【インタビュー】OLDCODEX、オルタナティブで衝動的でセンシティブな感性も兼ね備えたニューシングル「The Misfit Go」
5月22日(水)にリリースされるニューシングル「The Misfit Go」がTVアニメ『アラタカンガタリ~革神語~』のEDテーマとしてオンエア中のOLDCODEX。内側からわきあがる熱さ、もどかしさ、ひりひりした切なさ──。オルタナティブで衝動的で、センシティブな感性も兼ね備えている彼らの楽曲は心を揺らす。このシングルについて、そしてOLDCODEX史上、最多の本数のツアーの手応えについて、ボーカルのTa_2とペインターのYORKE.に話を聞いた。
──まずは2人体制になって初のツアーの感想から。
Ta_2:ホントにツアーをやりたかったから、最初からエンジン全開! って感じで1本、1本、ファイナルの気持ちでやっています。初めて行く土地の人たちの反応もすげえ新鮮だったし、経験値がひたすら上がってるっていう。前は「俺らは、こう思ってるんだ」とか、「こういうライヴをやるんだ!」って一発重い球を投げて空気感を変えていく感じだったのが、オーディエンスとのキャッチボールがすごい速さで行われてる感覚がある。
YORKE.:アルバム『CONTRAST SILVER』をリリースしてツアーに出る前は期待半分、不安半分だったんだけど、ライヴやっていく内にだんだん不安がなくなっていって、信じていたことが形になっていくことがすごく嬉しかった。Ta_2も言ったように、前はオーディエンスとの距離を図ってたところがあったんだけど、今はこっち側に引きずりこんでいくような感覚がある。熱くなる分、ハプニングも起きるし。
Ta_2:ハプニング多いね。
YORKE.:そう。俺が高揚しちゃってライヴ中に描いてる絵のキャンバス蹴っ飛ばしちゃったり(笑)。MCの代わりにニルヴァーナの曲、急に歌いはじめちゃったこともあったし。Ta_2はエルヴィス・プレスリーの曲歌ったりとか。
Ta_2:「ハウンドドッグ」歌って。楽しかった!
YORKE.:リハーサルでふざけて歌ってたことを本番でもやっちゃったみたいな。毎回、やってるわけじゃなくて、今日の会場の空気なら伝わるだろうとか。そういう瞬間を逃さなくなってきてる。
Ta_2:最近、ステージに上がってるときって、そこでしか生きられない生き物になってる感覚があって……。だから全部、出しきるし、みんなにも受け止めて返してほしい。それだけにライヴが終わると気が抜けたようになって、俺がぶっ倒れるときもあればYORKE.がそうなるときもあるし。
YORKE.:ステージ立ってるときはアドレナリン出てるけど、終わったらプツンと切れるね。ここからファイナルに向かっていって最終的なツアーのゴールがどこにあるのかはわからないけど、音もパフォーマンスもいろいろ削ぎ落として、もっと高いところに行けるような気はしてる。日々、勉強だし、刺激的。
──すごくいい状態なんだってことが伝わってきます。ところで、すでにTVアニメ『アラタカンガタリ~革神語~』でオンエアされているニューシングル「The Misfit Go」は駆け抜けていくような熱さと、もどかしさも含んでいてオルタナティブで。
Ta_2:作る前にまさにそういうことをリクエストした曲。切なくて、疾走感もあってオルタナティブで、しかもメロディラインがハッキリしているほうがいいって言って。
YORKE.:かなりメロディ詰めてたね。
Ta_2:頭の中に明確なヴィジョンがあったから、この部分はこういう展開で、途中のメロディはこういうふうにしたいって伝えて……。アニメのエンディングで流れることが決まってたから、90秒ヴァージョンで聴いたときとフルヴァージョンで聴いたときの印象が違うものにしたかった。アニメだとメロディックな曲って感じると思うんだけど、CDを手にとった人が歌詞を見ながら“こういう曲だったんだ”って新たな感覚を持ってもらえたら、すげえカッコいいなって。
YORKE.:俺は詞を書くに当たって、コミックスを全巻、3日間ぐらいかけて読んだの。なんで、そんなに時間をかけたかっていうと、アニメの持つメッセージとOLDCODEXのメッセージが重なる部分を探したかったから……。書きたかったのは、過去を振り返って、立ち止まっちゃって、前に進んでいない状況のときの気持ち。まだ晴れてないんだけど、求めているのは“空の色”だったり……。そういう瞬間を詰めこみたくて、Ta_2が歌う前にも相当、ディスカッションしたね。
Ta_2:そう。詞も今回、いちばん2人でキャッチボールして作っていった。
YORKE.:共作とはちょっとニュアンスが違うんだけど、作曲者と俺らとそれぞれが持ち寄ったものをOLDCODEXの色にどんどん変えていった感じ。
Ta_2:そう。言葉をYORKE.がディレクションして、音とかトータルディレクションを俺がして。
──「The Misfit Go」ってタイトルに出てくる“Misfit”は、はみだし者っていう意味?
YORKE.:“Misfit”は言葉の響きでパッと思いついたから、そんなに深い意味はないんだけど、“Go”って言ってるのがいいかなって。内容的には立ち止まってる人の心理なんだけど、ホントはGoしたいんだなっていうのが出るかなって。まだ進んでないもどかしさを表現してるんだけど。
──そのもどかしさをTa_2くんの熱いボーカルがみごとに表現していますよね。
YORKE.:絶対、そこは出ると思った。100%Ta_2の歌を信じてるから。ライヴのことをイメージして書いたから英詩も勢いのある言葉を使ってるんだけど、今回は日本語が多い詞になったね。タイアップだからってことじゃなくて、英語を使うことで逃げになるなら使わないほうがいいなと思って、自然に言葉が出てくるまで粘った感じだった。
──ちなみにTa_2さん、声優(鈴木達央)でアニメにも出てるんですよね。
Ta_2:アカチ役で出てます。実はちゃんとオーディション受けたんですよ。その後にテーマ曲をOLDCODEXで、っていうオファーをいただいたんです。
──どんな役なんですか?
