映画『東京家族』山田洋次×久石譲スペシャルトークセッション、「空気のような音楽を!」
『家族』『幸福の黄色いハンカチ』『おとうと』『男はつらいよ』シリーズなどを通し、その時代時代の家族を見つめ続けてきた山田洋次監督が放つ最新作『東京家族』が、公開初日を迎えた。監督作81作目となる『東京家族』は、慈しむように丁寧に映し出されるどこにでもある家族の風景が映し出される。やっかいだけど愛おしい、今を生きる家族を通して大きな共感の笑いと涙を届けている『東京家族』、その音楽を担うのは、巨匠久石譲だ。
◆映画『東京家族』山田洋次×久石譲スペシャルトークセッション映像
1月25日、映画の公開を記念し、国立音楽大学の学生向けに、映画界・音楽界の第一線を走り続ける山田洋次監督&久石譲という2大巨匠による初のトークセッションが開催され、ふたりの映画、音楽に対する思いが語られると共に、250名の学生からはたくさんの質問が飛び出し、更に久石譲による「東京家族」のピアノ生演奏も披露されるという、スペシャルトークセッションが繰り広げられた。
──山田洋次監督、久石譲さんです。みなさま、拍手でお迎えください。
山田洋次監督:音楽大学はあこがれの場所です。ここでどんな授業が行われているのか、想像するだけで夢のようです。
久石譲:今日は映像と音楽の話で、授業じゃないから興味深い話が出来ると思うから楽しみにしててね(笑)
──映像音楽という世界へ入られたきっかけは?
久石譲:食べるためですかね(笑)年間300本以上映画を見ていたので、一番好きな音楽と、大好きな映画の仕事ができるからかな。
──映像音楽の魅力とは?
久石譲:思い通りにいかないところですね。今でも思い通りにいかない。
山田洋次監督:映画が一番近い芸術は音楽かもしれないですね。演劇なんかよりも映画は音楽に近いのでは?映画音楽の学問が日本にないのが不思議なくらいです。
──ここで、本日は特別に生演奏をお聞きいただきましょう。
久石譲演奏
・「One Summer's Day」(『千と千尋の神隠し』より)
・「東京家族」(『東京家族』より)
・「Departues」(『おくりびと』より)
山田洋次監督:『東京家族』の画面が浮かんできました。私の中では音楽と画面が既に一緒になってしまっているようです。
──山田監督と久石さんは今回の『東京家族』で初タッグを組まれましたが、どのような感じだったのでしょうか?
久石譲:映画監督も音楽家も呼吸が合うかが大事ですね。『東京家族』はある意味重くて、素晴らしい作品。個人的にはとてもプレッシャーがありました。
山田洋次監督:作曲家と組んでやるのはとても大変。お見合いのようなもので、どういう人と組んでやるかというのはとても気を使う。緊張しました。
──『東京家族』では監督からはどんな指示があったのでしょうか?
久石譲:空気のような音楽、雰囲気を邪魔しないような音楽と言われていました。今回はあまりたくさんの音楽を必要としない、芝居を邪魔しないで共存出来る音楽なんだと思いました。
山田洋次監督:カメラだけ、演技だけ、音楽だけが素晴らしいというのではなく、映画全体でアンサンブルをつくりあげて、観客の心の中にすーっと吸い込まれていくような作品でなければいけないと思っています。
久石譲:今回は2時間半ぐらいの映画なんだけど、曲は全部で25分ぐらいしかないんです。いかにうすく書くか、でもやせすぎちゃいけない…そんな色々な工夫をしていくうちに、こんな技があるんだと、3つぐらい新しい技を発見しました。
山田監督:今回はいかに雰囲気を邪魔しないような音楽と思っていたのですが、でもオーケストラでないといけないと思いました。節約するととどうしても貧しくなってしまう。
久石譲:色々なテクノロジーが流行るのはいけど、ダウンロードした音楽などはあくまで情報。情報には感動がありません。映画もやっぱり映画館で見るからこそ感じるものがあると思います。
山田洋次監督:安っぽく感じるものは全て情報だけで成り立っている。映画は全てのショットが情感を持っていなくてはいけないと思います。
映画『東京家族』
2012年5月。瀬戸内海の小島で暮らす平山周吉(橋爪功)、とみこ(吉行和子)夫婦が上京して来た。東京の郊外で個人病院を営む長男の幸一(西村雅彦)、美容院経営者の長女の滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事をしている次男・昌次(妻夫木聡)たち家族が、久しぶりに顔を合わせた。東京滞在中は両親に楽しく過ごしてもらいたいと思う子供たちだったが、のんびりとした暮らしをしてきた老夫婦とでは、あまりにも生活のリズムが違い、家族の間には少しずつ隙間ができ始める。忙しい子供たちは、両親の面倒を見ることができなくなり、二人をホテルに行かせてしまう。そんな対応に、仕方がないと思っていながらも、今まで大切に育ててきたのにと淋しさを感じる周吉ととみこ。そして、周吉は同郷の友人を訪ねるが、そこでも宿泊を断られ、絶っていた酒を飲み周囲に迷惑をかけてしまう。一方、とみこは一番心配な昌次のアパートを訪ね、そこで将来を約束した間宮紀子(蒼井優)を紹介される。そんなある日、とみこが幸一の家で倒れてしまう…。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、平松恵美子
音楽:久石譲
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優
制作・配給:松竹株式会社
2013年1月19日(土)全国ロードショー
(C)2013「東京家族」製作委員会
◆映画『東京家族』オフィシャルサイト
◆映画『東京家族』山田洋次×久石譲スペシャルトークセッション映像
1月25日、映画の公開を記念し、国立音楽大学の学生向けに、映画界・音楽界の第一線を走り続ける山田洋次監督&久石譲という2大巨匠による初のトークセッションが開催され、ふたりの映画、音楽に対する思いが語られると共に、250名の学生からはたくさんの質問が飛び出し、更に久石譲による「東京家族」のピアノ生演奏も披露されるという、スペシャルトークセッションが繰り広げられた。
──山田洋次監督、久石譲さんです。みなさま、拍手でお迎えください。
山田洋次監督:音楽大学はあこがれの場所です。ここでどんな授業が行われているのか、想像するだけで夢のようです。
久石譲:今日は映像と音楽の話で、授業じゃないから興味深い話が出来ると思うから楽しみにしててね(笑)
──映像音楽という世界へ入られたきっかけは?
