【ライヴレポート】<CAPITAL RADIO'13>6バンドが怒涛の競演を果たした2日間

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■4月6日 出演:DOBERMAN、Theピーズ、MONOBRIGHT

<CAPITAL RADIO'13>最後の日は、DOBERMAN、Theピーズ、MONOBRIGHTがガッツリと力強いロックで楽しませてくれた。さらにこの日、ウェルカムアクトとして前日に続きTOMOVSKYが「ひとりTOMOVSKY」として登場。観客をいじりつつも場を盛り上げ、「ほめてよ」や「ひとりに戻るんだ」で頼もしくも笑顔になれるロックンロールで楽しませてくれる。さらにこの日は珍しくカバー曲も披露。キャピタルの常連バンドでもあるフラワーカンパニーズの「深夜高速」で会場全員を巻き込んでの大合唱。最後は「我に返るスキマを埋めろ」でライヴを締めると、持ち時間の残りでまさかのQUEENの「We Will Rock You」を歌い会場を温めた。あ
そしてこの日もド●ゴンボール・ベジータに扮したCAPITAL RADIO ONE・梶氏が前説で、Theピーズの佐藤シンイチロウがライヴ数日前に痛風になった話などで会場を和ます(打ち上げには海草サラダが用意されていたとか…)。「記録よりも記憶に残るライヴに。いつやるの? 今でしょ!!」と2日目の開演を告げた。

1発目のステージは、今年結成15周年を迎え、2月にアルバム『これが例のアレ』をリリースしたDOBERMAN。本イベント初参戦となる彼らの気合は半端なく、1曲目「マリー」から極太のスカサウンドを投げつける。次曲「ロマンチックにいかないオレたち」では、原賢二がアコーディオンを弾きながらステージでハチャメチャに暴れだすと、それに負けじとメンバー8人それぞれの声、楽器が心地良い音のぶつけ合いを繰り広げていく。体を揺らす軽快なスカのリズムに重圧感あるサウンドはプリミティブで、ホーン隊の緊張感ある音色は時にロマンチックだ。お祭り騒ぎのスカ一辺倒ではなく、様々なジャンルを越えて音を確立する彼らの楽曲に次々に踊らされるオーディエンスたち。「フロンティア」「沈黙ロック」と人生賛歌のような、吉田田タカシの男臭い歌声と人間の根っこに深く響くサウンドでしっかりと聴かせると、ラストに向け「マシジャ」から一気にお祭り騒ぎが始まる。豪快なスカで底抜けに楽しいステージを披露。ラスト「朱い太陽」まで力強いサウンドでがっちりとオーディエンスの心を掴み、次のステージへとつないでいった。

2番手は09年から本イベントに出演しているTheピーズ。「底なし」から心を鷲づかみするサウンドで魅せてくれる。安孫子のギターは説明いらずのかっこ良さで、「生きのばし」では3人の無駄を削ぎ落としたシンプルでパワーのあるサウンドが突き刺さる。「三度目のキネマ」の前には、大トリをつとめるMONOBRIGHTに敬意を評し(!?)、ハルが白ポロにメガネ姿に着替える嬉しいサプライズも。前説でもあったとおり、痛風になってしまったという佐藤シンイチロウのドラムは病もなんのその、軽快なドラムでオーディエンスをのせる。「見切り発車」や「道草くん」、渋みのあるサウンドに何とも言えない心揺さぶるリリックはライヴではなおさら響いてくる。“どうしようもない”気分を救うんじゃなく、“どうしようもなくていい”とダメなまんまで許してくれる、そんな世界にいつも心救われる。8曲目「幸せなボクら」でロックの楽しさをかみ締め、「植物きどりか」で人間の本質を音で聴かすと、終盤「とどめをハデにくれ」で今度はメンバー全員で白ポロに着替えて(本当にこの日しか観られないレアな場面!)、ロックの大行進のようなハルの楽しげな歌声がよりオーディエンスを笑顔にしてくれる。最後に「体にやさしいパンク」まで“らしさ”溢れるステージで楽しませてくれた。

今回のイベントの大トリはMONOBRIGHT。桃野陽介はトレードマークの白ポロではなく、主催者であるCAPITAL RADIO ONEの梶氏と同じくド●ゴンボール・悟空の衣装で登場。1曲目、キラーチューン「アナタMAGIC」からスタートダッシュを決めこむ。桃野の歌声は終始ハイテンションで、大トリの緊張感を感じさせない勢いだ。松下省伍のギターは爽やかだけどヤンチャな一面も見せ、「ムーンウォーク」ではロマンチックでキュンとするポップなメロを聴かせる。「孤独の太陽」では先ほどまでのハイパワーな楽曲陣からガラリ。瀧谷翼のドラムが弾け、力強いメロと哀愁を感じる世界観で雄々しさを感じさせる。MCでは「(大トリは)はっきり言っておかしい!(笑)Sっ気たっぷりのキャピタルと戦いますよ!」とド●ゴンボールの名シーンよろしく、会場みんなの力を借りてライヴを盛り上げていく。「ハートビート」でオーディエンスとの一体感を感じると、その空気をより強固にすべく「SGS」でパーティ全開のナンバーでお祭り騒ぎ。出口博之のベースが会場の盛り上がりを底上げしていく。ステージには主催者である梶ベジータも登場し(バンドのツアーグッズのデザインを担当しているのもキャピタル)、なぜかライヴ中に早口言葉大会やモノマネも飛び出し、もう楽しすぎて何がなんだかわからない!! 続く「この人、大丈夫ですか」では、タイトルのまんま桃野が率先してはっちゃけまくり、会場を煽っていく。このイベント自体を本人たちが一番楽しんでいるんじゃないか、そんな気すらしてくるほどだ。最後「JOYJOYエクスペリエンス」まで突っ走るも、全8曲はあっという間で物足りない。アンコール「踊る脳」で最後までドーパミンを出し尽くし観客を巻き込み、最高の2日間を締めくくった。

もちろん2日目も出演総出でステージからサインボールを投げ込み、アーティスト、スタッフやお客さんと一緒になって盛り上がり、最後まで“CAPITAL RADIO”らしく幕を閉じた。音楽への愛情溢れる、他にはない素晴らしい2日間。来年もまた、今年以上に”記録より記憶に残る”イベントが開催されることを期待したい。

取材・文●黒田奈保子
撮影:渡辺一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)
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