Ta_2:ワンクールの中に4人のキーパーソンが出てくるんだけど、その中の1人でいちばん尖ってるキャラクター。アニメに出てくる大和国(アマワクニ)の常識にも現代人の常識にも縛られてなくて、自分の中の正義と信念だけで生きているような役ですね。
──アニメとテーマ曲と両方、楽しめますね。それとカップリング「美しい背骨」は切なくてスケール感があって、グッときます。
YORKE.:サウンド的にもフワーッとした広がりがあって、すごくエモーショナルな曲なんだけど、メッセージ性の強いバラードにしたくて。
Ta_2:「こういう感じのバラードにしたい」ってディレクターに伝えて、自分でも軽くデモを作って、それを形にしてもらったっていう。歌は詞の内容に身をまかせて歌った感じ。
YORKE.:カップリングのパワーの曲じゃないなって思う。今までのOLDCODEXにないアプローチだし、タイトルが漢字だっていうのもなかったし、今、伝えたかったことをホントにシンプルに書いて。
──“いつの日か僕に分かるかな 君が背負ってた事全てを”っていうフレーズで、友達のことを思い浮かべる人も親や恋人を思う人もいるだろうし。
Ta_2:かと思うと、俺みたいに地平線のことを思い浮かべながら歌う人もいるだろうし。
YORKE.:Ta_2は「美しい背骨」は“地球の背骨”のことだろうっていう大きな解釈をしてて。
Ta_2:そう。“君”は自分にも当てはめられると思って、自分が今まで歩んできた道筋はギザギザしてるかもしれないけど、全体をみたら、まっすぐに伸びてて、まるで背骨のようだっていう感覚で歌ってた。
YORKE.:それぐらい捉え方でイメージが膨らむ曲っていうかね。俺自身はもっと小さい世界を思い浮かべて書いたんだけど、Ta_2の歌を聴いたら、いろんな風景が見えてくるなって。
──こういうキレイな曲があるのもOLDCODEXの魅力だと思うんですよね。
YORKE.:ひたすら前に向かって歩いてるときにヘッドホンで聴いてほしい曲。
Ta_2:俺は昼間、電車の中で流れていく街並みを見ながら聴いてほしい。ビル街からパッと何もない風景に移ったときとか、この曲流れたらやばいなって。
──確かに。「Meteor Train」はギターのリフもカッコよくてラウドで爽快感があって。
Ta_2:イケイケ(笑)。「The Misfit Go」と「美しい背骨」がテーマがしっかりあるものなら、この曲は俺たちが今、完全にハマってますっていう曲調。
──この曲ではYORKE.さんもボーカルデビュー。
YORKE.:「ここYORKE.が歌ったらハマるんじゃない?」って。最初から、そういうイメージで作ってくれたみたいで、だったらチャレンジしてみようかなって。俺が歌うときはTa_2がディレクションしてくれたんだけど、それが超的確でノセ方もうまい。歌ってみて思ったのは「いいね!」って言われながら歌ったほうが全然アガる。もっと良くしようと思うし、2人ともディスられると凹んじゃうほうだから(笑)。
──(笑)打たれ弱いコンビ?
Ta_2:ボーカルブースの中ってすごく孤独な空間だから、そこをちゃんと汲んであげないとなって。
──ライヴで盛り上がりそうな曲ですね。
YORKE.:早くやりたい。京都のライヴが終わった後にこの曲をスタッフが流してくれて、バンドのメンバーと一緒にビール飲みながら悪ノリして騒いで、ムービーまわしてたんだけど。
Ta_2:そう。まるでパンクキッズが騒いでるみたいな映像が録れちゃって(笑)。
──曲自体、パンクのテイストがあるし。
Ta_2:音的にはラウドなんだけど、基本に流れてるのがパンクだから。
──Ta_2さんがモニターに足かけて前のめりになって歌ってる絵が浮かんできますよ。
Ta_2:ははは。もう、隙さえあれば客席行くぜ!みたいな曲(笑)。
YORKE.:「The Misfit Go」と「美しい背骨」は、どこかセンチメンタルな部分もあって、みんなが持っている深い闇をちょっと掘り出したんだけど、「Meteor Train」は“そんなの関係ねえ”みたいな(笑)。2人の性格も似たようなところがあるからね。悩むだけ悩んで最終的にはぶっこわすみたいな。
──OLDCODEXって、ふだんクローズしている扉を開けられるような音楽なんですよね。
Ta_2:それ、うれしい!
YORKE.:ライヴではさらに全開にしちゃうから。
Ta_2:バンバン開いていくからね(笑)。
取材・文●山本弘子
「The Misfit Go」
TVアニメ『アラタカンガタリ~革神語~』ED主題歌
5月22日発売
初回限定盤:CD+DVD LACM-34087
通常盤:CDのみ LACM-14087
CD
1.The Misfit Go
2.美しい背骨
3.Meteor train
DVD ※初回限定盤のみ
01.The Misfit Go (Music Clip)
02.Making of "The Misfit Go" Music Video
◆OLDCODEX オフィシャルサイト
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