[クロスビート編集部員リレー・コラム] 荒野編「ザ・ナーヴス」
クロスビート3月号の年間ベスト・アルバム企画で、タヒチ80のグザヴィエが2009年のベスト10に入れたザ・ナーヴス。パワー・ポップ・ファンの間ではよく知られている70年代末LAのトリオだが、まさかグザヴィエが挙げてくるとは思わず、何ともうれしかった。彼はナーヴスの編集盤『ワン・ウェ イ・チケット』について「ゾンビーズとガイデッド・バイ・ヴォイセズの間を埋めるミッシング・リンク」とコメント。そんな風に考えたことはなかったけど、彼の言わんとすることはわかる気がする。
ナーヴスの曲で最も有名なのは、ギターのジャック・リーが書いてブロンディがヒットさせた「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」だろう。ベースを担当していたピーター・ケイスはプリムソウルズを経てソロに転じ、現在も精力的に活動中。ドラマーだったポール・コリンズは、ザ・ビートのシンガーとして活躍後鳴りを潜めていたが、1990年代に入ってソロ活動を活発化。ルーツ志向のアメリカン・ロックを聴かせていた。
ところがポールの最新ソロ作「King Of Power Pop!」は久々に初心へ返り、表題に偽りなしの痛快なポップ・アルバムに。プロデュースはダートボムズのメンバーで、初期ホワイト・ストライプスを手掛けたジム・ダイアモンドだ。ゲストにニッキー・コルヴェットやロマンティックスのウォーリー・パーマーが参加している点も見逃せない。粒揃いのオリジナル曲に加え、故アレックス・チルトンの名唱で知られる「ザ・レター」やフレイミン・グルーヴィーズなど、カヴァー曲も絶品。いつまでもエッジを失わないジャングリーなギター・ポップに胸躍る。
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