【インタビュー】INORAN「ギターを作ること弾くこと世に放つことに対してもっと深くいきたいという気持ちが第一にありました」
■#1から約2年を経てINORAN JAZZMASTER #2 LTDが完成
■専門家の知識と経験を活かしてという注文の仕方
▲INORAN JAZZMASTER #2 LTD
INORAN:ギターを作ること、ギターを弾くこと、ギターを世に放つこと、それらに対してもっと深くいきたいという気持ちが第一にありましたね。表面上はホワイトのカラーリングやピックガードという#1と対照的なものでありつつ、実質的には深く。だから、#2製作に関しては、アメリカのコロナにあるファクトリーへ行って、マスタービルダーのデニス・ガルスカとミーティングしたんです。
──製作現場を訪れたわけですね。その日ことをお聞きしてもいいですか?
NORAN:まずファクトリーに着いてから、内部をすべて見て、ほぼ全員のスタッフに会いました。それから御飯を食べて、お互いにほぐれたところで(笑)、ミーティングみたいな。ファミリー的な感覚がより増しました。その後、ミュージアムに行って遊んだりもしたんで、本当に丸1日中楽しみました(笑)。
──マスタービルダーのデニスは#1の製作者でもあるわけですが、どんな人でした?
INORAN:フェンダーを愛して、自分が製作したギターに誇りを持っている人。人間的にも真面目で素晴らしい。なによりも僕は会って直接、#1のお礼が言いたかったんです。このギターのおかげで『Teardrop』(2011年4月発表)と『Dive youth, Sonik dive』(2012年6月発表)を作ることができた。新しいギターに触発されると曲ができたりするじゃないですか。この2枚はジャズマスターしか使ってないんです。
──この2枚のアルバムはINORANさんの音楽的変化を感じ取ることができる作品でもあると思うのですが?
INORAN:そうですね。僕の音楽人生のなかで、ジャズマスターと出会いは大きいですね。出会ってなかったら、こういう変化はなかったと思う。
──なるほど。さらに深みを増すべく製作されたという#2に関するミーティングでは、プリセットスイッチの設置向きの変更をディスカッションしたそうですね。これはフェンダーにとって大きな変化でもあったようですが?
▲スライドスイッチは90度回転して搭載されている
──誤作動の防止ですね。そのほか、#2にはどのようなリクエストをしたんでしょうか?
INORAN:ボリュームの減衰カーブを変えています。3の位置に絞ったときにもうちょっとゲインが欲しかったりとか、それは感覚的な話なんですけどね。今は特にクランチを使うことが多いので、手元のボリュームで音を変化させているんです。やっぱりエフェクターでも、アンプでもないんですよ、基本的に音を決定するのはギター。ただ、#1も#2も、僕のほうからめちゃめちゃ細かく詰めていったわけでもないんです。8~9割くらいは僕が決めて、あとの1~2割くらいはデニスに任せたんです。すべてを注文書通りに作ってもらうよりも、専門家の知識と経験を活かしてやってくださいという注文の仕方。だから、#2も#1と同じように作ってくれというわけではなかったし。デニスが勝手にやってとしても、それに対して僕がクレームを言うことはない。作ってくれる人がいいと信じたものにしたかった。
──デニスとのコラボレーションという感覚でしょうか?
INORAN:うん、まさにそうですね。
▲使い込んだ感じがカッコいいハードレリック
INORAN:2011年秋にフェンダーからサプライズで白いジャズマスターをプレゼントしていただいたんですが、そのときから、#2はハードレリックにしたいですねっていう話はしていましたね。やっぱりギターは使い込んだ感じがカッコいいなっていうのがあるので。俺は絶対、キラキラしたギターはムリですね(笑)。
──この風格やサウンドを含めて、ご自身の満足度はいかがですか?
