【月刊BARKS つんく♂ロングインタビュー vol.3】「『ハッピーサマーウェディング』も、最初は『まっさかサマーホリデー』って曲だったんですよ(笑)」
結成25周年を迎えているシャ乱Qのフロントマンであり、モーニング娘。やBerryz工房、℃-uteらが所属するハロー!プロジェクトのプロデューサー。同時に、総合エンターテインメントを手がけるTNXの社長であり、家庭に戻れば3児の父。
◆つんく♂、シャ乱Q 画像
多彩な顔を持つ、つんく♂へのロングインタビュー。第3回は、楽曲へのこだわりと制作秘話。
◆ ◆ ◆
── 今回は音楽プロデューサー、作詞・作曲家としてのつんく♂さんを改めて探っていきたいと思うんですが。これまで書いてきた曲が1600曲以上。いままでどんな曲を作ってきたのか、憶えてるものですか?
つんく♂:憶えてないです。ほんっとに憶えてないです(笑)
── イントロ聴けば自分が書いた曲だっていうのは。
つんく♂:いや、分からないのも多いですね・・・もちろん、ハロー!プロジェクトとかでよく使う曲は憶えてますけど。有線とかで流れて「この曲聴いたことあるけど、なんやったっけな?」って調べると「なんだ俺の曲や」って(笑)。ほんとそういうのがよくありますから。さすがにアルバムの曲とか全部は憶えてなくて、聴けば思い出します。だから、歌詞とかはもちろんメンバーのほうがよく憶えてますよ。
── この1600曲の周りにはボツにした楽曲たちも……。
つんく♂:あります、あります。
── そういう曲たちの行く末は?
つんく♂:またどこかで一部を使ったりして再生したりもします。なので、本当に眠り続けてる曲もあるし、曲の一部だけ他の曲になって巣立っていった曲もあります。。
── なるほど。つんく♂さんは曲先(歌詞よりも先に曲を作る)なんですよね?
つんく♂:そうです
── 曲はどんなときに生まれることが多いんですか?
つんく♂:作るべき時間を決めて作るんですよ。
── へー。作曲時間を日課にしているということですか?
つんく♂:そうです。今日は10時から4時まで曲作りしようって、かっちり決めて曲作りするんです。
── 場所はどこでやるんですか?
つんく♂:会社か家かですね。シャ乱Qでデビューした頃、「お前ら1週間やるから曲書けよ」っていわれて時間もらっても、曲を書くのは最後の2日間ぐらいだったんですよ。しかも、それも1日に何時間かぐらい集中してやるだけ。いまは5~6時間ぐらいあれば、なんとなく1曲はできるんです。それをブラッシュアップしていくんですけど、そうなる前にまず1曲形にしないとそこにはいけないので。ただ、その曲が名曲とは限らないし、曲にはしたけどボツにすることもある。
── 5~6時間で。すごい。
つんく♂:でも昔はその方法を知らないから、「今日はAメロだけで終わってもうたー」とか、カッコいいイントロのフレーズが出てきたら「このフレーズええと思わへん?」「うん……でも曲ないやん。」「うん、まあせやねんけどな。」って(笑)。昔はそんなんだったんですよ。当時は、そんな無駄な時間も人生形成のためには必要だったんですけど、いまは無駄なプロセスはなるべく減らしてくことが人生なので。曲を作る時間には集中して曲を作る。曲先とはいえ、歌詞と曲を同時に進めるものもあるんですよ。たとえば、スマイレージの「チョトマテクダサイ!」はこのフレーズありきの曲だったからね。
── 曲作りで煮詰まることとかは。
つんく♂:そりゃありますよ。もちろん。
── いままでスランプに陥った時期もあったんでしょうか。
つんく♂:ありましたけど、スランプとは思わないようにしてます。そういうときは「うわ~、この1時間なんもできんかった」って思うようにするんです。
── 単位が1時間って(笑)。それがつんく♂さんがいうスランプなんですか?
