ZIGGY、戸城憲夫が語る“唐突な展開”の真相とは?

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往年の名バンドの復活劇が相次ぎ、無邪気に狂喜しながらも「今は本当に21世紀なのか?」と首を傾げたくなることの多々ある今日この頃。正直、なかには戦略ありきのものやブームに乗じたものが目につかないこともない。が、まさか2011年の現在、ZIGGYが復活することになるとは誰も想像していなかったのではないだろうか。

◆ZIGGY画像

実際、去る11月20日に東京・赤坂BLITZで幕を開けたZIGGYのツアーは、その後も快調に転がり続けており、この12月17日、ZEPP TOKYOにて最終公演を迎えることになる。ただし、さきほど安直に“復活”という言葉を用いてしまったが、これはよくありがちなリユニオン・ツアーとはやや趣を異にするもの。1980年代当時のメンバーたちが勢揃いしているわけでもないし、いわゆるアニヴァーサリー的なものでも、ベスト盤とか紙ジャケ盤とか秘蔵映像作品などのリリースに合わせて企画されたものでもない。逆に言うと、そうした具体的な理由が何ひとつ伴っていないのだ。

筆者はこのツアー開始直前のある日、今回の件の首謀者である戸城憲夫(B)を直撃し、話を聞いている。本音をオブラートに包むという習慣のまったくない人物だけに、その言葉をすべてそのままお伝えするわけにはいかない部分もあるのだが、彼はこのツアーを実践することにした動機について、次のように語っている。

「あるとき森重(樹一/Vo)と“今後どうする?”って話をしてたときに“ZIGGYでもやろうか?”ということになって。単純にそういうことなんだよ。声を大にして言っておきたいのは、裏側に事務所の策略とかレコード会社の思惑とかがあるわけじゃないってこと。第一、今の俺たちにはマネージメントもレコード契約もないし(笑)。あと、俺の年齢がついに大台に乗ったからそれを記念してとか、そういう意味合いも全然ない(笑)。ただ、俺はあくまでThe DUST'N'BONEZをメインにしつつも、ときどきTHE SULT BANKSやBAD SiX BABiESとしてのライヴもやってきたじゃん? それと基本的には同じこと。ああいったライヴを通じて感じたのは、自分が過去に作ってきた曲たちを演奏するのに、なんら恥じる必要はないってことなんだよね。いいものだと今でも思えるんなら、胸を張って演奏すればいい。ZIGGYの曲たちも、森重や俺が一生懸命作ってきたもんだしさ。確かにTHE SLUT BANKSやBAD SiX BABiESに比べるとZIGGYは“商業的に成功したバンド”だから、あれこれ詮索されることになりがちだとは思うけども、本当に“やりたくなったから、やってみることにした”というだけのことなんだ。できることの選択肢がこれしかないわけでもないし、誰かから不本意なことを強要されているわけでもない」

今回のツアーに参加しているのはZIGGYの創設者である森重、そして彼と共に作曲面で大きな貢献を果たしてきた戸城、そして宮脇“JOE”知史(Dr)という顔ぶれ。ここに元BEAT CRUSADERSのカトウタロウ(G)がサポート・メンバーとして加わっている。このラインナップに至ったことについて、戸城は次のように説明している。

「特に意図はないんだけども、単純にやりたい曲をやろうとすると、こうなるというか。デビュー当時の4人でやることを望んでる人たちもいるんだろうけど、それだと『暗流』とか『Guilty Vanity』とか、ああいう時代の曲をやるのは似合わねえじゃん? 逆に、初期の曲をやるうえではメンバーを問わない部分もある。あと、当時のZIGGYを再現するうえではキーボードが不可欠な部分もあるんだけど、それはこのバンド本来の姿じゃないと思っているから今回は排除して。そのぶんタロウちゃんは大変だけどね(笑)。実際、ギターを誰にするかって部分では悩んだよ。ギタリスト版ニッキー・シックスみたいなやつがどこかに居りゃいいんだけど(笑)。タロウちゃんとは共通の友人を介して前から面識があったんだけど、話を持ちかけてみたらすごく張り切ってくれて、実際にセッションしてみたらすごく良かった。ZIGGYの場合、ハードなロックンロール・ギタリストは必要だけど、メタル的なギター・ヒーローは要らねえじゃん? そういう意味で彼のさじ加減はホントにちょうどいいというか。想定してた以上に相性が良かったな」

そして実際、11月20日に赤坂BLITZで観たライヴでは、そのカトウタロウの健闘ぶりも印象的だったし、「もしかして、3人組ZIGGY時代の曲しかやらなかったりして?」といった心配性気味の予想を覆す演奏メニューの充実ぶりも素晴らしかった。当日の演奏曲目については別掲の写真をご参照いただきたい。ツアー終了前のネタバレは避けようと思っていたのだが、すでに一部で公表されているし、彼らがまったく同じ演奏内容ばかり繰り返すとも考えにくい。このセットリストをもとに予習(というか復習?)をして臨めば、12月17日、ZEPP TOKYOでのツアー・ファイナルもいっそう楽しめるというものだろう。

そして今、気になるのはこのツアー終了後にZIGGYがどうなるかなのだが、戸城は笑顔できっぱりと「予定はまったくない」と言い切る。

「本当に策略がないんだよ。だからこのツアーのあとには何の予定もない。今後のことは、ツアーが終わったときに自分たちがどう思うか次第だな。すべての可能性を否定するつもりはないけど、同時に何の約束もできない。みんなの声援が大きければ“その気”になるんじゃないかって? んー。今さらそれはねえと思うけど(笑)、ま、声援はデカいに越したことがないよな」

というわけで、12月17日にはZEPP TOKYOに全員集合! 皆さんの歓声や大合唱が彼ら自身の想像を超越するものになったとき、ZIGGYをめぐるストーリーが当事者たち自身も想定していなかったものに変わり得る可能性も、ないわけではない。メンバーたちがそんなことを口にすることはなさそうだから、敢えて僕が勝手にそう言っておきたい。もちろんそこに何ひとつ根拠めいたものなどないけども。

文/撮影 増田勇一

<ZIGGY TOUR 2010>
2010年12月13日(月) 札幌・KRAPS HALL
2010年12月14日(火) 仙台CLUB JUNK BOX
2010年12月17日(金) 東京ZEPP TOKYO
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