ポール・ギルバート【来日直前インタビュー】ブルースは新たな言語を覚えるような感じで発見することが多くてすごく面白いんだ

■この数年でギタリストとして進化してる
■新しい僕を見てほしいと思ってるんだ

――今回は奥さんのエミさんのキーボードも全編に渡って大活躍だね。

ポール：彼女、B3オルガンが好きでレッスンも受けてるんだ。もともとはクラシックの人だからエレピはあまり知らなかったんだけど、ジョージ・デュークとかジョン・スコフィールドを聴いて、フェンダー・ローズの音がすごく気に入ったんだって。それで、ローズに近いキーボードを二人で探し出したんだ。その音がとてもよかったから、彼女にエレピをたくさん弾いてもらって入れたんだよ。

――ポールにしては珍しくコテコテのブルースも演ってる。

ポール：「バイヴァルブ・ブルース」だね。ブルースは色々やってきたけど、これはマイナーブルースってところが新しいね。コードの使い方や運指が、いつものドミナントのブルースとは全然違うから、ちょっとしたチャレンジだった。でもこの曲のためにすごく練習したから、今は頭の中にアイデアがたくさんある。今後もまたやると思うよ。

――この曲は誰が聴いてもレッド・ツェッペリンだよね。「貴女を愛し続けて」でしょ？ これは違うって言ってもダメだよ！

ポール：そのとおり、これは間違いないね（笑）。もうツェッペリンは小さいときから聴いてたし、ジミー・ペイジはマイナーブルースのエキスパートだよね。この曲ではエミもジョン・ポール・ジョーンズみたいでしょ（笑）。イントロだけはちょっと違うけど、これはZZ Topの「チープ・サングラス」のリズムをヒントにして、クリニックの生徒たちとのやりとりから生まれたコードを組み合わせたものなんだ。

――マイナーブルースで泣きまくりのポールって、けっこう意外だったなあ。

ポール：自分が好きだったミュージシャンが影響を受けたものをたどってみると、すごく面白いよね。たとえばエディ・ヴァンヘイレンがクラプトンが好きだって言ってたり、ジミヘンがボブ・ディラン好きだとか、若い頃はうまく結び付かなかったけど、今はなるほどって感じでわかるようになった。クラプトンがビッグ・ビル・ブルーンジーなんて、名前すら知らなかったけど、調べてみたらホントにいいんだ。そうやってたどって色々聴いてみるとすごく面白いし、ブルースそのものにとても興味が出てきた。昔はブルースってスローでシンプルでつまらないと思ってた。でも実はそんなに単純じゃなくて、ジャズにも通じるところがあって深いんだよ。ブルースを改めてやると、新たな言語を覚えるような感じで発見することが多くて、すごく面白いんだ。

――もっと色々訊きたかったんだけど、時間がなくなっちゃった。最後に、来年の日本ツアーについて。ポールは毎回サプライズを用意してくれるけど、今度もなにか考えてる？

ポール：まだ決めてないけど、何か考えるよ。

――やっぱり中心になるのはこの『ビブラート』の曲？

ポール：そうだね。このアルバムの新しい曲はたぶんすべてやると思う。それに新しいカヴァー曲もなにかやろうと思ってるんだ。もちろん昔の曲も大事だからたくさんやりたいね。

――日本ツアーもこのアルバムのメンバーで？

ポール：その予定さ。このバンドのすごさを感じてほしいね。とくにドラマーのトーマスがとにかくすごいんで、注目して見てもらいたい。そして僕自身、この数年でギタリストとしてまた進化してるから、新しい僕を見てほしいと思ってる。

――「アトモスフィア・オン・ザ・ムーン」のためにゴスペル隊を呼んだりしないの？

ポール：ハハハ（笑）。それも面白いけど、このバンドのメンバーはみんな歌えるから、なんとかやれると思うよ。ライヴ、きっと楽しいからみんな見に来てね！

取材・文●田澤仁

＜来日公演情報＞
来場者全員に『未公開映像収録お年玉DVD』をプレゼント

2013年1月15日(火)　赤坂ブリッツ
2013年1月16日(水)　赤坂ブリッツ
2013年1月18日(金)　松下IMPホール
[問]ウドー音楽事務所　03-3402-5999　http://udo.jp/

『VIBRATO / ヴィブラート』限定盤：IEZP-33 CD＋DVD　 \3,500(tax in)
通常盤：IECP-10263 CD \2,625(tax in)
01.Enemies (In Jail)
02.Rain and Thunder and Lightning
03.Vibrato
04.Put It On The Char
05.Bivalve Blues
06.Blue Rondo A La Turk
07.Atmosphere on the Moon
08.The Pronghorn
09.Roundabout（ライヴ）
10.I Want To Be Loved（ライヴ）
11.Go Down（ライヴ）

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