アース・ウインド&ファイアー、「日本のファンは最高だ!」
5月17日(木)の東京国際フォーラム・ホールAは、一夜限りのアース・ウインド&ファイアーのデビュー40周年コンサートが開催され、立錐の余地もないオーディエンスで埋めつくされた。40周年を祝うべく、ファンからはお祭りのような興奮と熱気が開演前から伝わってくる。
◆アース・ウインド&ファイアー画像
定刻を過ぎた19:15。会場が暗転して、コーラス/パーカッションの若手2人が飛び出してきてオーディエンスを煽る中、フィリップ・ベイリー(ボーカル/パーカッション)、ヴァーディン・ホワイト(ベース)、ラルフ・ジョンソン(ボーカル/パーカッション)が登場すると観客は一気に総立ち。そのまま「ブギー・ワンダーランド」のイントロが流れると、オーディエンスのテンションはいきなりマックス。3人とも1951年生まれ(フィリップが61歳、他の2人は60歳)とはとても思えない軽やかなステップを踏む。
続く「シング・ア・ソング」では、メンバーが輪になってとび跳ねながら踊る。まばゆい白い衣装に、白いベース・ギターのヴァーディンは、「太陽の戦士」で激しいベース・ソロを披露。1975年の名作ライヴ『灼熱の狂宴』にも収録されたラムゼイ・ルイスとの共演曲「太陽の女神」では、それまでの70年代ディスコのダンスフロアのような喧騒から、大人っぽいジャジーでメロウな空気に変わり始める。続く「カリンバの歓喜誘惑」のイントロでは、フィリップがモーリス・ホワイトに代わって「カリンバ(親指ピアノ)」をプレイ。アース・ウインド&ファイアーの総帥であるモーリス・ホワイトは闘病生活のため第一線から退いているが、そんなことを感じさせないバンドのタイトな演奏は、やはりアース・ウインド&ファイアーEW&Fならでは。フィリップ・ベイリーの息子のフィリップ・ベイリーJr.ら若手2人がツアーに参加し始めたことが、メンバーたちに刺激を与え、バンドを若返らせているのだろう。
アース・ウインド&ファイアーのアンセムともいえる「暗黒への挑戦」から、「今日ここに来ている恋人たちの為」にと前置きした至極のバラード「ラヴズ・ホリデイ」、デヴィッド・フォスター作で全米2位「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」では椅子に座りながら歌うなど、中盤はしっとりとしたスロー~ミッド・テンポのナンバーが並ぶ。フィリップが今日一番のハイトーンを聞かせてくれた「リーズンズ」も、この日のハイライトといえるだろう。天にも昇るような美しいファルセットは、とても61歳の声量とは思えないものだ。
しかし、本当のピークはここから。クラシカルなキーボードのインプロビゼーションに導かれるように「宇宙のファンタジー」のイントロが始まると、広い東京国際フォーラムの最上階の一番奥まで全員が立ち上がり、歓喜の時を迎えた。70年代からのベテランのファンも、20代・30代の若いファンも全員が揺れるように踊り、それに呼応するようにフィリップのハイトーンがますます響きわたる。この曲に対する熱狂的な反応は、日本独特のものだろう。
さらにファンが最も好きな曲を決める企画「WE ❤ EW&F」第1位にも選ばれた「セプテンバー」のギターのイントロが始まると、ステージ上のヴァーディンが観客を前に来いと煽る。ステージ前は詰め寄ったオーディエンスで埋め尽くされ、さながらディスコのような状態に。腕を振りながら踊り狂う姿は、今が70年代かのような錯覚を起こすほど。間髪を空けず80年代を代表するダンス・クラシック「レッツ・グルーヴ」を繰り出し、「推し曲」TOP3を連投! そのままメドレーで1974年の「宇宙よりの使者」になだれ込み、観客とのコール&レスポンス、メンバー3人がファンに挨拶をしながらステージから去ってコンサートは幕を下ろしたかに見えたが、間をおかず3人が再登場。1979年の名作『黙示録』のオープニング曲で、ホーンが炸裂する「石の刻印」を演奏。会場が一体となった心地よい雰囲気の中でデビュー40周年コンサートはフィナーレを迎えた。ちなみにフィナーレで、フィリップが抱きかかえていた2人の女の子は、親戚の娘だとか。
演奏がほとんど止まることなかった、1時間45分。まさにアース・ウインド&ファイアー40年の歴史を凝縮したヒット曲だらけのコンサートは、良質のエンターテインメントそのものだった。オーディエンスに対し「41年もの間、僕らをサポートしてくれてありがとう」とフィリップが挨拶したが、彼らは50周年に向けてすでに動き出している。40年もバンドを続ける秘訣をインタビューで聞かれ、「ミュージシャンシップ」「素晴らしい楽曲」、そして「何よりもアース・ウインド&ファイアー・スピリット」と答えている。
秋には7年ぶりの新作がリリースされる予定となっている。大いに期待できそうだ。
Photo by Yuki Kuroyanagi
<アース・ウインド&ファイアー・デビュー40周年コンサート>
2012年05月17日(木)
@東京国際フォーラム・ホールA
1.Intro / Boogie Wonderland(1979)
2.Sing a Song(1975)
3.Shining Star(1975)
4.Serpentine Fire(1977)
5.Sun Goddess(1975)
6.Kalimba Story(1974)
7.Evil(1973)
8.Devotion(1974)
9.That's the Way of the World(1975)
10.Love's Holiday(1977) / Can't Hide Love(1975)
11.After the Love Has Gone(1979)
12.Reasons(1975)
13.Got To Get You Into My Life(1978)
14.Fantasy(1977)
15.September(1978)
16.Let's Groove(1981)
