LUNA SEA話題の新曲、その全貌がついに!~2012.03.08特別試聴会を終えて~
五つの魂が放つ12年ぶりの旋律は、1曲22分を超える壮大な交響詩――。そんな謳い文句とともにLUNA SEAのニュー・シングル発売告知が朝刊の誌面を賑わせたのは去る2月21日のこと。「THE ONE -crash to create-」と題されたその楽曲の素性はこれまでまったく明かされずにきたが、3月8日の夜、ついにその全貌が明らかになった。
空の機嫌が良好な地域では満月が浮かんでいたはずのこの夜、東京は豊洲のユナイテッドシネマにて、この楽曲の特別試聴会が開催された。映画館が会場に選ばれたのは、5.1chサラウンド方式による音源の特性を有効に伝えるために他ならない。そこに詰めかけていたのは、抽選を勝ち抜いた幸運なファンと関係者たち。しかもその模様は、ニコニコ生放送とユーストリームを通じてリアルタイムで全世界に向けて発信されていた。すでに現地に居合わせた人たちやインターネット上で試聴した人たちによって、この楽曲についての印象などがあちこちで語られ始めていることだろう。同時に、多くのファンは一刻も早くこの曲に触れたいと感じているはずだが、実際にCDを手にするまで余分な先入観を抱きたくないという人たちも少なからずいるに違いない。ここでは筆者の主観による楽曲分析などではなく、あくまでこの作品の“意義”といったものについて考えてみたいと思う。
まず事実関係を整理しておくと、この作品はLUNA SEAのシングルとしては2000年11月8日にリリースされた「LOVE SONG」以来となるもの。2011年4月には東日本大震災復興支援を目的としながら「PROMISE」と題された未発表曲が配信リリースされているが、それを除けば約11年5ヵ月ぶりの新曲登場ということになる。この楽曲は、冒頭に引用した広告のキャッチコピーにもあるように、実に22分を超えるもので、複数のメンバーたちが持ち寄ったアイデアを合体させながら構築されたものだという。言葉を換えれば“創造のために各々の意思をぶつけあうこと”を厭わなかったということだろう。現状においてメンバーたちが具体的に明言しているわけではないが、“crash to create”という言葉にはそうした意味合いも含まれているものと察することができる。
では、どうして彼らはそこまでして創造することを望んだのか? たとえばそれはLUNA SEAという“個”の特異さや、この場でのみ起こり得る化学反応の大きさといったものを証明するためでもあるはずだが、さらに言うなら“音楽のため”でもあるのではないかと僕は考えている。22分超という、いかなるメディアにとっても都合の良くないサイズを伴ったこの楽曲は、基本的には発売前に大量オンエアされることもないし、短く編集された状態で各方面にばらまかれることもない。そのうえビデオ・クリップも存在しないし、今回のリリースに際しての新しいアーティスト写真すら撮影されていない。CD自体についても、複数のフォーマットでリリースされることになってはいるが、それらを差別化しているのは音質だけであり、いわゆる特典的なもので受け手の購買意欲を刺激しようとする“商品”とは明らかに一線を画している。
AEROSMITHのジョー・ペリーが書いた楽曲に「Let The Music Do The Talking」というのがあるが、まさにその言葉のごとく、LUNA SEAは“音楽そのものに何かを語らせようと”しているのだ。これまた彼ら自身が語っていることではないが、そうだとしか僕には考えられない。それほどに自信と確信に満ちた楽曲だということでもあるだろう。加えて、僕には、彼らがCD1枚の価値というものを改めて世に問いただそうとしているかのような気がしてならない。圧縮された音楽をデータとしてやり取りすることが日常的になっている現在、もちろん僕自身もそうした風潮を全面否定するつもりはないし、その便利さの恩恵にあずかっている部分も少なからずある。しかしそれが“常識”であって良いのだろうか? この、まるで時代を逆行するかのようなLUNA SEAの行為には、そうした無言の問いかけが込められているように僕は思う。
実際のところ、僕自身はこの試聴会以前から音源を試聴させていただき、3月10日発売の『MASSIVE vol.5』のなかでも自分なりの印象をもとにこの楽曲について書かせていただいている。より具体的な楽曲像にまつわる話などに関しては、そちらをお読みいただければ幸いだ。
そして昨夜の特別試聴会の最後に流されたバンドからのメッセ―ジには、まったく具体的ではないながらも、ステージ上の彼らとふたたび遭遇できる機会が、そんなにも遠くない未来に訪れる可能性があることを示唆する含みがあった。正直なところ、いつ、何が、どんな形で起こるのかはわからない。しかしとにかく、今後のLUNA SEAの動向からは目を離さずにおくべきだろう。そして何よりもまずは3月21日に発売を迎えるこのシングルと、まっすぐに向き合ってみて欲しい。そのときにきっと“次”の“光”が見えてくるはずだから。
増田勇一