つんく♂:この3ヵ月なにもできなかった、っていうようなのはないですからね。そういう時期を作らないようにしてきましたから。
── スランプをコントロールして回避することなんてできるんですか?
つんく♂:できます。なんでスランプになるのかっていったら、スランプに陥る人はスランプ時期を作ったことによって、スランプ癖がついていって曲ができなくなっていくパターンが多いんですよ。だから、シャ乱Q時代にみんなで曲作って「今日は終了!」って言った後、自分はもう1曲作るという方法(※『つんく♂ロングインタビュー vol.2』 参照)を学んでからは、曲の作り方も変えたんです。曲作ってるときに「(ギターの)リフだけできた」っていう人はギタリスト、ベーシスト……バンドに多いんですね。当然、彼らは自分が弾いてカッコいいって思う自分のパートを作りたくなるので。それなら、俺は歌うところだけでいいと。イントロとかアウトロは後で考えようってことで、歌のところだけを考えるようにどんどんどんどんしていったんです。俺はどんなふうに歌うんだろうとか。モーニング娘。の曲作るときは、ここで誰がどこでどんなふうな歌を歌っていくんだろうって。何となく(メンバーへの歌の)割り振りも想像しながら作っていくんですね。それで、今日はこの6時間で曲を作ろうって決めたら、最低1曲は作るんです。それだけは絶対にするんです。
── つまり、曲の途中、未完成では終わらせないということですか?
つんく♂:そうです。よほど途中に……たとえば「子供が熱出したからいますぐ迎えにいかなあかん」っていうようなハプニングがあったら仕方ないんですけど、時間があったらちゃんと1曲最後まで作るようにします。それが採用されるかどうかは別として、こうして曲を作り終える癖を自らにつけるんですよ。
── へぇー。
つんく♂:最後のほうは♪ふにゃふにゃ~♪ってなっててもいいんです(笑)
── 最後までできれば。癖をつけるとシンプルにおっしゃってますけど、その裏では音楽のアイデアが枯渇しないように日々自分なりに新しい刺激をインプットしていく努力もなさってるんですよね。きっと。
つんく♂:いまみたいにネット社会が充実してない頃は、時間ができたらCD屋に行ってたし、有線も聴いて。CDなんかジャケ買いでバーっと買って、家に帰ったらCD聴きながらこれはこうなってるのか、ああなってるのかって、世界中の音楽聴いてました。いまみたいにネットが発達してからは、暇があったらYouTube見ながら「これどうなってるんや?」って思ったり。そういう仕入れの時間とアウトプットする時間、どれぐらいの比率かってことも大事だとは思うんですけど。
── そういう癖をつけていけば、誰でも曲もどんどん短時間で作れるようになるものなんですか?
つんく♂:なりますね。事実、うち(TNX社)で抱えてたバンドマンたちもだんだん短くなっていきましたよ。最初は1ヵ月時間与えてもバイトだなんだで「君が作ったのはたった2曲だけ?」って感じやったんですけど、コツをつかめば早くなるんですよ。
── 曲作りのコツ……。
つんく♂:自分の中の曲作りの癖、そこにこだわるヤツはダメなんです。「せっかくこんなフレーズ思いついたのにボツにするんですか?」って。
── そのひらめきさえ捨てられないと。
つんく♂:ダメですね。作ったことを忘れる勇気が必要なんです。
── つまり、そうしないと自分で自分の作った呪縛にどんどん縛られていってしまうということですね。
つんく♂:そうなんですよ。だから、どんどん作ったことは忘れていっていいと思うんです。
── そこで忘れてしまって、ついつい同じような曲を作っちゃったというような失敗は?
つんく♂:ありますよ。それはディレクターのほうがよく憶えてますから。「ここのフレーズ、あの曲にありませんでしたか?」「あー、ほんまやな。ちょっと直すわ。」ってとこもありますし。それはね、自分から出てくるものなんで仕方ないんですよ。あえて一緒にしてるときもあるんですけどね。面白がって「このフレーズ、こっちも使ったろ」って。でも、まったく憶えてないときももちろんあります。
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