crack6千聖、「信じるより疑うより、感じて欲しい」

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2012年2月に結成20年目を迎えたPENICILLINのギタリスト・千聖が、ソロプロジェクトCrack6としてミニアルバム『Trickster』を6月20日に発売した。正義と悪、現実と非現実、ウソと真実…など、世の中にあふれる表裏一体の世界を鋭く描いた最新作と今後について聞く。

◆Crack6「Trickster」SPOT映像

“周囲を引っかき回すいたずら者”の意味もある『Trickster』と名付けられた今作は、早朝に制作された「色即是空」で幕を開ける。曲はアコースティックギターと千聖の柔らかな声が心地良く、目を閉じると、朝焼けのような薄水色の空がまぶたに浮かび、時間をも閉じ込めたような不思議な感覚にとらわれる。

となりでささやかれているような温もりから一転。挑戦的なタイトルが付けられた今作の表題曲「Trickster」では、自らが生んだ甘美な時をつんざくようなギターで切り裂き、<♪世界中の嘘を暴け 闇を撃ち抜け>とやんちゃな顔をのぞかせていく。

千聖は「角度を変えればヒーローも悪人。逆に悪人だって英雄になる。切り離すことができない表と裏を、裏と見るか、表とするか決断するのは自分。矛盾も悪も正義も交差して、繰り返していくのが人間だから」と話す。<♪信じるより疑うより 感じて欲しい>という歌詞そのまま、「口でうまいことを言っていても、話している中で『ん?』とひっかかったりすることあるでしょう。本質は何か肌で感じることが大切。<嘘を暴け>って歌ってるけど、オレはジャーナリストじゃないからさ、大きな嘘は暴くことはできないかもしれないけど、自分の周りにある真実を見つけることはできる」と思いを語る。

<♪One Shot One Kill Crack6(一撃必殺!!!!!!)>と、激しいシャウトから始まる「一撃必殺!!!!!!」は、日々がうまくいかないと嘆く主人公を、ステージに立つ自身らが<♪忘れさせてあげるよ>と鼓舞していく。続く「未来パラドックス」では恋愛に悩む男女が、解けないパズルの中でもがく姿を描いた。どちらも違う目線を持つ人物が歌詞に登場し、交差していく様がおもしろい。

ラテンのような「スパイダ」では、怪しげな曲にのせ、女スパイに翻弄される男の姿を描いた。千聖は「聴いている中で、あ、この歌詞はこういう意味だったのか…とか、新しい発見があるはず。表面だけでは分からない言葉遊びの部分を感じて欲しい」とにやり。「クラシック・メタルのような曲」と話す「狂想曲-第666章-」は、竜巻のような激しい曲に乗せ<♪どこまでも壊して>と“狂った恋愛”を歌った。千聖は「歌詞のように心が奪われて、平常心ではいられないような恋愛をしてみたいね」と話していた。

7曲入りのミニアルバムの最後を飾るのは「faraway」。以前から温めていた同曲は、昨春の東日本大震災をきっかけに大きく羽ばたいた。「震災を経験して、音楽は無力なのではないかと悩んだんです。節電も叫ばれていましたし、音楽を続けられるのかって…。この曲はカーテンコールをイメージしていて、いま伝えたいと思うことを込めました。オレ自身、強くはない、でも自分が望めば遠くに行くことができるって。震災のような有事があっても、自分で何かを諦めてしまうことはないって思っています」。

『Trickster』には、肩ひじを張らず自由に音楽を楽しんでいる千聖の姿がそのまま収められている。PENICILLINを結成して20年。長く音楽を続けてきたからこそ持つ余裕や技術、そして常に挑戦をし続ける精神を有するからこその姿だ。

「結成20年。…正直、びっくりしています。こんなふざけた40代を迎えるなんて思っていなかったから。ずっと思っているのは、『自分を裏切りたい』ということ。新しいことはどんどん試してみたい。20代のときは必死過ぎてよく分からなかったこともあるけど、30代で模索して、40代はこうしたらいいともう少し広義に見られるようになった」と充実した表情を見せる。

挫折の連続だったという20年間。「落ち込んでいる余裕もないくらい必死だった。自分はダメだって思うことが挫折としたら、壁にぶつかってもAがダメならBと、くじけても出来る方法を考えてきたから続けているのかもね。刺激が多くて面白い20年だった。角度を変えたら最悪!って思うこともあるかもしれないけどさ。最高じゃないけど充実しているって思っている。あー、でも、じいさんになったとき、ミュージシャンなんて辞めておけばよかったって思っていたりして(笑)」。

ミニアルバム発売後6月30日からはTricksterを引っ提げたツアーも始まる。「面白いと思うことをやります。人も自分も裏切るような。もっともっと、そういう自分になりたい」。“トリックスター”の今後に期待したい。


取材・文:西村綾乃

Crack6<TOUR 2012“Crazy69”>
2012年6月30日(土)横浜 BAYSIS
2012年7月1日(日)西川口 LIVE HOUSE Hearts
2012年7月7日(土)OSAKA RUIDO
2012年7月8日(日)名古屋 ell.FITS ALL
2012年7月16日(月・祝)渋谷 O-WEST
各会場 OPEN 17:30 / START 18:00
All Standing \4,800(税込)
[問]サイレン・エンタープライズ TEL.03-3447-8822

PENICILLIN<20th ANNIVERSARY TOUR 2012>
2012年8月18日 SUNPHONIX HALL in Yokohama Arena
2012年8月19日 HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1
2012年8月25日 広島ナミキジャンクション
2012年8月26日 熊本Drum Be-9 V2
2012年8月28日 神戸WYNTERLAND
2012年9月1日 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2012年9月2日 仙台MACANA
2012年9月15日 東京キネマ倶楽部
2012年9月22日 京都MUSE
2012年9月23日 浜松窓枠
2012年9月29日 札幌KRAPS HALL
2012年9月30日 札幌KRAPS HALL
[問]サイレン・エンタープライズ TEL.03-3447-8822

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◆オフィシャルブログ「Crack6 Diary」
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