【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第19回 新春特別編 「僕らのアナログレコーディング」

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さて、肝心なアナログレコーディングで録った音はというと…正直言って、予想以上でした。

録り終えたベーシックトラックを聴いていて、極端に言えば「これ以上何もいらないな」と思ったほどです。とにかく太い。すべての音に存在感があって、音が立っているんだけれど、なめらか。そして、人間が弾いている、楽器が鳴っている音がちゃんとしているのです。演奏のニュアンスもしっかり伝わってきます。それぞれのパートが、ちゃんとうたっている。“いつも僕たちの演奏している楽器は、本来こんなにも表現力のある楽器なんだ”と、驚きさえしました。

これはアレンジにも大きく影響しました。音を重ねなくても聴き応え十分なのです。むしろ、音を重ねることで台無しになりかねないと思いました。だからオーバーダビングは極力少なく。絶対に必要だと言い切れるもの以外は重ねませんでした。

その結果できあがったものは、手触りのある、温もりのある、ちゃんとでこぼこした人間味溢れるものでした。実際にアナログで録ったのはベーシックトラックと少しのオーバーダビングだけですが、それだけでもこんなに“アナログ感”が出るとは予想していませんでした。

一部分だけアナログで録ることにどれほどの意味があるのか、疑問に思っていたのも事実ですし、「アナログレコーディングを取り入れた」って言えればいいや、くらいに思っていたのも半分本当です。しかし、アナログレコーディングによる影響は音だけではなかったのです。アナログレコーディングを取り入れたことで、レコーディングのやり方自体も変わったし、僕たちのレコーディングに対する意識も変わりました。そしてそれが演奏にも作用し、アレンジにも影響したのです。もちろん、その後のミックスやマスタリング、さらにはジャケットデザイン等にも大きく影響しました。

そう考えると、アナログレコーディングというものがこの作品『ニューレコード』に与えた影響は計り知れません。

デジタル全盛の時代にアナログレコーディングをするということは、予想以上に意義のあることでした。そしてこの作品の制作によって、僕は作り手として絶対に忘れてはならないものをしっかり胸に刻むことができたような気がしていますし、たくさん大切なものを忘れかけていた、ということにも気付かされました。

きっとそれはこれからの音楽活動に大いに生きてくると思います。


text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)

◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます

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「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)

2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset

【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”

【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026

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