【ライブレポート】GLAY、プレミアムな一夜を彩った、胸が熱くなるメロディの数々

ポスト

12月10日、<HOTEL GLAY presents GLAY CHRISTMAS SHOW 2012 Winter THE SWEET ROOM in Zepp DiverCity>が開催された。これは12月5日に同時リリースされたニュー・シングル「JUSTICE [from] GUILTY」「運命論」の2作購入者を対象としたもの。クリスマス・シーズンということから、ペア販売のみが用意されたチケットには、約30,000件60,000人もの応募があったという。その中から1,200件2,400名が幸運にもプラチナ・チケットをゲット、プレミアムな一夜を共有することとなった。

◆GLAY画像

開演予定時刻の19:00より少し早く会場内に入ると、最終サウンドチェック中のテックが、各ギターの和音やエフェクト音を響かせていた。その音像がやけに生々しく、改めてステージと客席の距離の近さを感じさせる。会場を埋め尽くしたファンのテンションにも凄まじいものがあった。開演前の場内の空気は期待に膨らむ熱気で白く霞んだ天井に象徴されるようだ。先ほどまでの外の寒さがウソにすら感じられるほど会場中が沸いている。

19:04。SEが流れると、大歓声のなかにTAKURO、JIRO、HISASHI、TERUが颯爽とステージに登場。オープニング・ナンバーで12月5日にリリースされたばかりのシングル曲「JUSTICE [from] GUILTY」のイントロがはじき出された瞬間、ひときわまぶしい光が4人の姿をくっきりと浮かび上げた。初っぱなからのエッジの効いた新曲にフロアが大きく波打つ。手を高くかざしたTERUに続くかのごとく、客席からいくつもの腕が突き上げられた。

「ダイバーシティ!熱くいこうぜ!カモン、Toshi」とシャウトしたTERUに導かれて、ドラムの特徴的なイントロが鳴り響くと、会場のテンションが一気にレッドゾーンへ突入した。曲はご存じ「誘惑」だ。ステージ前方まで躍り出て真一文字に並んだ4人。早くもステージと客席に距離はない。一体感を築こうとするメンバーの気持ちがつぶさに伝わってくるほど、表情もサウンドも気合いに満ちている。「everKrack」では4つ打ちビートがフロアを揺らし、客席中からコーラスが響き渡るなど、楽曲の持つパワーで会場全体をひとつにしてみせる。客席から悲鳴が上がったインディーズ時代のレア曲「TWO BELL SILENCE」では、HISASHIとTAKUROによる美しきツイン・リードのハモリに思わず引き込まれてしまった。

「18年間活動しているといろいろな種類の曲があって。たくさんの思い出や思い入れが詰まった曲たちがあるんですけど。短い時間の中でもインディーズの頃の曲を引っ張り出して、みんなでこうやって楽しめるってことがね。これは音楽でしかできないことなんじゃないかなって思うんですよ。なので、新曲をみなさんに届けるたびに、この曲にどういう思い出が詰まっていくのかなって、すごく楽しみにしています」とTERUによって紹介された新曲は「MILESTONE ~胸いっぱいの憂鬱~」。シングル「JUSTICE [from] GUILTY」に収録されたカップリング・ナンバーだ。ここからの中盤は、それまでの興奮を引き継ぐ激しいナンバーではなく、「Route 5 Bayshore Line」や「SOUL LOVE」のようなシンプルで力強い楽曲を披露。ハードで攻撃的なナンバーも彼らの魅力だが、こういった一音一音をしっかり聴かせる楽曲にこそ、バンドの本質が現れる。音の隙間を絶妙に活かした彼らのアンサンブルは実に心地いい。

ステージ上は至ってシンプル。大がかりなセットや特殊効果を一切排除した舞台に、歌と演奏のみで最高のエンタテイメントを作り上げるといった気概が溢れているようだ。さらに今回のライブはサポート・キーボード、永井誠一郎の参加はなく、メンバー4人とサポート・ドラマーのToshi Nagaiによる5人編成で行われた。鍵盤に彩られていた楽曲も、弦楽器による新たなライブ・アレンジが気持ちいいほどの音圧と繊細さで強烈にアピールしてくる。

「Time for Christmas」「Winter,again」といった冬の季節にピッタリのドラマティックなラヴソングは友達同士のペアはもちろん、カップルにとってこの上ないプレゼントとなったことだろう。また、TAKUROのボーカル・パートがフィーチュアされる「君が見つめた海」は、すべてのファンが驚喜した貴重なナンバーだ。

「みんなをもっともっと幸せにしてやるぜ!」というTERUのシャウトからスタートした後半はまさに怒濤。バラエティに富んだサウンドは楽器だけでなく、一言一言が突きささるTERUのヴォーカルによる力が大きい。タイトなウネリをキープしながらも時に高速ダウンピッキングで硬質ビートを、時に身体全体で大きくグルーヴをはじき出すJIROはフレキシブルにバンドの根底を支える。全ての鎖を断ち切ったように多種多様なサウンドを聴かせるHISASHIの感性はセンシティヴでアグレッシヴ。そしてブルージーなオブリから速弾き、パワフルなバッキングや透き通るようなアルペジオなどTAKUROはオールラウンドに駆け巡る。

そうした音たちが驚くほどクリアに分離し、また巨大なひとつのカタマリともなって襲いかかってくるステージは圧巻だ。何度もピークを迎えたこの日のライブは、各パートがフィーチュアされた「SHUTTER SPEEDSのテーマ」など、ライブでやったら盛り上がらずにはいられない代表曲をこれでもかと言わんばかりに終盤に連発、今年の夏大阪・長居スタジアムでのライブのテーマソングにもなったシングル曲「Bible」で本編の幕を閉じた。

興奮冷めやらぬアンコールは大ヒット曲「HOWEVER」。そして全18曲、約2時間のライブをオープニング曲と同時に12月5日にリリースされたシングル曲「運命論」でエンディングを締めくくると、5人は手を取り合い「1、2、3バンザイ!」で会場をひとつにまとめて、ステージをあとにした。

感動で胸が熱くなるメロディの数々。温かく包み込んでくれる空気感。ここに集まった2,400人、そして動画配信生中継に参加した約200,000人は、そのかけがえのない瞬間がGLAYのライブにあることを知っている。この日のライブ中盤のMCでは、「来年のアリーナツアーが発表されましたけど、そのツアーの間にちょいちょいあるかもよ…」とウレシイ予告をしてくれたTERU。2013年1月23日には2年3ヶ月ぶりとなる待望のアルバムが2枚同時リリースされる。まだまだビッグ・サプライズが予定されている彼らの今後に、大いに注目したい。

取材・文:梶原靖夫

<HOTEL GLAY presents GLAY CHRISTMAS SHOW 2012 Winter THE SWEET ROOM in Zepp DiverCity>
1.JUSTICE [from] GUILTY
2.誘惑
3.everKrack
4.TWO BELL SILENCE
5.My Private "Jealousy"
6.MILESTONE ~胸いっぱいの憂鬱~
7.Route 5 Bayshore Line
8.SOUL LOVE
9.Time for Christmas
10.Winter,again
11.君が見つめた海
12.Ruby's Blanket
13.BEAUTIFUL DREAMER
14.SHUTTER SPEEDSのテーマ
15.彼女の"Modern…"
16.Bible
encore
17.HOWEVER
18.運命論
この記事をポスト

この記事の関連情報