久石譲:食べるためですかね(笑)年間300本以上映画を見ていたので、一番好きな音楽と、大好きな映画の仕事ができるからかな。
──映像音楽の魅力とは?
久石譲:思い通りにいかないところですね。今でも思い通りにいかない。
山田洋次監督:映画が一番近い芸術は音楽かもしれないですね。演劇なんかよりも映画は音楽に近いのでは?映画音楽の学問が日本にないのが不思議なくらいです。
──ここで、本日は特別に生演奏をお聞きいただきましょう。
久石譲演奏
・「One Summer's Day」(『千と千尋の神隠し』より)
・「東京家族」(『東京家族』より)
・「Departues」(『おくりびと』より)
山田洋次監督:『東京家族』の画面が浮かんできました。私の中では音楽と画面が既に一緒になってしまっているようです。
──山田監督と久石さんは今回の『東京家族』で初タッグを組まれましたが、どのような感じだったのでしょうか?
久石譲:映画監督も音楽家も呼吸が合うかが大事ですね。『東京家族』はある意味重くて、素晴らしい作品。個人的にはとてもプレッシャーがありました。
山田洋次監督:作曲家と組んでやるのはとても大変。お見合いのようなもので、どういう人と組んでやるかというのはとても気を使う。緊張しました。
──『東京家族』では監督からはどんな指示があったのでしょうか?
久石譲:空気のような音楽、雰囲気を邪魔しないような音楽と言われていました。今回はあまりたくさんの音楽を必要としない、芝居を邪魔しないで共存出来る音楽なんだと思いました。
山田洋次監督:カメラだけ、演技だけ、音楽だけが素晴らしいというのではなく、映画全体でアンサンブルをつくりあげて、観客の心の中にすーっと吸い込まれていくような作品でなければいけないと思っています。
久石譲:今回は2時間半ぐらいの映画なんだけど、曲は全部で25分ぐらいしかないんです。いかにうすく書くか、でもやせすぎちゃいけない…そんな色々な工夫をしていくうちに、こんな技があるんだと、3つぐらい新しい技を発見しました。
山田監督:今回はいかに雰囲気を邪魔しないような音楽と思っていたのですが、でもオーケストラでないといけないと思いました。節約するととどうしても貧しくなってしまう。
久石譲:色々なテクノロジーが流行るのはいけど、ダウンロードした音楽などはあくまで情報。情報には感動がありません。映画もやっぱり映画館で見るからこそ感じるものがあると思います。
山田洋次監督:安っぽく感じるものは全て情報だけで成り立っている。映画は全てのショットが情感を持っていなくてはいけないと思います。
映画『東京家族』
2012年5月。瀬戸内海の小島で暮らす平山周吉(橋爪功)、とみこ(吉行和子)夫婦が上京して来た。東京の郊外で個人病院を営む長男の幸一(西村雅彦)、美容院経営者の長女の滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事をしている次男・昌次(妻夫木聡)たち家族が、久しぶりに顔を合わせた。東京滞在中は両親に楽しく過ごしてもらいたいと思う子供たちだったが、のんびりとした暮らしをしてきた老夫婦とでは、あまりにも生活のリズムが違い、家族の間には少しずつ隙間ができ始める。忙しい子供たちは、両親の面倒を見ることができなくなり、二人をホテルに行かせてしまう。そんな対応に、仕方がないと思っていながらも、今まで大切に育ててきたのにと淋しさを感じる周吉ととみこ。そして、周吉は同郷の友人を訪ねるが、そこでも宿泊を断られ、絶っていた酒を飲み周囲に迷惑をかけてしまう。一方、とみこは一番心配な昌次のアパートを訪ね、そこで将来を約束した間宮紀子(蒼井優)を紹介される。そんなある日、とみこが幸一の家で倒れてしまう…。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、平松恵美子
音楽:久石譲
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優
制作・配給:松竹株式会社
2013年1月19日(土)全国ロードショー
(C)2013「東京家族」製作委員会
◆映画『東京家族』オフィシャルサイト
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