3.11に届けたかった歌とともに、クミコが被災地・宮城県石巻市のライヴイベントに参加
2010年末の『NHK 紅白歌合戦』に初出場し、“歌の表現者”としての存在感を見せた歌手・クミコが、6月11日に東日本大震災の被災地のひとつ、宮城県石巻市にて開催されるライヴイベントに出演することを発表した。彼女は3月11日、石巻市で被災。迫りくる津波から逃げながら、壊滅的な被害を受けた街の様子を自分の目と肌で体験していた。
◆クミコ 画像@トーク&コンサート<クミコ×大石静 with 残間里江子「生きること、愛すること、一歩踏み出すこと」>
大震災が発生した時、クミコは石巻で行なわれるコンサートを控え、会場だった石巻市民会館の楽屋にいた。地震発生後、石巻市には津波警報が発令され、クミコもスタッフに誘導されるがまま裏山の採石場へ避難。その後、すぐに津波が押し寄せて会館は水没した。2010年、ニューヨークで開催されたイベント<JAPAN DAY>に参加した際、ステージで着用した思い出の衣装などは現在も会館の地下に残されたままだという(その衣装は、原爆を落とした国で、被爆少女の歌「INORI~祈り~」を唄うという、歌手としての覚悟を決めてステージに立った時に着たドレスだ)。
長年連れ添った奥さんが目の前で津波に流されてしまったというおじいさんをはじめ、命からがら津波から逃げてきた地元の人たちと夜を明かし、そして、歌手でありながら結局ひとつも声を発しないまま、東京へ戻って来てしまったクミコ。そんな彼女のもとに、地元発信の被災地支援音楽イベントへの出演オファーが、主催である石巻赤十字病院の松本医師から届く。震災以降、様々な想いに悩み苦しんだクミコだったが、せっかく声をかけてもらった機会なので、3月11日に届けられなかった歌を届けにいくことを決意したという。
5月30日、サントリーホール ブルーローズで約400人のファンを集めて開催された、新曲「最後の恋」リリース記念 トーク&コンサート<クミコ×大石静 with 残間里江子「生きること、愛すること、一歩踏み出すこと」>。開演前、震災からイベント出演まで、クミコはその想いを語った。
◆ ◆ ◆
── 震災から約2ヶ月立ちましたが今の心境は?
クミコ:「2ヶ月間は自分が生きてるか死んでるか分かりませんでした。笑うことも忘れていました。そこからやっと自然に笑うことが出来てきました。それまでは一生懸命笑っている感じがしましたね。とてもそれが疲れていました。今は軽やかに笑えるようになっていて、気がついたら2ヶ月がたっていたというような感じですね。2ヶ月半立ちまして、コンサートでも元のジョークが言えるようになってきましたね。」
── 地震当日の様子は覚えてますか?
クミコ:「これからリハーサルで、地下の楽屋でした。築40年ほどの古い市民会館で、余計に怖かったですね。リハーサルが始まるときに、地下鉄が通ったような振動が急に来まして、みんな固まり、とにかくこの場が早く終わってほしいと祈るばかりでした。壁を見ては、壊れないか怯えたり、地下だったので外に出られなく不安になったり、光が消えないように祈ったりしていました。」
── 津波が来たときは?
クミコ:「表に出た時にはサイレン、アナウンスが鳴ってとてもビックリしました。皆さんが「高山に登って下さい!」と叫んでいて、とても半信半疑でした。しかし、「水が来た!」と誰かが叫び、後ろを振り返ったら車が変な動きをしていて…よく見たら車が浮かんでいたんです。」
── 今度、石巻市でコンサートを行なうと聞きましたが?
クミコ:「コンサートではなくイベントです。石巻市の赤十字病院の松本先生が全国に発信したいと企画をして下さいまして、私のコンサートを一緒に企画してくださった宮城生協の方々も協力してくださって、皆が集ってイベントをしようということになりました。」
── 6月11日はどんな思いを唄いたいですか?
