【ライヴレポート】T.M.Revolution、<T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER:COVER 2->両国国技館公演で「ブレなくて良かったと改めて思っています」
T.M.Revolutionのツアー<T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER:COVER 2->は6月1日の神奈川・ハーモニーホール座間を皮切りに、9月1日の宮城・仙台サンプラザホールまで全32公演を廻るもの。セルフカバーベストアルバム第2弾『UNDER:COVER 2』をひっさげて行われたこのステージが東京・両国国技館公演でセミファイナルを迎えた。その初日、映像と照明効果によって新たな側面をみせたステージを余すところなくお届けしたい。
◆T.M.Revolution 拡大画像
テーマ性も実験的要素もある新たな表現方法に挑戦した今回のツアーは、まさに革命的。デビュー17年目にして今なお守りに入ることのないT.M.Revolutionの高い志と、まだまだ新しいものが飛び出してきそうな無限の可能性を改めて感じさせる、完全攻めのライヴだった。
今年2月にリリースされたリクエストセルフカバーベストアルバム第2弾『UNDER:COVER2』を引っ提げての全国ツアー<T.M.R. LIVE REVOLUTION ’13-UNDER:COVER 2->。その終盤戦、両国国技館2DAYSの1日目。大歓声の中、ライヴは映像からスタートした。スクリーンにはシングル「Preserved Roses」のミュージックビデオを土台につくられた世界観=“THE ONE”という世界を背景にした物語が映し出されていく。映像の色彩の基調は白。それと連動するように、実際のステージも全面白。ステージ上に置かれたいくつものキューブも白。登場した西川とバンドのメンバーの衣装も白だ。そういえば開演前に目にしたスタッフの人たちのユニフォームも白だった。つまり会場に足を踏み入れた瞬間から、そこは“THE ONE”の世界ということなのか。なんと細部にまで強いこだわりが宿ったツアーだろう。
映像が物語のプロローグを告げると、バンドの音と打ち込み音が鳴り、西川が歌い始めた。1曲目は「Preserved Roses」だ。西川の力強い歌声が瞬時に満員の会場を熱狂させていく。いつもならそこから2曲目、3曲目とたたみかけて一気に加速していくところだが、今回は1曲終わるごとに映像が挟み込まれ、そのストーリー展開と共にライヴも進行していくことになる。時に歌いながらバックの映像の主人公とリンクする動きを見せる西川。音楽とパフォーマンスと映像が一体となってつくられていく世界観は奥深く立体的で、目も耳も頭も想像力も刺激する。通常のライヴが“何も考えずに楽しめる”ものだとしたら、今回は“頭も想像力もフル回転させて楽しむ”、そんなライヴとも言えるかもしれない。
とはいえ、いったん楽曲が始まれば、西川の熱い歌はオーディエンスに頭で考える隙を与えずダイレクトに心と体を直撃する。ステージ上手から下手へ、下手から上手へと動き回って歌われた「蒼い霹靂」では、ライヴ序盤にして早くもシンガロングが沸き起こり、会場中が飛び跳ね踊りっぱなしとなった「独裁-monopolize-」では、西川のヒューマンビートボックスも大きな聴きどころに。また「O.L」「last resort」といった聴かせる曲では情感豊かに歌い上げ、オーディエンスの心をせつなく締め付けた。
後半。黒い衣装に着替えた西川は、「IMITATION CRAME」「Out Of Orbit~Triple ZERO~」とアッパーな曲を放ち、会場をより熱く、よりギュッとひとつにしていく。イントロが少し鳴っただけで歓声が上がった「Zips」ではキューブの上にあがったり、走り回ったり、ヘドバンしたりとエネルギッシュなアクトで湧かせ、うれしそうな笑顔を見せる。それにしてもジャケットを脱いで腕や背中を出した西川の身体は、あるいは映像で肌が見える衣装を着た彼の身体は、しなやかに鍛えられている。美しく盛り上がった二の腕の筋肉や割れた腹筋。のちのMCでも冗談ぽく言っていたけれど、彼はこのツアーのためにトレーニングを重ね、一時はトレーニングのやりすぎで身体を壊しかけたこともあったようだ。そんなエピソードひとつとっても、いかに彼がこのツアーに全身全霊を懸けて臨んできたかがよくわかる。
