【インタビュー】DIAURA、2ndフルアルバム『FOCUS』完成「“常識を疑え”っていうコンセプト自体がこのバンドを表している」
■“自分の頭で考えて自分を持ってほしい”というのが一番のメッセージ
■そこに到るまでの物語を紐解いてゆく、映画のような作り方にしたかった
──クワイア(合唱)を交えた重厚な「The Redemption」といい、いわゆるロックバンドの枠に収まらない曲が満載のバラエティ豊かな作品ですから、引き出しを増やす必要があったというのも納得です。曲の持ち味を引き立てるためには、より多彩なアプローチが必須になってくる。
佳衣:コンセプトを聞かされたときに、すごく壮大と言いますか。平和な国もあれば戦時中の国もある、そんな相反したものが入り乱れる世界規模のイメージを受けたので、曲もいろんな表情を持っていなければいけないなと考えたんですよ。そこで挑戦したのが1曲目の「Code:0」と3曲目の「TABOO」で、前者では今までになくデジタリックな打ち込みをメインに。後者ではイントロからシタールを入れて、民族的なアプローチをしてみました。「Code:0」が近代的だから、その裏側にある未開拓な部分を出したくて、あえて「TABOO」にはアコギを入れたりもしてるんですよね。
yo-ka:「Code:0」では佳衣がメロディまで付けてきてくれて、人のメロディを歌うのは初めてだったのに、特に手直しする必要もなく、すんなり歌えたんですよ。逆に良い手応えを感じられて、また一つ新たなDIAURAの可能性が見えました。
達也:「TABOO」みたいな曲調は、俺もずっと叩いてみたかったので、佳衣がデモを持ってきてくれたときには“ナイス!”って思いましたね。フレーズを作るのにもワクワクしたし、ベースがこう来るならドラムはこう!っていうスリリングなやりとりが、とても面白かったです。
翔也:あの曲は僕も弾いてて楽しかった! デモを聴いたときにキーワードとしてインドが浮かんだので、どこまで異国感が出せるか?に挑戦して。結果、すごくベースが活きるフレーズを弾けたんですよ。逆に、とにかく苦しかったのが8曲目の「Lost rain」。あそこまでテンポの遅いドバラードは初めてで。ベースが出過ぎてもいけないし、引きすぎても淡々としたつまらない曲になってしまう。そのサジ加減がすごく難しかったです。
達也:ドラムの音にも気を遣いましたね。曲から受けるイメージが優しく、包容力のある感じだったので、あまりうるさすぎず包み込めるようなビートでいこうと。
──ダークな世界観の曲が多い中で、歌詞的にも光を感じさせる曲ですよね。
yo-ka:うーん。光があってほしいと願っている曲ではあります。今回、アルバム通して被害者側の目線で歌っている曲が多いんですよ。例えば6曲目の「Sleeping beauty」は曲調こそポップだけれど、歌詞は実際に起こった事件をモチーフにしていて、あまりのエグさゆえ、次第にニュースでも報道されなくなっていった、その事件が今回の“常識を疑え”というコンセプトに行き着くキッカケにもなっているんです。だから歌詞を書いていても一番精神的に苦しかったし、このままでは救いが無さすぎる!と思っていた矢先に、「Lost rain」のデモが佳衣から上がってきて。優しいけれど陰りがあって、光が見え隠れするような曲だったから、そこで被害者に寄り添って手を差し伸べてあげられる歌詞を付けようと決めたんです。
──もしや今回のアルバムって、11曲通じて一つのストーリーを描いていたりするんでしょうか?
yo-ka:大きな幹では一つの話で、そこにいろんな曲が付随している形ですね。その幹になっているのが1曲目の「Code:0」とラストの「TRIGGER」で、前者では自分の中の未来予想図を歌っているんです。今のスピードで技術が進歩して、何でも機械が処理してくれる世の中になったら、頭を使う必要のなくなった人間は機械に支配されて価値を失ってしまうんじゃないだろうか?と。そこにDIAURAというバンドの精神性を重ね合わせ、俺らはそんなふうに意志を失くして生きていくつもりはないし、バンドとして、人としての意志を持って抗うことを選んでいこうと宣言しているのが「TRIGGER」なんです。結局はとってもシンプルで、要するに“自分の頭で考えて、自分を持ってほしい”っていうのが一番のメッセージになるんですよね。そこに到るまでの物語を紐解いてゆく、いわば映画のような作り方にしたかったので、1枚通すと結構斬新な曲並びになってるかもしれない。単純に面白い場面を並べて緩急つけるんじゃなく、しっかりと理由があって、リアリティのある展開にしたかったんですよ。
翔也:おかげで今回は、すごく楽曲の訴えかけるものがわかりやすいなって思うんです。難しい言葉で書いていても、スッと入ってくる。
──なるほど。パワフルで疾走感があって、インパクト十分のリード曲「TRIGGER」が最後に置かれている理由が、それで納得できました。つまり、これは『FOCUS』という物語の結論でもある。
yo-ka:結論であり、これからの可能性でもあるんですよね。「TRIGGER」を最後の曲として書き終えたときにバンドとして見えた未来もありますし、ここから今後のDIAURAへの想像を、いろいろ膨らませてもらえればなと。次回作に向けてのヒントにもなるので、まぁ、楽しみにしていてください。
佳衣:こんなにスピード感に溢れた楽曲って、DIAURAでは珍しいんですよ。全体的なスピード感で言ったら、一番速いんじゃないかな。
yo-ka:最後の最後で“ミドルだけじゃねぇぞ!”っていう(笑)。結局“常識を疑え”っていうコンセプト自体が、そのままDIAURAを表しているんですよね。今の時代、これだけダークを真正面から打ち出してるバンドって減っているけれど、今や、それがDIAURAのアイデンティティじゃないか?と思ったときに、いろんなものが吹っ切れて、吹っ切れた結果『FOCUS』みたいな作品が生まれた。すなわち、このアルバムは今のDIAURAそのものであり、DIAURAはDIAURAで、俺たちは俺たちなんだから、これを受け取るお前たちはお前たちでいいんだよっていうことなんですよ。だから、ライブ会場で周りと同じように振る舞えなくても全く構わない。楽しみ方はそれぞれでいいし、そもそもオーディエンスをその気にさせるのはバンド側の役目なんだから、何か一つでもピンとくるものがあったら構えずライブ会場に来てほしいですね。自分の直感を信じて、一度その目でDIAURAが創り出す世界を見てほしい。
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