[クロスビート編集部員リレー・コラム] 中嶋編「デス・キャブ・フォー・キューティー」

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今年春に新作『コーズ・アンド・キーズ』を発表したデス・キャブ・フォー・キューティーだが、最新ライヴDVD「Live At The Mt. Baker Theatre」はそのひとつ前の『ナロー・ステアーズ』のツアーを収録したもの。2009年、地元であるワシントン州ベリンガムのシアターで2日間にわたって行なわれたショウから全17曲に、バンド初期を回顧したメンバーのインタビューを加えた内容だ。

クラシカルで豪華な内装の会場は座席がある作りで、ショウが始まると観客は全員立ちあがるのだが、客席大合唱が常である海外のライヴでは珍しいことに、曲の合間に歓声を上げる以外はじっと演奏に聴き入っているので、合唱に演奏が負けることはない。加えて、サウンドのミックス(5.1chサラウンド)も素晴らしい。4人それぞれのパートが的確に分離され、誰がどんな音を鳴らしているのかを明瞭に聴き取ることができるのだ。

セット・リストは『Transatranticism』~『ナロー・ステアーズ』までを含めたベスト・ヒット的なものだが、1st『Something About Airplane』から唯一披露された「President Of What?」は、ホームタウン・ライヴでは殊更特別に響く。ひとつのベース・フレーズが延々とループし、バンドの骨太なグルーヴ感がぐいぐいと迫ってくる『ナロー・ステアーズ』からの「アイ・ウィル・ポゼス・ユア・ハート」と聴き比べると、彼らがライヴ・バンドとしてよりオープンな姿勢を持つ現在と過去の対比が浮き彫りになって興味深い。

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