タワーレコード渋谷店で、ウォール・オブ・サウンド

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1月13日(木)タワーレコード渋谷店B1Fがウォール・オブ・サウンド(音の壁)で満たされた。

◆イベント画像

この日、センターに高級スピーカー1台だけが設置され、フィル・スペクターの最新CDボックスがモノラルで再生されるという、好きな人にはたまらない試聴会が行われたのだ。この試聴イベントは「フィル・スペクター・プレゼンツ~フィレス・アルバム・コレクション」発売&「Beat Soundフィル・スペクター特集号」発刊を記念して行われ、アナログレコードに造詣の深いオーディオビジュアル評論家であり音楽プロデューサーとしても活躍する和田博巳氏、自主レーベルFLY HIGH RECORDSを主宰し今回のフィル・スペクター関連のリイシューの監修を務めた土橋一夫氏、元L⇔Rで音楽プロデューサーとして活躍する黒沢秀樹氏の3名によるトークショーも行われた。会場には多くの洋楽ファン、オーディオファンが詰めかけ、立ち見も出るほどの盛況なイベントとなった。

『フィル・スペクター・プレゼンツ~フィレス・アルバム・コレクション』は、フィル・スペクターがフィレス・レコードの設立50周年を記念して2011年末にリリースされた7CD入り豪華ボックスセットだ。10,500円という高額商品だが、12/20付オリコン洋楽チャートでは5位にランクインする高評価を得ている作品で、オリジナルのマスター・テープを最新リマスタリングした高品質Blu-spec CDとしてリリースとなった。

今回はその音源を、下記のような総額700万円近くのハイエンドな環境で再生した。

パワードスピーカー:ムジーク・エレクトロニクス・ガイザインME800K(ペアではなく一台)
プリアンプ:アキュフェーズC-2820
CDプレーヤー:アキュフェーズDP-700

ムジーク・エレクトロニクス・ガイザイン(MEG)は、近年エンジニアの間で定評のあるドイツ製モニター・スピーカーで、坂本龍一、葉加瀬太郎、矢沢永吉といったアーティストの使用でも知られるもの。今回はこのパワードスピーカーがステージセンターに一台のみ配置され、モノラル環境での再生が行われた。座席も左右に広げずなるべくセンターに寄せ、後ろに並べていくこだわりのスタイルがとられており、通常の試聴会では考えられない奇妙な光景となった。

この日は、このリスニング環境において、今作の最新リマスター音源と、過去にリリースされたCD音源の聴き比べも行われた。最新のリマスター音源は音の解像度が大幅に上がり、周波数帯域のレンジも上下に広がりが感じられ、空間的な広がりや「ウォール・オブ・サウンド」ならではのパワーがより感じられるようになった。そこには大きな違いが確かに存在し、会場からは「過去のCDの音の方が好き」という意見も挙がったが、和田氏は「耳馴染みある音という意味で過去のCDの方が良いと感じる人も多くないはず。ですが、フィル・スペクター本人がスタジオの環境で聴いていたマスターの音により近いのは、最新のリマスターの方」と評価。他にも黒沢兄弟のプロジェクト“ハンキー・パンキー”によるフィル・スペクター風の「上を向いて歩こう」のカバー、Pizzicatto Fiveによる「ビー・マイ・ベイビー」のカバー、microstarによるフィル・スペクター風の「年下の男の子」のカバーなどレアなトラックも再生され、会場は大いに沸いた。

最後に黒沢氏は「こんなにマニアックなイベントに、これほどの人が集まるとは」と感想を漏らし、フィル・スペクターの強烈な個性がいかに人々を魅了してきたかを感じさせる一夜となった。

『フィル・スペクター・プレゼンツ~フィレス・アルバム・コレクション 』日本盤
¥10,500(税込)
7CD完全生産限定盤
※日本盤のみ高品質Blu-spec CD&独自特典多数
※アルバム6作品が世界初CD化+ボーナス・ディスク
DISC1『ザ・クリスタルズ・ツイスト・アップタウン・バイ・ザ・クリスタルズ』
DISC2『ヒーズ・ア・レベル・バイ・ザ・クリスタルズ』
DISC3『ジップ・ア・ディー・ドゥー・ダー・バイ・ボブ・B・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ』
DISC4『ザクリスタルズ・シング・ザ・グレイテスト・ヒッツ、ボリューム1・バイ・ザ・クリスタルズ』
DISC5『フィレス・レコードズ・プレゼンツ・トゥデイズ・ヒッツ・バイ・ヴァリアス・アーティスツ』
DISC6『プレゼンティング・ザ・ファビュラス・ロネッツ・フィーチャイング・ヴェロニカ・バイ・ザ・ロネッツ』
DISC7『<Bonus Disc> フィルズ・フリップサイズ・バイ・ザ・フィル・スペクター・ウォール・オブ・サウンド・オーケストラ』

◆フィル・スペクター特設ページ
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