【ライブレポート】<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>に響く、聴き手の心に深く刻まれる“歌”の力
FIELD OF VIEW、B.B.クィーンズ、DEEN、T-BOLAN。1990年代にデビューし、当時の音楽シーンを席巻し“BEING”の一大旋風を巻き起こしたアーティスト達が集結した<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>。その豪華ラインナップはもちろん、“心因性発声障害”を患い一度は声を失ったヴォーカリスト森友嵐士が復活したT-BOLANの出演など、各方面から話題を呼んでいるツアーが現在全国で展開中だ。
◆<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>画像
今回のツアーに参加したアーティスト達には、1990年代当時からのファンはもちろん、解散/活動休止中にも関わらずその後も様々なメディアで紹介されることも多かった彼らの作品に触れてファンになった若い世代のファンも、きっと多くいるだろう。そんな、時代を超えて歌い継がれる魅力を持つ音楽を、今回の<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>の記念すべき初日・ハーモニーホール座間のステージで目の当たりにできたことは、幸運以外の何物でもなかった。時を経ても輝きを失わない、まさに“大衆音楽”の王道を往くかのようなキャッチーさ、ポップさ、そして、普遍性──。多くの人を惹きつけてやまない音楽のパワーを、この<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>の出演者達にあらためて伝えてもらったような気がする。
まずは、記念すべき初日のトップバッターを飾ったFIELD OF VIEW。今回のツアーのためにオリジナルメンバーの浅岡雄也(Vo)と安部潤(Key)が再び集い、1990年代の音楽シーンを彩ったあの透き通った音色を奏でる。<突然の風に吹かれて 夢中で何かを探したね>。オープニングナンバーの「突然」は、当時CMソングとして使われていたポカリスエットのTVコマーシャルの映像が懐かしく甦ってくる。さらに続いた「ドキッ」、「FIELD OF VIEWのシングル曲をメドレーにしてきたので、ぜひ心の中で大合唱して下さい」と浅岡が曲紹介した、「Dreams」「青い傘で」「この街で君を暮らしたい」「Beautiful Day」「Last Good-bye」と続いた5曲のスペシャル・メドレー。そして、エンディングを飾ったデビューシングル「君がいたから」と、この日の彼らが奏でた音色はどれも、前述のポカリスエットのCM映像でも印象的だった晴れ渡る青空のような清涼感を放つ。今日は皆さんと伝説の目撃者になって、新しい伝説を作っていきたいと思います。浅岡のMC通り、新たな“LEGEND”の幕開けを飾るにふさわしい盛り上がりで<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>はスタートした。
ウィー・アー・B.B.クィーンズ! キラッキラに輝くどハデな衣装に身を包み、パワフルなシャウトとともに幕を開けたのはB.B.クィーンズのステージだ。近年は、神聖かまってちゃんとのコラボレーション・ユニットB.B.かまってちゃんの活動で若いファンからの注目も浴びる彼らは、この日はMi-Keとしてはもちろん、自身も1990年代に大ヒット曲を連発した宇徳敬子がコーラスに加わって華やかなムードで会場を染め上げた。アニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディング曲のカバー「ゆめいっぱい」はレゲエチックな心地よいリズムで、人気TV番組『はじめてのおつかい』のテーマソングとしても記憶に新しい「ドレミファだいじょーぶ」はリズミカルに、さらに最新曲「一番先に、君が好き」も披露、etc…。一聴で心がウキウキしてしまうポップナンバーを連発した一大ショウの締めくくりは、「じゃあ、最後はこれだよね!」(坪倉唯子)と、メンバーもファンも誰もが認めるB.B.クィーンズならではの楽しさが凝縮した「おどるポンポコリン」。子供から大人まで、老若男女が歌い手拍子を打ち鳴らす、明るくハッピーな雰囲気で満たされたエンターテインメント感満載のライブに拍手喝采だ。
そして、今回のツアーにスペシャル・ゲストとして参加しているのは、1993年のデビュー以来精力的な活動を続け、2013年にデビュー20周年を迎えるDEEN。「DEENの今の活動の基礎になっている作品たち、1990年代の作品たちを、皆さんもぜひ1990年代の思い出とともに楽しんで下さい」(池森秀一)。その言葉どおり、この日の彼らのステージは、DEENの現在に至るまでの歴史を思い出のアルバムをめくるようにたどっていく一幕となった。
