いだしたのは、カバー曲「Amazing Grace」であった。クロスを象り、青いカーペットが敷かれた花道の上、声量感たっぷりの伸びやかな声でこの日、MICHAELを信じて集まってくれた観客に“あなたの声が聞こえる”と伝える。この後は豊田、赤松が、豊田作曲のインストで場内の空気を温めた後、松岡が加わってSOPHIAの「Lucifer(ルシファー)」を披露する。

この堕天使“ルシファー”の対極に位置するのが大天使“MICHAEL”である。そんな大天使がクリスマスの夜に初めてこの地に降り立った。あまりにも出来過ぎたシナリオ、と思うかもしれないが、これらすべては偶然が重なって生まれたものだろう。運命に導かれるようにすべてが短期間で決まり、つながっていったMICHAELの誕生。性急だったからこそ、SOPHIAファンから非難を受けたのも事実だ。“もし僕があなたを傷つけたのならば、同じくらいに僕を傷つけて下さいな”と歌うカバー「みにくい反逆児」(松岡がCASCADEのボーカル・TAMAのソロデビュー/TAMAMIZUで提供した楽曲)には、そんな非難もすべて受け止めるという彼らの覚悟と同時に、“僕たちは君を傷つける為に変わる訳じゃないんだ、この思いがきっといつかは君に届くはずさ”と伝える。

すべての曲にMICHAELからのメッセージが刻み込まれている。だからこそ、ここまでフロアの観客のほとんどは静止状態で音楽に聴き入っていた。最初のMCで「この静けさ、ハンパないわ~」とこの日初めて口を開いた松岡は、「ミッシェルです」、「マイケルです」など自らバンド名を茶化して、緊張感たっぷりのフロアを和ませた。そしてMICHAELの新曲、そのなかでもご機嫌なロックンロール「かくこそありしか 合縁奇縁」を披露する。

“傷口を伝えるより笑顔を”という歌詞のとおり、曲中で松岡と豊田が花道に出てくると、とたんにフロアには愛らしい笑顔が広がる。その後、クリスマス限定キャラクターとなるブルーサンタのコスプレをした松岡が登場すると、場内はさらに華やいだムードに。SOPHIAの「GJ escAPE」をベースにしたクリスマスソングをメドレーで演奏するコーナーでは、オーディエンスに「第九」をハミングで輪唱させたり、天使の羽が描かれたクリスマスケーキと一緒に記念撮影するなど、みんなでクリスマスを満喫。そして、ここからだってまだまだいけるんだと新曲「new world satisfaction」を通していまの気持ちを伝える。

この後始まったメンバー紹介のコーナーでは、豊田が「MICHAELのジルです、ってすげぇ照れるわ(微笑)。でも何かが始まった気がする」と語り、“太鼓の達人”の名手としてテレビに出まくった赤松は「芸能人やったのにモデルとは付き合えませんでした…」といって場内を大いに笑わせた。その勢いのままSOPHIAの「君の詩」を豊田がアレンジしたスカver.で楽しくプレイ。さらに、ここでは松岡からSOPHIAのクラシックアレンジアルバムを制作していることが発表され、場内が沸き立った。

ライブの後半はバラードコーナーからスタート。今日という始まりを祝うかのようなSOPHIAの「farewell」ではピアノと松岡の歌声だけのシンプルな構成で、途中からバンドインするMICHAELの新曲バラード「僕の場所」、さらに“ルシファーにさよならをして歩き出すよ”という歌詞が胸に響く「be tomorrow」へと言葉をじっくり紡いでいった。そして松岡のMCへ。ここではあらためてMICHAEL結成の経緯、その胸の内をファンの前で吐露する。

「どうしてもこの24、25日に間にあわせたかった。なんかね、導かれてる気がしたんです。8月12日で止まってしまった時計をほったらかしにして“他に違う事やります”っていうのが僕はできなかった。SOPHIAは俺ら5人とオーディエンス、スタッフ、関わる全ての人と一緒に創る空間のことだとずっと言ってきました。いつか、5人でまたプレイできたらいい。だけど、僕たちの時間は進んでいくんです。僕には……聞こえてくるというか……。寂しさとか、痛みとか。そういう悲しみ、苦しみを持ち寄って、この会場でみんなでそれらを喜びや温もりに変えて、また日常に戻って各々の人生を頑張って生きていく。それがSOPHIAのライブだと思うんです。(みんなの)寂しさとか痛みが聞こえてくるのに、僕は放ったらかしにできないんです。やっぱりね、目の前にいるみんながいるからなんですよ。一人でも待っててくれる人がいる限り、バンドはやめられないし、歌うのもやめられない。そこまで僕の人生かけてやっていきたいと思ってます」

その後に披露した「東京」、そして「Archangel」 は今後MICHAELの王道になりそうな匂いを持った強い楽曲だった。そして、ライブ終盤にはなんとSOPHIA活動休止ライブの最後に届けたあの「White」を再び熱唱する。“これからも君のそばにいて僕の精一杯を歌うよ”とこの楽曲を通してファンに誓った後は、再びオープニングで歌った「Amazing Grace」を今度はバンドver.で届け、この日なによりも優先してこの場所に集まってくれたオーディエンスのことを想いながら松岡が書き上げた日本語詩で歌われた。“あなたの声はちゃんと届いているから”と言わんばかりにフロアにいる観客を明るい照明の光で包み込んでコンサートは終演した。

今回は、MICHAEL3人に加え、ベーシストにBOH、ピアニストに桑原まこを招き、ライブを行った。その時々のゲストミュージシャンやサポートメンバーによって、アレンジは変わっていく。そんな新しい人との出会いを血肉にしながらも、SOPHIAのライブ空間でみんなが求めていたもの。その欠片は、少なくともここにはあるから、みんなでまた一緒に創り上げていこう。そんな彼らの本気の決意が伝わってきたライブだった。

文◎東條祥恵

本日12月26日(木)23時~
ニコニコ生放送公式レギュラー番組
『松岡充の世の中ヲタしい事だらけ!』
http://live.nicovideo.jp/watch/lv163172123
ZEPP TOKYOライブ翌日の最新メッセージをチェックしよう。


◆MICHAEL オフィシャルサイト
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