LOUD GRAPE、少女-ロリヰタ-23区ユ≠キ、BANのニューバンドが始動
2012年9月16日に赤坂BLITZで行なわれた『MEMORIAL GRAND FINAL 「解放区-THE FINAL WARD-」』をもって無期限活動休止に入った少女-ロリヰタ-23区。突然とも言える終焉から約一年を経て、ユ≠キ(g)とBAN(dr)が立ちあげたニューバンド、LOUD GRAPEが始動の時を迎えることになった。
「少女-ロリヰタ-23区の活動休止が決まって次のことを考えた時に、自分と同じようなキャリアを持ったメンバーを集めてバンドを組むのは意味がないと思ったんです。同じ年代の人間同士だと、どういうバンドになって、どんな音楽をやることになるのか想像がついてしまって面白くないから。私の中には、今までとはまた違った音楽をやりたいという想いがあったし、常に新しい音楽に刺激を感じるんですよ。だったら、若い世代のミュージシャンと音楽を作りたいなと思って。ユ≠キも全く同じ考え方だったので、一緒に新しいバンドをやろうと誘いました」──BAN
「2人で話し合ったわけでもないのに、俺とBANは同じことを考えてて。自分もバンドを動かしていくことに関しては自信はあるけど、1人のアイディアのバンドなんて面白くないので。BANの発想はいつも面白いし、戦略家だから、迷わず一緒にバンドをやることにしました」──ユ≠キ
2人の言葉からは、彼らが守りに入ることなく、攻めの姿勢で次のステップに進んだことがうかがえる。とはいえ、彼らが求めていたのは、おとなしく言うことを聞く若いプレイヤーではなく、対等の立場で音楽を作ることができるメンバーだったため、人選作業はかなり難航したようだ。
「もう、何百というライヴを観に行ったし、インディーズ等で活動しているミュージシャンのプロフィールが観れるサイトに行って、そこに出ている人は全員チェックしました」。
妥協を許さないメンバー探しの結果、新しいバンドに迎えられたのが、りあ(vo)、澪毅(g)、アヤト(b)の3名。いずれも鋭いセンスと確かなテクニックを備えたニューフェイスだ。作曲の中核をアヤトが担い、全曲の作詞をりあが手掛けていることからも、LOUD GRAPEがユ≠キとBANが望んだ通りのバンドになったことがうかがえる。気になるLOUD GRAPEの音楽性だが、手渡された音源に収録された楽曲達は、アグレッシブ&ヘヴィなバンド・サウンドを押し出しつつ、スピーディーな場面転換や大胆なビート・チェンジ、楽曲の疾走感や緊迫感を際立たせるシーケンスなど、若い世代ならではの感覚が十分に活かされていることが印象的。
マニアックなサウンドと良質なメロディーを融合させて、いい意味で聴きやすく仕上げていることも特徴といえる。ハードコアやモダン・ヘヴィネス、エレクトロ、トランスなど様々なジャンルのテイストを活かしながら難解な方向に走ることなく、スタイリッシュかつ華やかな味わいに昇華している手腕は実に見事。ジャンルや世代といった枠を超えて、幅広い層にアピールする良質な音楽を生み出すことに成功している。LOUD GRAPEは、特異なメンバー構成や音楽性に加えて、ライヴに主眼を置いた活動をしていくというスタンスも要注目と言える。
「どんなに上手くても、ライヴで輝けないメンバーは嫌だったので。メンバーを決めるにあたって、ライヴ・パフォーマンスの良し悪しも大きな要素になりました」──BAN
「特にりあはライブを見てもらってからこそ、更にその魅力に気づいてもらえると思う、だからぜひライブを観てほしいです」──ユ≠キ
2014年2月14日に渋谷Rexで行なわれる本始動ワンマンライヴまでの期間、彼らは“LOUD GRAPE(初心者マーク)”として精力的にイベントなどに参加するそうなので、まずは彼らのライヴを体感することをお薦めしたい。いくつもの困難を超えて、力強い産声をあげたLOUD GRAPE。独自の魅力を備え、大きな可能性を秘めたバンドだけに、今後ミュージック・シーンを賑わす存在になることは間違いなさそうだ。
文:村上孝之
◆LOUD GRAPEオフィシャル•サイト
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