ライブの幕開けを飾ったのは、記念すべきデビュー曲でもある名バラード「このまま君だけを奪い去りたい」。かと思えば、「瞳そらさないで」はアップテンポに一転して開放的な雰囲気を演出し、「翼を広げて」では雄大なメロディが会場いっぱいに広がっていく。そんな様々な曲調でファンを楽しませた彼らの基礎は、聴き手の胸を打つ美しいアンサンブルだ。その真骨頂とも言っていい、自身39作目のシングルとなったこの日のエンディングナンバー「心から君が好き~マリアージュ~」では、メンバー3人のプレイのみで奏でた美しいアンサンブルに万雷の拍手が巻き起こった。
「もう一回この4人でステージに立てるなんて本当に夢のようです、今日は本当にどうもありがとう。最後に、よかったらみんなで歌いましょう」(森友嵐士)。
復活を祝う温かな、そして盛大な拍手に包まれて、会場全体に響き渡った歌声はT-BOLANの「Heart of Gold」。夢と勇気があればそれでいい、諦めはしない。苦難を背負いながらも歌うことを諦めなかった森友とT-BOLANの心情を、まさに生き写しにしたような歌詞をファンが大合唱する。そして、その声を受けて、メンバー4人の演奏は力強さをさらに増す。そんな感動的なシーンを始め、13年ぶりのオリジナルメンバーによる復活が実現したT-BOLANのライブは“劇的”と言う表現がまさにふさわしい瞬間だった。「泥だらけのエピローグ」で幕を開け、「じれったい愛」、「Bye For Now」、「離したくはない」を始めとする名曲の数々を、ダイナミックなサウンドで響き渡らせる楽器陣。そして森友は、力感こもったその音色を自身のエネルギーに変えたのかと思わせるほどの迫力で歌声を響き渡らせる。
最初から最後まで大いなる熱気に包まれたそのステージへ、ファンからは「お帰り!」の声が飛ぶ。「また逢おうぜ!」。森友は高らかな叫びでそれに応える。そして、エンディングはメンバー4人が笑顔で並び立つ。そんなドラマチックなシーンに誰もが胸を熱くしたに違いない、<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>初日の舞台。心に涼風を吹かせるかのごとく、爽やかな音色を響かせたFIELD OF VIEW。その場にいる誰もが笑顔になる、満天の明るさと楽しさを届けたB.B.クィーンズ。甘く、切なく、聴き手の心の琴線に触れるDEENのハーモニー。そして、音楽への情熱を諦めなかった不屈の意志を、エネルギッシュなサウンドに熱く込めたT-BOLAN。この日の出演アーティストは4者4様の異なるスタイルの持ち主だが、冒頭でも書かせてもらったように、スタイルは異なろうとも聴き手の心に深く刻まれる確かな“歌”の力を誰もが持っていた。言い換えれば、“歌”に込める思いの強さのようなものが、彼らのアクトからは伝わってきた。
1990年代に日本の音楽シーンへ登場し、時代を経ても歌い継がれるべき魅力を持った音楽を、この<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>は堪能することができる場だ。多くの人の心を打つにふさわしい普遍的なメロディを、あなたもぜひ会場に足を運んで口ずさんで欲しい。そして、音楽の様々な楽しさや感動を、生のステージで臨場感たっぷりに体験してもらいたい。
取材・文●道明利友
◆<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>画像
▲FIELD OF VIEW |
▲B.B.クィーンズ |
▲DEEN |
▲T-BOLAN |
まずは、記念すべき初日のトップバッターを飾ったFIELD OF VIEW。今回のツアーのためにオリジナルメンバーの浅岡雄也(Vo)と安部潤(Key)が再び集い、1990年代の音楽シーンを彩ったあの透き通った音色を奏でる。<突然の風に吹かれて 夢中で何かを探したね>。オープニングナンバーの「突然」は、当時CMソングとして使われていたポカリスエットのTVコマーシャルの映像が懐かしく甦ってくる。さらに続いた「ドキッ」、「FIELD OF VIEWのシングル曲をメドレーにしてきたので、ぜひ心の中で大合唱して下さい」と浅岡が曲紹介した、「Dreams」「青い傘で」「この街で君を暮らしたい」「Beautiful Day」「Last Good-bye」と続いた5曲のスペシャル・メドレー。そして、エンディングを飾ったデビューシングル「君がいたから」と、この日の彼らが奏でた音色はどれも、前述のポカリスエットのCM映像でも印象的だった晴れ渡る青空のような清涼感を放つ。今日は皆さんと伝説の目撃者になって、新しい伝説を作っていきたいと思います。浅岡のMC通り、新たな“LEGEND”の幕開けを飾るにふさわしい盛り上がりで<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>はスタートした。