17.Mighty, Mighty(1974)
18.In the Stone(1979)
◆EW&Fデビュー40周年特設サイト
◆アース・ウインド&ファイアー画像
定刻を過ぎた19:15。会場が暗転して、コーラス/パーカッションの若手2人が飛び出してきてオーディエンスを煽る中、フィリップ・ベイリー(ボーカル/パーカッション)、ヴァーディン・ホワイト(ベース)、ラルフ・ジョンソン(ボーカル/パーカッション)が登場すると観客は一気に総立ち。そのまま「ブギー・ワンダーランド」のイントロが流れると、オーディエンスのテンションはいきなりマックス。3人とも1951年生まれ(フィリップが61歳、他の2人は60歳)とはとても思えない軽やかなステップを踏む。
続く「シング・ア・ソング」では、メンバーが輪になってとび跳ねながら踊る。まばゆい白い衣装に、白いベース・ギターのヴァーディンは、「太陽の戦士」で激しいベース・ソロを披露。1975年の名作ライヴ『灼熱の狂宴』にも収録されたラムゼイ・ルイスとの共演曲「太陽の女神」では、それまでの70年代ディスコのダンスフロアのような喧騒から、大人っぽいジャジーでメロウな空気に変わり始める。続く「カリンバの歓喜誘惑」のイントロでは、フィリップがモーリス・ホワイトに代わって「カリンバ(親指ピアノ)」をプレイ。アース・ウインド&ファイアーの総帥であるモーリス・ホワイトは闘病生活のため第一線から退いているが、そんなことを感じさせないバンドのタイトな演奏は、やはりアース・ウインド&ファイアーEW&Fならでは。フィリップ・ベイリーの息子のフィリップ・ベイリーJr.ら若手2人がツアーに参加し始めたことが、メンバーたちに刺激を与え、バンドを若返らせているのだろう。
アース・ウインド&ファイアーのアンセムともいえる「暗黒への挑戦」から、「今日ここに来ている恋人たちの為」にと前置きした至極のバラード「ラヴズ・ホリデイ」、デヴィッド・フォスター作で全米2位「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」では椅子に座りながら歌うなど、中盤はしっとりとしたスロー~ミッド・テンポのナンバーが並ぶ。フィリップが今日一番のハイトーンを聞かせてくれた「リーズンズ」も、この日のハイライトといえるだろう。天にも昇るような美しいファルセットは、とても61歳の声量とは思えないものだ。
しかし、本当のピークはここから。クラシカルなキーボードのインプロビゼーションに導かれるように「宇宙のファンタジー」のイントロが始まると、広い東京国際フォーラムの最上階の一番奥まで全員が立ち上がり、歓喜の時を迎えた。70年代からのベテランのファンも、20代・30代の若いファンも全員が揺れるように踊り、それに呼応するようにフィリップのハイトーンがますます響きわたる。この曲に対する熱狂的な反応は、日本独特のものだろう。
さらにファンが最も好きな曲を決める企画「WE ❤ EW&F」第1位にも選ばれた「セプテンバー」のギターのイントロが始まると、ステージ上のヴァーディンが観客を前に来いと煽る。ステージ前は詰め寄ったオーディエンスで埋め尽くされ、さながらディスコのような状態に。腕を振りながら踊り狂う姿は、今が70年代かのような錯覚を起こすほど。間髪を空けず80年代を代表するダンス・クラシック「レッツ・グルーヴ」を繰り出し、「推し曲」TOP3を連投! そのままメドレーで1974年の「宇宙よりの使者」になだれ込み、観客とのコール&レスポンス、メンバー3人がファンに挨拶をしながらステージから去ってコンサートは幕を下ろしたかに見えたが、間をおかず3人が再登場。1979年の名作『黙示録』のオープニング曲で、ホーンが炸裂する「石の刻印」を演奏。会場が一体となった心地よい雰囲気の中でデビュー40周年コンサートはフィナーレを迎えた。ちなみにフィナーレで、フィリップが抱きかかえていた2人の女の子は、親戚の娘だとか。
演奏がほとんど止まることなかった、1時間45分。まさにアース・ウインド&ファイアー40年の歴史を凝縮したヒット曲だらけのコンサートは、良質のエンターテインメントそのものだった。オーディエンスに対し「41年もの間、僕らをサポートしてくれてありがとう」とフィリップが挨拶したが、彼らは50周年に向けてすでに動き出している。40年もバンドを続ける秘訣をインタビューで聞かれ、「ミュージシャンシップ」「素晴らしい楽曲」、そして「何よりもアース・ウインド&ファイアー・スピリット」と答えている。
秋には7年ぶりの新作がリリースされる予定となっている。大いに期待できそうだ。
Photo by Yuki Kuroyanagi
<アース・ウインド&ファイアー・デビュー40周年コンサート>
2012年05月17日(木)
@東京国際フォーラム・ホールA
1.Intro / Boogie Wonderland(1979)
2.Sing a Song(1975)
3.Shining Star(1975)
4.Serpentine Fire(1977)
5.Sun Goddess(1975)
6.Kalimba Story(1974)
7.Evil(1973)
8.Devotion(1974)
9.That's the Way of the World(1975)
10.Love's Holiday(1977) / Can't Hide Love(1975)
11.After the Love Has Gone(1979)
12.Reasons(1975)
13.Got To Get You Into My Life(1978)
14.Fantasy(1977)
15.September(1978)
16.Let's Groove(1981)
17.Mighty, Mighty(1974)
18.In the Stone(1979)
◆EW&Fデビュー40周年特設サイト
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