摩天楼オペラ【インタビュー】シンフォニックな王道チューンに籠められた力強いメッセージに胸打たれる「Innovational Symphonia」
■“世界線”というワードはアニメからヒントを得た
■一度起きたことはリセットできない……っていう
――なるほど! そして今回もカップリングに3曲収録という嬉しいボリュームですが、2曲目の「あの日の世界線に向かって」はタイトルからして、どういう意味なのかと。
苑:“世界線”というワードは「シュタインズ・ゲート」というアニメから来ていて、作中に僕たちが今いる一本の世界線からタイムリープすると、もう一本の世界線に行くとう理論があるんですね。で、やり直したい過去があってタイムリープを繰り返しても、結局は求めている過去には戻れない。要するに一度起きたことはリセットできない……っていうことで、それでも過去に戻ってやり直したいと願う主人公・岡部倫太郎の気持ちになり切って歌いました。
彩雨:もともとは冷たく淡々とした、サビでもガツンと盛り上がったりしない曲っていうイメージで、僕が持っていったんです。そしたらピアノの冷たいリフレインが苑の中で「シュタインズ・ゲート」とリンクしたらしく、その話を聴いてから僕もアニメを観たら、もう、ハマり具合が完璧で! この曲を聴くと登場人物が思い浮かぶし、彼らを見るとこの曲が流れてきます(笑)。
燿:僕は友達であるDuelJuelのShunくんが、あまりに「シュタインズ・ゲート」を推してくるんで、逆に拒否反応で観てなくて。歌詞を見たときは「魔法少女まどかマギカ」で、暁美ほむらが魔女と延々戦ってるシーンが出てきました。僕が暁美ほむら推しっていうのもあるんですけど、これって彼女もハマらない?
苑:いや、僕は岡部倫太郎しか……。
――もしや摩天楼オペラって、皆さんアニメ好きなんですか?
悠:いえ、僕とAnziは全然わかんないですね。でも、これは原曲を聴いた段階で“大好きだな”と思ったんで、ドラムのイメージは一発で見えました。
Anzi:僕も、こういう隙間の多い8ビートは好きなんですよ。とにかく寒い荒野あたりで弾いてるような映像が思い浮かびましたね。
苑:ただ、本当に淡々とした曲なんで、ヴォーカルで色付けしないと単調すぎる仕上がりになってしまうと思ったんです。そこでAメロではか細く掠れた声を混ぜて、徐々に盛り上げていきました。なので、最初のサビと最後のサビの“溺れていく”を、ぜひ聴き比べてほしいですね。そこに感情の差が表れてますから。
彩雨:うん。歌入れのとき、ディレクターさんと顔を見合わせて“役者だね!”って言った記憶がある。
悠:僕は最後の10秒で、いきなり場面が展開して開けたな!ってところでスッ!と終わるのが一番好き。すごく気持ちいい。
――そこから間髪入れずに始まる「Freesia」も、恐ろしくインパクトのある曲で。妖艶かつエキゾチックなムードに、ベリーダンスの女性が目に浮かびました。
苑:正解です。仮タイトルから「異国風メタル」で、こういう曲はずっとやってみたかったんです。ただ、そのためにはオリエンタル風な雰囲気のあるヴォーカルがキモになってくるんで、ようやく技術的に歌えるようになった今、出してみた感じです。
彩雨:とはいえ、全員が異国風にやる必要もないですからね。そっちに色付けするのは僕の仕事だろうと、いろんな国の民族楽器を要所要所に散りばめていきました。スタジオでも“これはどこの国だろう?”って話が出たんですけど、だから、どこの国って限定してるわけでもないんですよ。
Anzi:間奏ではガットギターを使って、僕は一人スペインしてみました。そういうのが大好物なんで。
悠:僕も気持ち的にはスペイン風の情熱を感じながら叩いたのと、歌や上物を引き立たせようと割と抜いてます。歌の中にはツーバスが入ってこないし。
燿:ベースもイントロとかAメロとか激しい部分はローB押しで、プレイも普通通りですね。このテンポでずっとローBでやってる曲はあんまり無かったんで、気分はスリップノットでした(笑)。
――ちなみに、タイトルのフリージアには“純情、純真”という花言葉がありますが、歌詞はどういったストーリーなんでしょう?
苑:アイドルだとかアニメのキャラクターだとか、要するに手の届かない人への想いが高まって、自分の中の世界で二人きりになっていく男性の心理を書いた歌ですね。そういった純情プラス、相手の女性を純真な人だと信じているというダブルの意味での純真です。僕自身は現実に触れられる子じゃないとダメですけど(笑)、「あの日の~」と同じく空想から歌詞を生み出すというのも、作詞家としての引き出しですから。
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