[クロスビート編集部員リレー・コラム] 副編集長播磨編「エヴリシング・エヴリシング」

サマソニでのライヴは人は少なめだったが、観た人は今後自慢出来る場面が出てきてもおかしくない。そんな可能性を持った期待株のデビュー作が締め切りギリギリに飛び込んできた。英BBCが選ぶ2010年の注目新人にも選ばれたエヴリシング・エヴリシング、マンチェスターの4人組。

来日記念EP『スクーリン』では持ち前の鮮烈なサウンドやリズム・センスに加え、クイーンばりの分厚いコーラスなどもあり才気走っていたが、アルバム『Man Alive』はその衝撃を大きく越えるほどのインパクトこそなかったものの（先行シングル「スクーリン」「My KZ Ur BF」の出来がやはり突出している）、デビュー作としてはなかなかの仕上がりだと思う。

タイトでありつつ柔軟に絡み合うドラムとベース。時折訪れる、予想を覆す曲展開。エッジィからソフトまでヴァラエティに富んだシンセ・サウンド。通常のバンドより存在感は控えめだが、曲のスパイスとなるフレーズを紡ぎ出すギター。エキセントリックなトーンを帯びた半分ファルセットなヴォーカルは、風変わりだがポップで耳に飛び込んで来るメロディを歌う。複雑に絡むコーラスも面白い。えらくポップな次の瞬間に、グッとテンションが効いたコードが鳴り響いたりするのも実に新鮮だ。音像がスタイリッシュで洗練されているのも魅力的。こういう音楽をやれるテクニックが彼らにあったということも、とても重要だと思う。注目していきたい。