【ライブレポート】主催は“あの曲”を書いたJam9。作家兼業アーティストたちを集めた<ソングライターズ>

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2月27日にニューアルバム『Jam9 All Songs Best』をリリースする静岡在住の3人組ユニット・Jam9が、自身の主催イベント<ソングライターズ>の記念すべき第一回目を開催した。

◆Jam9、GP a.k.a N.O.B.B、矢野マイケル <ソングライターズ> 画像

2013年2月10日にSHBIUYA CYCLONで開催されたこの<ソングライターズ>は、自身の活動はもちろん、他アーティストへの楽曲提供も精力的に行なっている才能豊かな“作家兼業アーティスト”が集結したイベント。2PMに「マスカレード ~Masquerade~」を提供した矢野マイケル、餓鬼レンジャーのメンバーにして、遊助にシングル「ひまわり」ら多くの楽曲を提供するとともに彼のライブツアーのDJとしても活躍するGP a.k.a N.O.B.Bをゲストに迎え、KARA「SOS」やAAA「I4U」、倖田來未「恋しくて」、さらに<Samantha Thavasa>のTVCMソングとしても記憶に新しいE-girlsの「Follow Me」などなど、数々の楽曲を手がけたJam9がホスト役として会場を熱く盛り上げた。

「初めての人も手の平見せてくれ! 一緒に楽しもうぜ!」── PRINCE.YK

勢い溢れる挨拶を合図に、フロアの観客が一斉に両手を高く掲げ、アッパーな雰囲気の中でライブの幕は切って落とされた。DJのMOCKYが鳴らすビートとサウンドを背に、Giz'Moはステージをアグレッシブに躍動しながらラップを放ち、その実弟であるPRINCE.YKは、伸びやかな歌声を会場いっぱいに響かせる。オープニングナンバー「花火」は、その彼らの三位一体のアンサンブルをまさに象徴するような1曲だ。どこか儚いムードを漂わせるピアノの音色、ループするリズム、そして、Giz'MoとPRINCE.YKの声のハーモニー……。美メロと昂揚的なサウンド・エッセンスが融合するJam9ならではのスタイルで、フロアを埋めた観客の心をいきなり力強く掴む。

そして、バリエーション豊かな楽曲テイストでライブの雰囲気を縦横無尽に変化させていく彼ら。「3・2・1で拳くれ!」と、そして大合唱とともに、メンバーとファンが一体になって拳を突き上げたアッパーチューン「Nanana」。かと思えば「Love song 2 ~遠く離れても」は、再びピアノをフィーチャーしながらハート・ウォーミングなムードで魅せる。

「曲を書いて、その曲を色んな人が歌ってくれてる。自分も歌を歌う人達が集まってる。それって、メロディを、音楽をすごく大事にしている人達の集まりなんじゃないかなって。そういう温かいメロディを色んな人に色んな形で届けてるミュージシャンが集まるのってなかなか無いと思うので、(このイベントを)これからもやれたらいいなと思います。1回目に立ち会ってくれた皆さん、心から感謝してます、ありがとうございます!」── Giz'Mo

その後も「めっちゃハッピー」「シアワセのカタチ」「サクラ」と続いたライブは、明るく朗らかなムードで楽しいひと時を演出、スピーディーなラップをフィーチャー、鍵盤や弦楽を交えたドラマチックなサウンドなど……。じつに多彩な音楽エッセンスをブレンドさせているとともに、その楽曲には、まさにGiz'Moのメッセージの通り聴き手の胸を温かくするメロディが必ず息づいている。他アーティストへの提供楽曲でも発揮しているJam9のメロディ・メイカーぶりは、この日披露した自身の楽曲を通してその魅力を開花させていた。

そして、現在も故郷の静岡・浜松で暮らし、仲間の存在を大切にしながら活動を続ける彼らは、自分達を応援してくれる人を“ファン”ではなく“unities”と呼ぶ。そのワードをタイトルに冠した1曲「unities」では、一人ひとりの“unities”── 仲間達への熱い思いを等身大の言葉で届ける。その仲間達と作った一体感は、「42.195」でエンディングを迎えても消えることはない。PRINCE.YKの「手が痛くなるほどのクラップを!」という呼びかけに、事前に用意されたセットリストにはない、予定外のアンコールでプレゼントした「衝動~believe myself~」。大合唱とハンド・クラップがこの日一番のボリュームで会場全体を埋め尽くした。

Jam9が中心となり、会場全体がひとつになって盛り上がる観客参加型ライブのラストナンバーは、2月27日リリース『Jam9 All Songs Best』のオープニングナンバーでもある「糸しきひと」。<あなたと生きている それだけで 私は幸せになれるの……>。誰かを思うことで人と人は繋がっている、誰もが一人じゃない……。そんなメッセージも汲み取れるリリックが印象的なバラードナンバーもまた、Jam9の真骨頂と言っても良い温かなメロディに胸を打たれた。

色々なスタイルの作品を通して“温かいメロディ”を届ける<ソングライターズ>。Jam9を中心に、その活躍は今後も注目したい。

取材・文:道明利友

◆ライブレポチャンネル
◆Jam9 オフィシャルサイト
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