【インタビュー】ドレスコーズ、痛快に放つバンドの決定打 「トートロジーっていうのはすごくロックンロール的や!ってことに気づいたんです」
2012年12月に発表した1stアルバム『the dresscodes』で、バンドの骨格を早くもあぶり出したドレスコーズ。2作目のシングルとなる今作「トートロジー」は、その決定打とも言えるアグレッシヴかつ本質的な作品だ。それは言うなれば、音楽に目覚めし体験にも匹敵するほどの衝撃で、聴き手の脳天を痛快なまでにぶち抜く。トートロジー=同義語反復で歌詞を綴るというアイディアの面白さもさることながら、理由も理屈もなくただただスッゲー!! と思わせる圧倒的なエナジーを内包した楽曲に、この夏、ロックシーンは大いに揺さぶられている。
◆僕は僕だ、1位以外は1位じゃない、
こういうの何っていうんやったっけ? トートロジーか!って。
――2012年12月に発表した1stアルバム『the dresscodes』のあと、バンドとして見えていたヴィジョンはどんなものだったんですか?
志磨:あのアルバムは、すごい一生懸命作ったんですよ。みんなでああでもないこうでもないって言いながら、片っ端からアイディアを試して、時間も半年ぐらいかかったのかな。でも最後にマスタリングで聴いたとき、よくわかんなかったんですよ、なんじゃこれ!? って思って。自分たちが何を作ってしまったのかを把握できなかったんですね。だから、その場の感想としては「これがドレスコーズかぁ」と。
──まるでリスナーみたいに。
志磨:そうそう、CD買って聴いてくれた人と似たような感覚だったと思いますよ。ツアーをやりながら、ようやく把握していけた感じですね。まぁ、その時点でもお客さんとそんなにタイムラグがないっていうか、お客さんと同時に僕らもドレスコーズを体験したんです。ツアーではじめてドレスコーズって呼ばれたし、自分たちから「ドレスコーズです」って言ったし、そこでドレスコーズでいる感覚がやっとわかったっていう。ドレスコーズの名を誰かに呼ばれたら、すぐに「はい?」って振り返りますよ、今なら(笑)。
──物心がついたんですね、きっと。
志磨: ああ、それはわかりやすいな。そうです、物心ついたんです。自分が何であるかわかった感じが、ツアーをやってやっとあったんですね。
──物心がついて最初に世に出す作品が「トートロジー」で、それが“情熱に胸を焦がすってこういうことだよ”と言わんばかりの熱を発しているのがうれしいですね。
志磨:なるほど。ありがとうございます。そっか。うれしいな、自分がそんな曲を作れたんだとしたら。
──テクニカルでありながら、蒼さが失われていないんです。なにしろ、瞬発力に委ねているところが多分にありますよね。
志磨:うちのメンバー、レコーディングで音を重ねていくことを極端にイヤがるんです。僕なんかいっぱい入ってるのが好きだったりするから、もうちょっと入れようよっていうと、いや1本でいきたいって。今おっしゃっていただいたような蒼い感じだったりを、彼らは残そうとしてるんですね。その感覚をあやふやにしないというか。音を重ねて重ねて、もともとはっきりと、くっきりとしていた感情なりが“ムード”みたいになってしまうことを嫌うんです。今わかりました。無意識でしょうけど、彼らはその蒼さを残そうとしているんだな。
──でも、歌だってそうですよ。サウンドに誘発されてそうなっているのかわからないけど、完全なる放出状態です。
志磨:へぇ~、そうなんだ。でも影響はされてるんだろうな。確かに全開で歌っちゃうし。制作の手順はいつもと同じだったんですけどね。もともとのメロディーを僕が持って行って、4人で構築していって曲になっていって、歌詞を書いて、仕上げる。
──歌詞をトートロジーにしようと思ったのはどのタイミングで?
志磨:最初はまったく違うイメージで進めてたんですよね。しかも2番も普通に歌やったんです。歌詞を書く段階で、2番を歌わないっていうのを思いついて。で、内容はどうしようかって考えてたときに、僕は僕だ、1位以外は1位じゃない、こういうの何っていうんやったっけ? トートロジーか!って。そんときパッと思いついたのが、Perfumeの「ポリリズム」で、あれってポリリズムで「ポリリズム」という曲を展開しているんですよね。だったら僕は、「トートロジー」でトートロジーを歌い続けるっていうのをやろ!と思って(笑)。
──おかげさまで、トートロジーの使い方がよくわかりました(笑)。
志磨:僕もわかってきたんです(笑)。意味がかぶってて、実は何の説明にもなってないんだけど、強調されてるやつでしょ。自分の中で、トートロジーっていうのはすごくロックンロール的や!ってことに気づいたんです。イヤな物はイヤだ!みたいな。
──どんなにメチャクチャな話も、叫んでいれば納得させられちゃうという(笑)。
志磨:なんとなく、そうか!ってなる(笑)。何度も繰り返すと、なんだか正しい気がしてくるんですよね。あとロックって、リフレインが好きでしょ? まさにトートロジーじゃないですか。
──歌詞を書く作業において、新たな扉を開いちゃいましたね。
志磨:そうなんです。だからすごいね、書いてて楽しかったんです。
──トートロジーによって強調されたメッセージと、シンプルで強いサウンドワークのバランスも見事です。
志磨:やっぱり、なんていうのかな、無意識なのか、物心ついたっていうことなのか、とにかくシンプルにするっていう方向だったんですね。シンプル以上のことをしないっていう。アルバムもすごいシンプルだったんですけど、もっと簡略化して強いものに向かいましたね、それはもう、4人とも。
──それゆえに、志磨さんが元来持っているメロディーの強さも増幅しているんです。
志磨:それはうれしいな。なら成功ですね、よかった。
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