Be.、夏の思い出を引き出してくれる優しい時間
青山「月見ル君想フ」で行われたインスト・ギター・デュオBe.のライブ。ライブから日にちが経ってしまったけれど、十五夜の夜にライブを思い出しつつ、彼らの音を聴いている。20代の頃には、分からなかったインストの良さ。そのひとつに、言葉がないことで自ら想像し、自由に曲を楽しめるということがある。
◆Be.画像
2011年8月2日に行われたライブも、そんなひとときだった。「Starting Over」からのスタート。この曲を聴くと安心する。この場所に帰ってきたと思わせてくれるなぜか故郷のような曲。「近くて緊張する」というコメントと共に、「北の国から」のアドリブでMCを。
2曲目は、カバー曲「More Than Words」。3曲目「夕凪」を聴きながら、変わる何かと変わらない何か。でも、そこに存在するということだけは変わらない。その存在を徹底的に確かめたいような気持ちになる。また、音は空間を漂う粒子になって、耳に届く。その音を今、根こそぎキャッチしたい、そんな欲望に駆られた。こんな風に思わせてくれる、彼らの音に感謝。
いつしか、ステージ後ろの月は、満月になり、うさぎが現れる。今夜の月と同じ。「『mujun』」は、一音目から音が立っているような印象、「Breath」は、大サビにあたる部分が切なくて儚くて、曲全体のスパイスになっているよう。
ラストは「Life Time」。夏っぽい曲だけれど、灼熱の太陽ではなく、どこか温かい風景を思い出す優しい曲。幼い頃の夏の思い出は、いくつになっても消えない。それが、ときに辛くても、その日々そんな風に、今回もBe.の曲を聴きながら旅をした。そんなライブだった。
<Be.ライブ 8月2日>
1.Starting Over
2.More Than Words
3.夕凪
4.ペテン師の恋
5.『mujun』
6.Breath
7.Life Time
◆Be.オフィシャルサイト
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/