空の機嫌が良好な地域では満月が浮かんでいたはずのこの夜、東京は豊洲のユナイテッドシネマにて、この楽曲の特別試聴会が開催された。映画館が会場に選ばれたのは、5.1chサラウンド方式による音源の特性を有効に伝えるために他ならない。そこに詰めかけていたのは、抽選を勝ち抜いた幸運なファンと関係者たち。しかもその模様は、ニコニコ生放送とユーストリームを通じてリアルタイムで全世界に向けて発信されていた。すでに現地に居合わせた人たちやインターネット上で試聴した人たちによって、この楽曲についての印象などがあちこちで語られ始めていることだろう。同時に、多くのファンは一刻も早くこの曲に触れたいと感じているはずだが、実際にCDを手にするまで余分な先入観を抱きたくないという人たちも少なからずいるに違いない。ここでは筆者の主観による楽曲分析などではなく、あくまでこの作品の“意義”といったものについて考えてみたいと思う。
まず事実関係を整理しておくと、この作品はLUNA SEAのシングルとしては2000年11月8日にリリースされた「LOVE SONG」以来となるもの。2011年4月には東日本大震災復興支援を目的としながら「PROMISE」と題された未発表曲が配信リリースされているが、それを除けば約11年5ヵ月ぶりの新曲登場ということになる。この楽曲は、冒頭に引用した広告のキャッチコピーにもあるように、実に22分を超えるもので、複数のメンバーたちが持ち寄ったアイデアを合体させながら構築されたものだという。言葉を換えれば“創造のために各々の意思をぶつけあうこと”を厭わなかったということだろう。現状においてメンバーたちが具体的に明言しているわけではないが、“crash to create”という言葉にはそうした意味合いも含まれているものと察することができる。
では、どうして彼らはそこまでして創造することを望んだのか? たとえばそれはLUNA SEAという“個”の特異さや、この場でのみ起こり得る化学反応の大きさといったものを証明するためでもあるはずだが、さらに言うなら“音楽のため”でもあるのではないかと僕は考えている。22分超という、いかなるメディアにとっても都合の良くないサイズを伴ったこの楽曲は、基本的には発売前に大量オンエアされることもないし、短く編集された状態で各方面にばらまかれることもない。そのうえビデオ・クリップも存在しないし、今回のリリースに際しての新しいアーティスト写真すら撮影されていない。CD自体についても、複数のフォーマットでリリースされることになってはいるが、それらを差別化しているのは音質だけであり、いわゆる特典的なもので受け手の購買意欲を刺激しようとする“商品”とは明らかに一線を画している。
AEROSMITHのジョー・ペリーが書いた楽曲に「Let The Music Do The Talking」というのがあるが、まさにその言葉のごとく、LUNA SEAは“音楽そのものに何かを語らせようと”しているのだ。これまた彼ら自身が語っていることではないが、そうだとしか僕には考えられない。それほどに自信と確信に満ちた楽曲だということでもあるだろう。加えて、僕には、彼らがCD1枚の価値というものを改めて世に問いただそうとしているかのような気がしてならない。圧縮された音楽をデータとしてやり取りすることが日常的になっている現在、もちろん僕自身もそうした風潮を全面否定するつもりはないし、その便利さの恩恵にあずかっている部分も少なからずある。しかしそれが“常識”であって良いのだろうか? この、まるで時代を逆行するかのようなLUNA SEAの行為には、そうした無言の問いかけが込められているように僕は思う。
実際のところ、僕自身はこの試聴会以前から音源を試聴させていただき、3月10日発売の『MASSIVE vol.5』のなかでも自分なりの印象をもとにこの楽曲について書かせていただいている。より具体的な楽曲像にまつわる話などに関しては、そちらをお読みいただければ幸いだ。
そして昨夜の特別試聴会の最後に流されたバンドからのメッセ―ジには、まったく具体的ではないながらも、ステージ上の彼らとふたたび遭遇できる機会が、そんなにも遠くない未来に訪れる可能性があることを示唆する含みがあった。正直なところ、いつ、何が、どんな形で起こるのかはわからない。しかしとにかく、今後のLUNA SEAの動向からは目を離さずにおくべきだろう。そして何よりもまずは3月21日に発売を迎えるこのシングルと、まっすぐに向き合ってみて欲しい。そのときにきっと“次”の“光”が見えてくるはずだから。
増田勇一
この記事の関連情報
【ライヴレポート】LUNA SEA、<EPISODE3 -FINAL- 黒服限定GIG DAY2>で「東京ドームまでこのまま行こうぜ!」
J、最新作『BLAZING NOTES』のジャケット写真を公開。年末イベント追加ゲスト発表も
THE LAST ROCKSTARS、新曲「MASTERY」と格闘ゲーム『鉄拳8』とのコラボMVを公開
LUNA SEA、35周年記念ツアー映像作品リリース
J、約3年3カ月振りのニューアルバム『BLAZING NOTES』を2025年1月に発売決定。最新キービジュアルの公開も
INORAN、初のレシピブック発売
【ライヴレポート】HEATH (X JAPAN)を偲ぶ<everliving everloving>にPATAやSUGIZO、MORRIEなど13名が集結
LUNA SEA、『MOTHER』『STYLE』リバイバルツアー最終公演の映像作品2タイトル同時発売決定
【ライブレポート】INORAN、“爆幸”なバースデーライブのツアーが開幕