【インタビュー】DJ PMX、邦楽・洋楽の2枚組で全60曲を収録した2013年リリース第一弾『LocoHAMA CRUISING 004』

2012年発売となったオリジナル・ソロ・アルバム『THE ORIGINAL II』に続くDJ PMXの2013年リリース第一弾は、人気シリーズ“LocoHAMA CRUISING”の4作目『LocoHAMA CRUISING 004』。エクスクルーシブ曲「Cruising feat. GIPPER, GAYA-K, JOYSTICKK, mai」をはじめ、今作も邦楽サイド／洋楽サイドの2枚組で全60曲を収録。審美眼に長けた選曲と熟練のミックス・スキルは、さすがのキング・オブ・ウェッサイ印だ。

――ロコクル（※LocoHAMA CRUISING）の前に、前作『THE ORIGINAL II』についてお聞きしたいのですが、リリースしていかがでしたか？

DJ PMX（以下、PMX）：国内のヒップホップ・シーン全体、そして主要アーティストと絡むこと、それをいつか必ずやらねば、と思っていたことをしっかりと形に残せた作品になりました。『THE ORIGINAL』からリリースまでに約4年間かかったんですが、『THE ORIGINAL II』を作り終えた後は「やりきった……」という満足感もあって、次作はもっと早いスパンでリリースできたらな、って思うようになりましたね。

――そして前作に続き、2013年一発目となる作品が『LocoHAMA CRUISING 004』になりますが、シリーズのコンセプトを改めて聞かせてもらえますか？

PMX：このシリーズを始めたきっかけは、ヒップホップの細分化に伴い、洋楽を聴く人は洋楽だけ、日本語ラップを聴く人は日本語ラップだけとなってしまいがちなリスナーに、両方を分け隔てなく楽しんでもらえるミックスを作る、ということです。邦楽も洋楽もウェストコースト・スタイルの楽曲を中心に、新旧を織り交ぜながら選曲・ミックスしているんですが、この数年間だけでもさらにスタイルは細分化していってるので、『LocoHAMA CRUISING 001』から今作までを聴き比べてみても、その時代の流れもわかると思いますね。

――今回の邦楽サイドは、シリーズ第三弾以上に若手ラッパー／シンガーのフックアップがあるな、という印象を受けました。

PMX：新世代のアーティストが実際にクラブで客を集めて盛り上げている。アツい人間が多くって、彼らからは「自分も昔はそうだったよな」っていうエネルギーをもらえるんですよね。

――そんな次世代を担う面々が参加した新録曲「Cruising」について聞きますが、意外にもこの直球のタイトルはシリーズ初ですよね。

PMX：これまでのミックスのシリーズでいろんなエクスクルーシブ曲を作ってきたんですが、そのままズバリ“クルージング”について歌っている曲ってなかったな、って思って。フィーチャリングのメンツは、「Miss Luxury」で共演したGIPPER、前作『THE ORIGINAL II』のエクスクルーシブ曲「My Beauty Queen」に続きJOYSTICKK、Hood Sound所属だけど、実はまだ絡んだことのなかったGAYA-Kとmai、フレッシュなアーティストを選んだ形ですね。

――洋楽サイドについて聞きます。収録曲のウォーレン・G「Reglate」を聴き、もう20年前の曲なんだ、と痛感しましたが、海外のウェストコースト・スタイルの楽曲には、独特の普遍性がありますよね。

PMX：古くささを感じさせないメロウさというか、独特の空気感を持った曲が多いですよね。そういった曲がいまもなお愛され続けているのだろうし、今回のミックスは使用できる楽曲が増えたこともあって、非常に選曲もミックスもやりやすかった。いまの世代のアーティスト、いわゆるニューウェストと呼ばれるアーティストの楽曲になると、ウェストコースト・スタイルのものもあれば、サウス寄りの曲もある。歌詞までちゃんと理解しないと「どこ出身のラッパーなんだろう？」ってわからなくなってしまうことがありますけどね（笑）。

――また、ファーイースト・ムーヴメント「Rocketeer」の収録は意外でした。

PMX：直球のウェッサイではないけど、テンポ感やメロウさが、古き良きウェストコースト・スタイルのサウンドを象徴しているんですよね。彼らのPVにはDJクイックが出ていたりするんですが、曲そのものから何か発見につながったり、面白さを見出せる楽しさもある。いま世の中にはたくさんのミックスCDがリリースされていますが、ロコクルの洋邦のミックス・シリーズはスタイルを変えずに続けていきたいですね。

