第一興商の生演奏へのこだわり── 下川一秀 氏(第一興商制作本部 制作部 部長)に訊く

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第一興商の生演奏カラオケのレコーディング現場に潜入したBARKS編集部取材班。カラオケの生音レコーディング現場の最前線で、第一興商 制作本部 制作部部長の下川一秀 氏に色々とお話をうかがうことができた。LIVE DAMが歌いやすい理由や最新のLIVE DAMの内容など、カラオケファン必見のインタビューをぜひご覧いただきたい。

◆第一興商 生音レコーディング現場 画像@キング関口台スタジオ

■ 下川一秀 氏(第一興商制作本部 制作部 部長)インタビュー

── 現在はCDにもオリジナルのカラオケが入っていたりしますが、それとは違う独自のものを生演奏で録り直すのはどうしてですか?

下川氏:オリジナルのカラオケは、あくまでそのプロの歌い手さん用で、必ずしも一般の方が楽しむのに向いていないんです。キーが合わないこともあるだろうし、ガイドメロディーもプロ用には入っていない。そこで、歌いやすいキーに直したり、ガイドメロディーを入れたりして生演奏カラオケを作っているんです。

── 一般向けのカラオケとして新たに制作しているわけですね。

下川氏:そうなんです。そのほかにも、歌い出しのきっかけをわかりやすくするために、ちょっと合図になるものを、たとえばハイハットで入れたり、オリジナルよりリズムを刻むようにしてリズムをわかりやすくしたり。もちろんオリジナルの匂いやイメージを壊さないようにしつつ、歌いやすくなるように作っています。これは第一興商が、パッケージ商品(レーザーディスク、CDカラオケ)としてカラオケを販売していた頃からの伝統なんです。

── どんな曲が生演奏に選ばれているんですか?

下川氏:現在、MIDIではすべての曲を配信しているんですが、生演奏は今のところ50曲くらいですね。新曲で、なおかつ生演奏の音が生きる楽曲から選んでいっています。ジャンル的には演歌が多いですが、普通のポップスもあります。

── MIDIだと簡単にキー変更ができますが、生演奏の場合は?

下川氏:生演奏でも、端末の機械でキー変更することはできるんですが、キーを変えるとMIDIより音質が劣化してしまうんです。ですから生演奏のカラオケは、最初から変えなくてもよい一般向けのキーで制作しています。

── キーやガイドメロディー以外に、カラオケ用にオリジナルから変えているところはありますか?

下川氏:曲によっては微妙にテンポを変えることもありますね。たとえばテンポ80の曲を79にするとか81にするとか。ホントに微妙な違いなんですが、それでちょっと感じが変わったり歌いやすくなったりするんです。
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