クミコ:「私は歌というものは何もならないと思いました。私なんて価値がないと悩んでいました。でも地元の方からメールが届き、唄いにきてほしいとのことだったのです。唄うことができずに帰ってきたことが心残りだったので、石巻市で歌って喜んで頂かないと自分は再出発できないと思いました。」
◆ ◆ ◆
クミコは石巻で唄っておきたい曲があるという。それが、あの日予定されていたコンサートで、新曲として紹介したかった「最後の恋~哀しみのソレアード~」。震災をまたいで、何が恋だ、恋の歌なんか唄えない、そんな想いにずっと悩んだ歌。彼女は、今、この曲を唄うということについて、以下のように心境を告白している。
「震災を機に、本当に大切なもの、自分にとって大事なこととは何だろうかを、改めて考えるようになりました。そしてそんな中、新曲で“恋”をテーマにした歌の制作にかかっていましたが、こんな時期に恋だ愛だなんて歌っていいのだろうかと思い悩みました。しかし、恋や愛は人と人をつなげ、人を奮い立たせる最大のエネルギーであって、生きる力を与えてくれるもの。そう思うと、『最後の恋~哀しみのソレアード~』は単なる恋沙汰の歌ではなく、“命”の歌であると思え、自分が歌ってしかるべきだと思うようになりました。」
3月11日のステージで着るはずだった衣装と同じものを身につけて、6月11日、クミコは石巻市に唄を届ける。
【ライヴ情報】
東日本大震災 被災地支援音楽イベント「Songs from ISHINOMAKI vol.1(仮)」
日時:6月11日(土) 15:00開演
場所:みやぎ生協 蛇田店 店舗の一部を利用し200席を設け開催
住所:宮城県石巻市蛇田字新金沼430-1
◆クミコ オフィシャルサイト
◆東北地方太平洋沖地震にまつわる音楽・アーティスト関連情報ページ
◆クミコ 画像@トーク&コンサート<クミコ×大石静 with 残間里江子「生きること、愛すること、一歩踏み出すこと」>
大震災が発生した時、クミコは石巻で行なわれるコンサートを控え、会場だった石巻市民会館の楽屋にいた。地震発生後、石巻市には津波警報が発令され、クミコもスタッフに誘導されるがまま裏山の採石場へ避難。その後、すぐに津波が押し寄せて会館は水没した。2010年、ニューヨークで開催されたイベント<JAPAN DAY>に参加した際、ステージで着用した思い出の衣装などは現在も会館の地下に残されたままだという(その衣装は、原爆を落とした国で、被爆少女の歌「INORI~祈り~」を唄うという、歌手としての覚悟を決めてステージに立った時に着たドレスだ)。
長年連れ添った奥さんが目の前で津波に流されてしまったというおじいさんをはじめ、命からがら津波から逃げてきた地元の人たちと夜を明かし、そして、歌手でありながら結局ひとつも声を発しないまま、東京へ戻って来てしまったクミコ。そんな彼女のもとに、地元発信の被災地支援音楽イベントへの出演オファーが、主催である石巻赤十字病院の松本医師から届く。震災以降、様々な想いに悩み苦しんだクミコだったが、せっかく声をかけてもらった機会なので、3月11日に届けられなかった歌を届けにいくことを決意したという。
5月30日、サントリーホール ブルーローズで約400人のファンを集めて開催された、新曲「最後の恋」リリース記念 トーク&コンサート<クミコ×大石静 with 残間里江子「生きること、愛すること、一歩踏み出すこと」>。開演前、震災からイベント出演まで、クミコはその想いを語った。
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── 震災から約2ヶ月立ちましたが今の心境は?
クミコ:「2ヶ月間は自分が生きてるか死んでるか分かりませんでした。笑うことも忘れていました。そこからやっと自然に笑うことが出来てきました。それまでは一生懸命笑っている感じがしましたね。とてもそれが疲れていました。今は軽やかに笑えるようになっていて、気がついたら2ヶ月がたっていたというような感じですね。2ヶ月半立ちまして、コンサートでも元のジョークが言えるようになってきましたね。」
── 地震当日の様子は覚えてますか?
クミコ:「これからリハーサルで、地下の楽屋でした。築40年ほどの古い市民会館で、余計に怖かったですね。リハーサルが始まるときに、地下鉄が通ったような振動が急に来まして、みんな固まり、とにかくこの場が早く終わってほしいと祈るばかりでした。壁を見ては、壊れないか怯えたり、地下だったので外に出られなく不安になったり、光が消えないように祈ったりしていました。」
── 津波が来たときは?
クミコ:「表に出た時にはサイレン、アナウンスが鳴ってとてもビックリしました。皆さんが「高山に登って下さい!」と叫んでいて、とても半信半疑でした。しかし、「水が来た!」と誰かが叫び、後ろを振り返ったら車が変な動きをしていて…よく見たら車が浮かんでいたんです。」
── 今度、石巻市でコンサートを行なうと聞きましたが?
クミコ:「コンサートではなくイベントです。石巻市の赤十字病院の松本先生が全国に発信したいと企画をして下さいまして、私のコンサートを一緒に企画してくださった宮城生協の方々も協力してくださって、皆が集ってイベントをしようということになりました。」
── 6月11日はどんな思いを唄いたいですか?
クミコ:「私は歌というものは何もならないと思いました。私なんて価値がないと悩んでいました。でも地元の方からメールが届き、唄いにきてほしいとのことだったのです。唄うことができずに帰ってきたことが心残りだったので、石巻市で歌って喜んで頂かないと自分は再出発できないと思いました。」
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クミコは石巻で唄っておきたい曲があるという。それが、あの日予定されていたコンサートで、新曲として紹介したかった「最後の恋~哀しみのソレアード~」。震災をまたいで、何が恋だ、恋の歌なんか唄えない、そんな想いにずっと悩んだ歌。彼女は、今、この曲を唄うということについて、以下のように心境を告白している。
「震災を機に、本当に大切なもの、自分にとって大事なこととは何だろうかを、改めて考えるようになりました。そしてそんな中、新曲で“恋”をテーマにした歌の制作にかかっていましたが、こんな時期に恋だ愛だなんて歌っていいのだろうかと思い悩みました。しかし、恋や愛は人と人をつなげ、人を奮い立たせる最大のエネルギーであって、生きる力を与えてくれるもの。そう思うと、『最後の恋~哀しみのソレアード~』は単なる恋沙汰の歌ではなく、“命”の歌であると思え、自分が歌ってしかるべきだと思うようになりました。」
3月11日のステージで着るはずだった衣装と同じものを身につけて、6月11日、クミコは石巻市に唄を届ける。
【ライヴ情報】
東日本大震災 被災地支援音楽イベント「Songs from ISHINOMAKI vol.1(仮)」
日時:6月11日(土) 15:00開演
場所:みやぎ生協 蛇田店 店舗の一部を利用し200席を設け開催
住所:宮城県石巻市蛇田字新金沼430-1
◆クミコ オフィシャルサイト
◆東北地方太平洋沖地震にまつわる音楽・アーティスト関連情報ページ
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