【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第21回 「Jesse Colin YoungとRaccoon Recordsとサーフミュージック」
さて『Jesse Colin Young / Together』のUSオリジナル盤のレコードレーベルを見てみましょう。'72年にワーナーから発売されているので、USオリジナルは本来なら以前も色々取り上げた“鴬ワーナー”のはずなのですが、これは違っています。ワーナーのWBロゴは入っていますが、レーベル自体は白地で、アライグマの絵がついています。
これはRaccoon Recordsという、YOUNGBLOODSがRCAからWarner Bros.に移籍したときに立ち上げた自主レーベルのレコードレーベルなのです。自主レーベルとは言ってもワーナーのロゴも入っていますし、著作権に関する記載も“1972-Warner Bros. Records Inc.”となっているので、ワーナー傘下ということなのでしょうか…。その辺の詳しいことはよくわからないのですが、僕の憶測では、ある程度成功を掴んだYOUNGBLOODSが、商業性に振り回されずに自分達のモノサシで音楽を展開していきたいという意思で自主レーベルを立ち上げたのではないか思っています。YOUGNBLOODSの作品やメンバーのソロ作品の他に、発掘したアーティストの作品もこのRaccoon Recordsからリリースしています。力みのない自然体のサウンドがこの作品の大きな魅力であるわけですが、それはもしかしたら自主レーベルだからこそできたことなのかもしれません。
少し話は変わって、僕がこの作品に惹き込まれたもうひとつの理由、それは音質です。ただし、このレコードに関しては、音が太いとか、パンチが効いているとか、そういうことではありません。個々の音も生っぽくて良いのですが、そういうことよりも何よりも、全体の音質としてとにかくカラッと乾いていて、この作品の音楽性にこれ以上ないくらいマッチしているのです。レコードに針を落とし音楽が流れ出した瞬間、そこはもうアメリカ西海岸。憧れのアメリカがそこにあります。こんなに一瞬にして空気を変えてしまうレコードはそうそうないと思います。
西海岸と言っても、EaglesやJackson Brownのようなウエストコースト然としたものではありません。すごくラフなんだけど、ちょっと洒落ている。その洒落た感じというのが、まさに現代のサーフミュージックのそれと同じ。気取ってない。だからすっと空気に馴染んで、一瞬で空気を変えてしまうのかもしれません。
そしてそれがまた心地良くて、ちょくちょく聴きたくなるのです。晴れた休日の午前中なんて最高です。ドライブしながら聴くのも気持ちがいいだろうと思い、CDを買おうかと何度か思ったのですが、この質感をCDではどのくらい再現できているのだろうと考えると、やはりあまり期待が持てず、ついつい二の足を踏んでしまいます。それくらい、このUSオリジナル盤の『Jesse Colin Young / Together』の、音楽性とカラッとしたサウンドのマッチングは他に類を見ないほど気持ちがいいものなのです。
西海岸どころかアメリカにすら行ったことのない僕ですが、このレコードを聴いていると、憧れの良きアメリカが目の前に広がります。声、曲、演奏、そして音質。それらが全部でひとつの風景を作っている。そんな夢を見させてくれる作品が僕は大好きです。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
P.S. Jesse Colin Youngというアーティスト自体、もっともっと評価されるべきだと常々思っています。特にこのアルバムはサーフ系から再評価されてもいいんじゃないかなあ…。
text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます
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D.W.ニコルズオフィシャルmyspaceにてUSTREAMとの連動企画がスタート!
10/7(木)から『DWのUST』が毎週木曜生放送!(予定変更有り)
◆ ◆ ◆
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset
【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”
【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026
これはRaccoon Recordsという、YOUNGBLOODSがRCAからWarner Bros.に移籍したときに立ち上げた自主レーベルのレコードレーベルなのです。自主レーベルとは言ってもワーナーのロゴも入っていますし、著作権に関する記載も“1972-Warner Bros. Records Inc.”となっているので、ワーナー傘下ということなのでしょうか…。その辺の詳しいことはよくわからないのですが、僕の憶測では、ある程度成功を掴んだYOUNGBLOODSが、商業性に振り回されずに自分達のモノサシで音楽を展開していきたいという意思で自主レーベルを立ち上げたのではないか思っています。YOUGNBLOODSの作品やメンバーのソロ作品の他に、発掘したアーティストの作品もこのRaccoon Recordsからリリースしています。力みのない自然体のサウンドがこの作品の大きな魅力であるわけですが、それはもしかしたら自主レーベルだからこそできたことなのかもしれません。
少し話は変わって、僕がこの作品に惹き込まれたもうひとつの理由、それは音質です。ただし、このレコードに関しては、音が太いとか、パンチが効いているとか、そういうことではありません。個々の音も生っぽくて良いのですが、そういうことよりも何よりも、全体の音質としてとにかくカラッと乾いていて、この作品の音楽性にこれ以上ないくらいマッチしているのです。レコードに針を落とし音楽が流れ出した瞬間、そこはもうアメリカ西海岸。憧れのアメリカがそこにあります。こんなに一瞬にして空気を変えてしまうレコードはそうそうないと思います。
西海岸と言っても、EaglesやJackson Brownのようなウエストコースト然としたものではありません。すごくラフなんだけど、ちょっと洒落ている。その洒落た感じというのが、まさに現代のサーフミュージックのそれと同じ。気取ってない。だからすっと空気に馴染んで、一瞬で空気を変えてしまうのかもしれません。
そしてそれがまた心地良くて、ちょくちょく聴きたくなるのです。晴れた休日の午前中なんて最高です。ドライブしながら聴くのも気持ちがいいだろうと思い、CDを買おうかと何度か思ったのですが、この質感をCDではどのくらい再現できているのだろうと考えると、やはりあまり期待が持てず、ついつい二の足を踏んでしまいます。それくらい、このUSオリジナル盤の『Jesse Colin Young / Together』の、音楽性とカラッとしたサウンドのマッチングは他に類を見ないほど気持ちがいいものなのです。
西海岸どころかアメリカにすら行ったことのない僕ですが、このレコードを聴いていると、憧れの良きアメリカが目の前に広がります。声、曲、演奏、そして音質。それらが全部でひとつの風景を作っている。そんな夢を見させてくれる作品が僕は大好きです。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
P.S. Jesse Colin Youngというアーティスト自体、もっともっと評価されるべきだと常々思っています。特にこのアルバムはサーフ系から再評価されてもいいんじゃないかなあ…。
text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます
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D.W.ニコルズオフィシャルmyspaceにてUSTREAMとの連動企画がスタート!
10/7(木)から『DWのUST』が毎週木曜生放送!(予定変更有り)
◆ ◆ ◆
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset
【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”
【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026
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