久石譲、「坂の上の雲の音楽を作るにあたってイギリスに向いていた」

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NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』の第3部の放送に先駆け、12月3日大阪府東大阪市下小阪の司馬遼太郎記念館でドラマの音楽を担当した作曲家の久石譲が「坂の上の雲と音楽」というテーマの特別講演会を行い、3年という異例の長期に亘って取り組んだ作品『坂の上の雲』への想いを語った。

もともと原作を読んでいて大好きだったという久石譲は、映像化の話が来た際には「ぜひお引き受けしたい」と快諾したという。音楽を作るにあたっては「これだけスケール感あるドラマなら、音楽はシンプルにしたい。特にメインになる曲はどこまでシンプルにできるかにこだわった」と語る。誕生したメインテーマは「Stand Alone」だ。

「スコットランドやアイルランドの民謡が頭に浮かびました。素朴でどこか懐かしい。いつまでも心に残るような。そんなテーマ曲が書けないかと。」──久石譲

第1部のメインテーマではサラ・ブライトマンを起用しているが、ここにも久石譲ならではの揺るがぬ理由があったようだ。

「よく考えると小学校の教科書には「蛍の光」「ロンドン・デリーの歌」といったスコットランドやアイルランドの民謡が載っている。江戸から明治に時代が変わるとき、イギリス文化が取り入れられた。そして音楽教育のベースにもそういった音楽があったんです。小さい頃からそういった音楽で育っているんですね。意識していなかったのですが、スコットランド民謡のような曲を書こうと思ったこと、イギリス人歌手であるサラ・ブライトマンを起用しようと思ったこと、“坂の上の雲”の音楽を作るにあたってすべてが“イギリス”に向いていました。自分の中にある“イギリス”が“坂の上の雲”の音楽を作らせたとても大きな要因でした。」と、制作エピソードを明かしてくれた。

「“Stand Alone”とはひとりで立つということ。個人主義ではなく、自分は孤独で一人である、と認識すること。そういった想いを持つことにより、人と関わることも喜びに感じる。今こそ目指せ“Stand Alone”だと思っています。」──久石譲

スペシャルドラマ『坂の上の雲』ドラマ第3部はNHK総合テレビにて12月4日(日)より毎週日曜日全4回放送となる。

『NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』オリジナル・サウンドトラック 3』
2011年11月9日発売
TOCT-28020 2,800円(税込)
音楽:久石 譲
指揮:外山雄三/演奏:NHK交響楽団(11曲目:「日本海海戦」、13曲目:第3部メインテーマ「Stand Alone」久石 譲×麻衣、21曲目「Saka No Ue No Kumo」)
指揮:久石 譲/演奏:東京ニューシティ管弦楽団
久石 譲×麻衣による第3部メインテーマ「Stand Alone」を含む全21曲収録
ボーナストラックとして、サラ・ブライトマン×久石 譲「Stand Alone with Piano」、組曲「Saka No Ue No Kumo」特別収録

◆サウンドトラック・オフィシャルサイト
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