ウィー・アー・B.B.クィーンズ! キラッキラに輝くどハデな衣装に身を包み、パワフルなシャウトとともに幕を開けたのはB.B.クィーンズのステージだ。近年は、神聖かまってちゃんとのコラボレーション・ユニットB.B.かまってちゃんの活動で若いファンからの注目も浴びる彼らは、この日はMi-Keとしてはもちろん、自身も1990年代に大ヒット曲を連発した宇徳敬子がコーラスに加わって華やかなムードで会場を染め上げた。アニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディング曲のカバー「ゆめいっぱい」はレゲエチックな心地よいリズムで、人気TV番組『はじめてのおつかい』のテーマソングとしても記憶に新しい「ドレミファだいじょーぶ」はリズミカルに、さらに最新曲「一番先に、君が好き」も披露、etc…。一聴で心がウキウキしてしまうポップナンバーを連発した一大ショウの締めくくりは、「じゃあ、最後はこれだよね!」(坪倉唯子)と、メンバーもファンも誰もが認めるB.B.クィーンズならではの楽しさが凝縮した「おどるポンポコリン」。子供から大人まで、老若男女が歌い手拍子を打ち鳴らす、明るくハッピーな雰囲気で満たされたエンターテインメント感満載のライブに拍手喝采だ。
そして、今回のツアーにスペシャル・ゲストとして参加しているのは、1993年のデビュー以来精力的な活動を続け、2013年にデビュー20周年を迎えるDEEN。「DEENの今の活動の基礎になっている作品たち、1990年代の作品たちを、皆さんもぜひ1990年代の思い出とともに楽しんで下さい」(池森秀一)。その言葉どおり、この日の彼らのステージは、DEENの現在に至るまでの歴史を思い出のアルバムをめくるようにたどっていく一幕となった。
ライブの幕開けを飾ったのは、記念すべきデビュー曲でもある名バラード「このまま君だけを奪い去りたい」。かと思えば、「瞳そらさないで」はアップテンポに一転して開放的な雰囲気を演出し、「翼を広げて」では雄大なメロディが会場いっぱいに広がっていく。そんな様々な曲調でファンを楽しませた彼らの基礎は、聴き手の胸を打つ美しいアンサンブルだ。その真骨頂とも言っていい、自身39作目のシングルとなったこの日のエンディングナンバー「心から君が好き~マリアージュ~」では、メンバー3人のプレイのみで奏でた美しいアンサンブルに万雷の拍手が巻き起こった。
「もう一回この4人でステージに立てるなんて本当に夢のようです、今日は本当にどうもありがとう。最後に、よかったらみんなで歌いましょう」(森友嵐士)。
復活を祝う温かな、そして盛大な拍手に包まれて、会場全体に響き渡った歌声はT-BOLANの「Heart of Gold」。夢と勇気があればそれでいい、諦めはしない。苦難を背負いながらも歌うことを諦めなかった森友とT-BOLANの心情を、まさに生き写しにしたような歌詞をファンが大合唱する。そして、その声を受けて、メンバー4人の演奏は力強さをさらに増す。そんな感動的なシーンを始め、13年ぶりのオリジナルメンバーによる復活が実現したT-BOLANのライブは“劇的”と言う表現がまさにふさわしい瞬間だった。「泥だらけのエピローグ」で幕を開け、「じれったい愛」、「Bye For Now」、「離したくはない」を始めとする名曲の数々を、ダイナミックなサウンドで響き渡らせる楽器陣。そして森友は、力感こもったその音色を自身のエネルギーに変えたのかと思わせるほどの迫力で歌声を響き渡らせる。
最初から最後まで大いなる熱気に包まれたそのステージへ、ファンからは「お帰り!」の声が飛ぶ。「また逢おうぜ!」。森友は高らかな叫びでそれに応える。そして、エンディングはメンバー4人が笑顔で並び立つ。そんなドラマチックなシーンに誰もが胸を熱くしたに違いない、<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>初日の舞台。心に涼風を吹かせるかのごとく、爽やかな音色を響かせたFIELD OF VIEW。その場にいる誰もが笑顔になる、満天の明るさと楽しさを届けたB.B.クィーンズ。甘く、切なく、聴き手の心の琴線に触れるDEENのハーモニー。そして、音楽への情熱を諦めなかった不屈の意志を、エネルギッシュなサウンドに熱く込めたT-BOLAN。この日の出演アーティストは4者4様の異なるスタイルの持ち主だが、冒頭でも書かせてもらったように、スタイルは異なろうとも聴き手の心に深く刻まれる確かな“歌”の力を誰もが持っていた。言い換えれば、“歌”に込める思いの強さのようなものが、彼らのアクトからは伝わってきた。
1990年代に日本の音楽シーンへ登場し、時代を経ても歌い継がれるべき魅力を持った音楽を、この<BEING LEGEND LIVE TOUR 2012>は堪能することができる場だ。多くの人の心を打つにふさわしい普遍的なメロディを、あなたもぜひ会場に足を運んで口ずさんで欲しい。そして、音楽の様々な楽しさや感動を、生のステージで臨場感たっぷりに体験してもらいたい。
取材・文●道明利友
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