【ライヴレポート】MIYAVI、音楽の持つ原始的なエナジーを共有する楽しさもあますことなく伝えるそのステージ

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問答無用の圧倒的なライヴだった。

◆MIYAVI@赤坂BLITZ 2013.4.5~拡大画像~

4月5日(金)、全17本にわたる久々のジャパンツアー<Ahead Of The Light TOUR 2013>のセミファイナル公演。赤坂BLITZはソールドアウト。サムライ・ギタリストとして北米、南米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアなど30カ国、200公演以上にもわたるライヴを行い、世界各国で熱狂的な支持を得ているMIYAVI。卓越したスキル、オリジナリティー、センス、パフォーマーとしての存在感と色気──。その全てを持ち合わせているMIYAVIは日本より先に海外で高い評価を得たアーティストだが、ジャンルを超越し、KREVA、細美武士(the HIATUS)、亀田誠治、上妻宏光らとコラボした最新アルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』(2012年11月)や、起用された数々のCMソングが国内でも幅広い音楽ファンに強烈なインパクトを与える結果となった。

暗転と同時に大歓声と手拍子。新曲がSEで流れる中、短パンに裸足のサムライ・ドラマーBOBOが定位置につき、続いて右手を高く掲げたMIYAVIが登場。いきなり最新シングル「Ahead Of The Light」でフロアーを揺らす。たった2人だけのステージだということが信じられない音圧とグルーヴ。ギターをかき鳴らしながら歌い、見る者を呆然とさせるソロを響かせるMIYAVIに惜しみない声援が飛ぶ。KREVAとコラボレートしたことでおなじみの「STRONG」ではスラップ奏法、炸裂。

BOBOの強靭でタイトなドラミングとMIYAVIのギターのスリリングな絡み合いは、まさに音と音のカンバセーション。超越した音楽家はアスリートでもあるということを実感させられるしなやかでダイナミックで緊張感あふれる演奏に釘付けだ。

思えば、昔からMIYAVIは規格外のアーティストだった。高速カッティング、タッピングで乾いた音を鳴らし、ロック、ブルース、ヒップホップ、ファンク、スパニッシュなどあらゆる音楽の要素を昇華し、自分だけのスタイルを模索し続けてきた。インディーズ時代から演奏し続けてきている「OSSANN OSSANN」では、上手、下手へとアグレッシブに動きまわって歌い、煽り、フロアーは熱狂の渦。

「今日もガッツリ最後まで音を聴いてビートを感じて楽しんでください」と挨拶し、客席を見渡し、今回のツアーで男性ファンが増えたことに触れていたが、女子ファンに負けていない太い歓声は何よりの証拠だ。

クールかつジャジーなイントロからして持っていかれる「CHILLING CHILLING MONEY BLUE$」ではMIYAVIがギターを弾きながら操るサンプラーの音が出なくなるという機材トラブルに見舞われ、曲が中断。「この曲、やめます」と笑わせるハプニングも飛び出したが、機材復活後はステージを走り、背中弾きするなど、見せ場を連発。“ガッポリ稼いだって 涙のない人生には笑いもないぜ”と歌うこの曲のメッセージを艶のある生々しい音とともにみごとに表現してみせた。

2年前の震災のことに触れ「言葉にできない怒りや悲しみを昇華できたら……と思って書いた」という細美武士とのコラボ曲「SILENT ANGER」ではアコースティックギターをかき鳴らしながら歌い、「下向いてばかりもいられないのでハッピーな曲をやりたい」とパーカッシブで解放感たっぷりの「PLEASURE!」ではハンドクラッピングで会場全体を巻きこんでの大サムライセッション大会に──。恐るべきギタープレイで圧倒するのみならず、音楽の持つ原始的なエナジー、共有する楽しさも、あますことなく伝えるそのステージこそが世界を魅了してきたのだ。

MCではアメリカで行なわれた最大スケールの楽器フェスに招待され、自身が弾き続けているアコギメーカー、Taylorのブースで日本人で初めて大トリをつとめてきたというエピソードを披露し、「いろんな選択肢があったけど、自分が選んだ道は間違ってなかった。これからも変わらず、世界に向けてやっていくつもりです」と宣言。ツアーファイナルの沖縄が終わったら、レコーディングのためにロンドンに飛ぶこと、そのアルバムが6月19日に発売され、本格的に世界デビューを果たすこと、秋から日本を皮切りにワールドツアーを行なうことが報告された。

その後、アルバムに先がけて、新曲が演奏されたのだが、これが過去のMIYAVIの楽曲を上回る刺激的かつ官能的かつ躍動感あふれるナンバーたちで、会場の熱気はますます上昇。「GANRYU」では、曲間で「東京! 這いつくばったって、前に進んでやろうぜ!」と叫び、本編ラストの「DAY 1」までいっきに駆け抜けていった。

アンコールでは「Ahead Of The Light」をあらためてアコースティックヴァージョンで披露。ヴィジュアル系だった自分の過去は否定したくない、これからも自分らしくありたいし、自分自身がワクワクしていたい、と、2007年にリリースした「咲き誇る華の様に」と、「素晴らしきかな、この世界」を久々に演奏。アプローチこそ進化しているものの、雑草のごとく美しい不屈のスピリッツに少しもブレはない。締めくくりは最強のドラマー、BOBOと共に「WHAT’S MY NAME?」で大暴れ。「もっともっとデカくなって、もっともっと成長して帰ってきます!」とさらなる躍進を誓った。

取材・文●山本弘子

[SET LIST]
SE new track#1
01.Ahead Of The Light
02.STRONG
03.new track#2
04.OSSANN OSSANN
05.CHILLIN' CHILLIN' MONEY BLUES
06.SILENT ANGER
07.PLEASURE!
08.new track#3
09.new track#4
10.GANRYU
11.SURVIVE
12.FUTURISTIC LOVE
13.DAY 1
encore
14.Ahead Of The Light(A.g. ver.)
15.咲き誇る華の様に(A.g. ver.)
16.素晴らしきかな、この世界
17.WHAT'S MY NAME?

◆MIYAVIオフィシャルサイト
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