INORAN:「鳴らした瞬間、生涯最高のギターに出会えたと確信したんだ」という、フェンダーのプレスリリースに記してある通りですよ(笑)。ヴィンテージみたいな音もルックスも作れるんだという。
──#1と#2に共通して言えることだと思うのですが、インタビューの最初にお話いただいた“古いもの=良い、じゃなくて。新しく良いものが生まれないわけがない”ということを、今も実践されているような気がするのですが?
INORAN:そうかもしれないですね。
──現在のライヴでは#1と#2が活躍していますが、この2本の使い分けというのは?
INORAN:音域がちょっと違うんですよ。#1のほうが少し重心が低くて、#2のほうがパキッとしてますね。デニスがそういうふうに作ったのかもしれない。だって、こんなヴィンテージな顔をしているのに、ゴーンって鳴ったらえげつないですよね(笑)。今のライヴでは、音の粒立ちとかサステイン勝負なフレーズ、たとえばアルペジオとか歪みの余韻でカラーを作る曲では#2を使ってます。
──#2は完全限定30本でリリースされることが発表されています。それもデニスが、まったく同じ仕様、同じ行程で、1本1本製作するというめちゃくちゃ貴重なものですね。
INORAN:作ってる人がわかっているっていうのは素晴らしいことですよね。僕自身、デニスと製作して、楽器に対する愛情がもっと深まったし。彼に会いに行ったことで、ギターにつながりとか絆が含まれた。だからこそ、この音が生まれたと僕は思っているんです。それはフェンダーで作ってもらったから発見できたことでもあるんです。まったく同じギターを手に取った人が、それを感じてくれればうれしいですね。だって、エリック・クラプトンのメインギターを作っている人が、そのままクラプトンモデルを作ってくれるのと同じことなわけですから、それはすごいことですよ! 30本限定でそういうことを実現してくれたフェンダーには感謝しています。また次のステップに行ける気がしているから。それと、もちろんまた検品にいきますよ。会いに行きます、兄弟ギターに(笑)。
取材・文●梶原靖夫
協力●株式会社フェンダー・プロモーション・ジャパン
<おもな仕様>
INORAN JAZZMASTER #2LTD, Masterbuilt by Dennis Galuszka
●Body
Body Material:Premium Alder 2 Piece, Lightweight
Body Finish:Lacquer
●Neck
Neck:Inoran's Late 50's Jazzmaster C-Shape
Fingerboard:Darker Color Indian Rosewood, Slab Board
No. of Frets:21
Fret Size:Vintage Style
Position Inlays:Clay Dots
Fingerboard Radius:7.25" (18.41 cm)
Neck Material:1-Piece Maple
Neck Finish:Lacquer
Width at Nut:1.650" (42 mm)
Scale Length:25.5" (64.8 cm)
●Color
Body Color:Olympic White with Aged Topcoat
●Electronics
Pickup Configuration:S/S
Bridge Pickup:Custom Shop 's Flat Pole Jazzmaster
Neck Pickup:Custom Shop 's Flat Pole Jazzmaster
Pickup Switching:3-Position Toggle
Controls:Slide: Left: Rhythm Tone Circuit, Right: Lead Tone Circuit
●Hardware
Hardware Finish:Nickel/Chrome
Bridge:Vintage Style Floating Tremolo with Tremolo Lock Button/ Buzz Stop
Tuning Machines:Fender/Gotoh Vintage Style Machine HeadsNut:Bone
●Miscellaneous
Neck Plate:Engraved INORAN's signature
Accessories:Case, Cable, Strap and Certificate of Authenticity
Strings Gauges:.010"-.046"
◆INORAN JAZZMASTER #2LTD, Masterbuilt by Dennis Galuszka
価格:798,000円
予約受付開始:2013年1月16日より全国の楽器店にて
入荷開始予定:2013 年末頃より(予定)
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◆INORAN オフィシャルサイト
◆INORAN JAZZMASTER #2LTD, Masterbuilt by Dennis Galuszka 製品詳細ページ
◆Fender Custom Shop
◆BARKS 楽器チャンネル
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