本編は「LOVE SAVER」でイキあげて、そこから「Meteor -ミーティア-」「vestige –ヴェスティージ-」へ。この「vestige –ヴェスティージ-」がまた素晴らしかった。バンドメンバーが捌け、ステージに一人残った西川は、オーケストラのトラックに乗せ、オペラのようなこの歌曲を壮大なスケールで熱唱。その歌力の凄さと言ったら! もちろん西川の歌が圧倒的なことは今さら記すまでもないが、それを十分承知の上でも驚かずにはいられないほど、その歌唱力、声量、表現力は並外れていて圧巻だった。そして、この感動的な「vestige –ヴェスティージ-」と共に“THE ONE”という世界を背景にした物語も、深い余韻を残しながらクライマックスを迎えた。
アンコール。ここからはガラリと一転。上下セットアップのスエットパーカーとパンツというラフな出で立ちで現れた西川は、この日初となるMCでみんなを笑わせたり、コール&レスポンスをしたりして、会場との距離感を一気に縮める。そうして放たれた「WILD RUSH」「SHAKIN’ LOVE」では恐ろしいほどの熱量をもった一体感が生まれ、西川の「もういっちょう!」という言葉に続いた「CHASE / THE THRILL」では、誰もが笑顔でタオルを振り回し、最高にハッピーな絶景が、壁に掛けられた歴代横綱の写真の下に広がったのだった。
二度目のアンコールで西川はこんな話をした。
「今回どんなツアーを届けようかといろいろ考えました。最初の頃はライヴとメッセージ性の強いテーマを届けるのはやっぱりすごく難しいことだったし、どうするのが一番いいんだろうと悩んだけど、最終的には自分が最初に思った気持ちをそのままやって、その時ブレなくて良かったと改めて思っています。ブレなかったからこそ、こういうことを伝えたかったのかなと、何となくですけど、みんなに思ってもらえるものができたんじゃないか……という気が僕はしているのですが、いかがでしょうか」
彼がそこまで言うと、会場にはあたたかく大きな拍手が沸き起こった。その拍手は、リスキーで困難な表現方法を敢えて選び成功させたT.M.Revolutionへの賛辞と、“ちゃんと伝わったよ!”という、みんなの心の声だったと思う。
終わってみれば実に楽しく、かつ、様々なメッセージが胸に残された2時間半だった。そのメッセージの中心にあるのは“人は何のために生きるのか”という壮大な問いかけ。その答えはこれから各自が時間をかけて探していくべきものだが、この日ライヴを観ながらひとつだけ、明確に浮かんだ答えがある。それは“西川貴教は何のために生きているのか”の答えだ。“西川貴教は歌うため、表現するため、人を感動させるために生きている”。全力で必死で伝えようとしている彼を観て、そう思った。そう思える心揺さぶられるライヴだった。
取材・文◎赤木まみ
■<T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER:COVER 2->
8月24日@両国国技館セットリスト
1. Preserved Roses
2. LEVEL 4
3. 蒼い霹靂
4. 独裁 -monopolize-
5. とっておきのおはなし~新説恋愛進化論
6. 魔弾 -Der Freischütz-
7. O.L
8. last resort
9. IMITATION CRIME
10. Out Of Orbit -Triple ZERO-
11. Zips
12. INVOKE
13. Albireo –アルビレオ-
14. LOVE SAVER
15. Meteor –ミーティア-
16. vestige -ヴェスティージ-
encore
17. WILD RUSH
18. SHAKIN’ LOVE
19. CHASE / THE THRILL
20. Tomorrow Meets Resistance
■<イナズマロック フェス 2013>
2013年9月21日(土)、22日(日)
滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場 (滋賀県琵琶湖博物館西隣 多目的広場)
開場 12:00 開演 14:00 終演 20:00 (各日とも予定) ※雨天決行(荒天の場合は中止)
21日券 ¥8,800(税込) 22日券 ¥8,800(税込)
ブロック指定・オールスタンディング・整理番号付
※3歳以上有料
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888 (10:00-19:00)
◆チケット詳細&購入ページ
◆イナズマロック フェス 2013 オフィシャルサイト
◆T.M.Revolutionオフィシャルサイト
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