――今年はDJ PMXとしての作品がリリース・ラッシュと窺っていますが、『LocoHAMA CRUISING 004』リリース以降の動きは？

PMX：まず、これまでの僕のソロ楽曲やプロデュース楽曲のPVを『ブルーレイにまとめた『DJ PMX Music Video Perfect Collection + Best Produce Works Music Video Collection』』が3月20日にリリースされます。ブルーレイでリリースするので、とにかく画質が向上しているのでより楽しんでもらえると思います。あとは、DS455のニュー・アルバムの制作、その他まだ詳細は話せないんですが、とあるプロジェクトも動いています。まずはDS455の制作からですね。

――ちなみにPMXさんは母体であるDS455の制作スタイルや、他アーティストへの楽曲を提供するとき、そしてソロ・プロジェクトのときとではスタイルのスイッチングはする方ですか？

PMX：そうですね、自然としている方だと思います。DSの場合はわかりやすいくらいウェストコースト・スタイルのメロウに重きを置いているし、ソロの場合はそれが大前提でありつつもいろんなことに挑戦している。リスナーはみんな同じに聴こえているかもしれないですけどね（笑）。普段はヒップホップ以外のジャンルの音楽も聴いているんですけど、そこからイメージやヴィジュアルなど、得るものもあるんですよ。やっぱりニューウェストの音は断然気になるんですけど、例えばデヴィッド・ゲッタの曲を聴いたりすると、世代も彼と遠くはないので、励みになったりします。

取材・文●佐藤公郎

『LocoHAMA CRUISING 004』
3月6日発売
VICP-65105～6　\2,980(tax in)
#1
01.INTRO
02.Cruising feat. GIPPER, GAYA-K, JOYSTICKK, mai
03.ロマンチック
04.つれの歌 feat. HYENA
05.何をGET -REMIX- feat. Kayzabro (DS455), DJ TY-KOH, AKASHINGO
06.街模様
07.MEMoRIES feat. MoNa
08.Hard Life feat. BIG RON
09.You & Me feat. BIG RON, 大地
10.CRAZY LOVE
11.CUT SOLO feat. HI-D
12.OG KUSH ～I L　VE CALI～ feat. BIG RON
13.嘘～少女Aの告白～ feat. 宏実
14.My Beauty Queen feat. JOYSTICKK, KOWICHI, ZANG HAOZI, JAY'ED
15.Reason（This is why we rap）feat. ZEEBRA, Mummy-D, MACCHO (OZROSAURUS)
16.Three The Hard Way feat. 宇多丸 (RHYMESTER), 高木完, ECD
17.異次元ポケット
18.Girlz Do It Better
19.SHOW & PROVE
20.Only One
21.B.L.O.C.K.
22.Yippie Yo Yippie Yay
23.真夏のバカンス ～Take It All～
24.Mid Night Ride feat. GIPPER
25.Fantastic Voyage feat. HI-D
26.Heads Up High feat. THA DSC
27.Memories…
28.Summer Breeze feat. Kayzabro (DS455), mai
29.Baby Girl
30.心の理由 feat. 般若
#2
01.イントロ
02.プレイヤ・ヘイター・フィーチャリング・テディ
03.ライク・ユー・フィーチャリング・MC マジック
04.ナッシング・ライク・LA
05.オンリー・フォー・ユー・フィーチャリング・レディー V、ビッグ・ピンピン
06.ロックド・ダウン・フィーチャリング・ヤ・ボーイ＆エイコン 07.ハッスル・イン・ザ・ハウス
08.ノー・ストリングス・アタッチト・フィーチャリング・サイフォン＆ロスコー
09.レッツ・プレイ・ハウス
10.フォー・ライフ
11.コネクテット・フォー・ライフ
12.レギュレイト
13.カリ・ドリーミン・フィーチャリング・コラプト
14.ロケッティア・フィーチャリング・ライアン・テダー・オブ・ワン・リパブリック
15.ストラグル
16.アイ・ラザー・ビー・ウィズ・ユー
17.フー・アム・アイ（ホワッツ・マイ・ネーム）？
18.クリープ・ウィズ・ミー
19.レット・イット・レイン
20.ヘイト・イン・ユア・アイズ
21.リフィル・フィーチャリング・ハロルド・ブルー、リアリティ・ジョーンズ、レディー・デュース＆ディンク
22.ギャングスタ・ラヴィン
23.キャリ・ラヴ・フィーチャリング・ダイアモンド・オーツ、ケース、ベイビー・ディー
24.ホールド・オン（レア・ブリード）・フィーチャリング・T・ロペス
25.マミ・ミラ
26.エイント・ノー・ファン
27.ベイビー・ウィ・キャン・ドゥ・イット
28.グロウン・アンド・セクシー・フィーチャリング・スヌープ・ドッグ＆フィンガズ
29.ザ・ウエスト・コースト
30.シッカー・ザン・ウォーター

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