【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第12回 プロモ盤とオリジナル盤
それではそのUSプロモ盤を見てみましょう。
前回取り上げた『OHIO KNOX』の、REPRISE RECORDSのプロモ盤と酷似しています。というのも、リプリーズはワーナー傘下のレーベルですから、リプリーズのプロモ盤がワーナーのプロモ盤とほとんど同じ、と言うべきでしょう。表ジャケットには前回同様、“WARNER BROS. RADIO STATION SERVICE”、“NOT FOR SALE”、それと曲目と分数の印刷された大きなシールが貼られていて、レコードレーベルは通常オリ盤の“鴬ワーナー”を白黒にしたものに“PROMOTION NOT FOR SALE”と印刷されています。
このアルバム、すでに持っていた通常オリ盤の音がすごくいいので、プロモ盤はどんなに凄いのかとワクワクしながら針を落としました。すると…全体的に軽い。そしてやや細い。パンチがない…。正直言って拍子抜け。まさかのまさかでした…。本当にびっくりしました。プロモ盤の方が音がいいと思い込んでいましたから。オリ盤との差がほとんどない、というのならわかるのですが、まさかプロモ盤の方がはっきりとわかるほど音が細いなんて。こうなってくると、先に買っていた通常オリ盤の方が、このプロモ盤よりもプレスが早いのではないか、という新たな疑問が生まれてきます。
ということでマトリクスをみてみると、
プロモ盤 A面: 39877-1B / B面: 39878-1A
通常オリ盤 A面: 39877-1 / B面: 39878-1
となっていました。5桁の数字は原盤番号のようなもので、A面が39877、B面が39878と決まっているので、問題はその後のハイフンより後ろの部分です。マトリクスに関してはたいした知識がないのであくまでも憶測ですが、この場合のプレスの早さは、1→1A→1Bの順だと思われるので、やはり音の通り、このプロモ盤よりも、先に買っていた通常オリ盤の方がプレスが早いということなのでしょう。(ちなみにA面よりB面の方がマトリクスが早いということはよくあることです)。
ではどうしてこんなことが起きるのでしょうか。販売用の通常盤のプレスが始まってから、プロモ盤をプレスしたということになるわけですが、その理由を現在のCDにおけるサンプル盤の場合(前回参照)に置き換えて考えてみました。
実際の話、プロモーションというのはその作品がリリースされてそれで終わりではなく、リリース後も続いています。つまり、リリース後もサンプル盤は必要になる場面が多々あるのです。もちろんサンプル盤を作るときにはそれを見込んで多めに作っていますが、それでもリリース後に足りなくなって、サンプル盤を追加生産するということがあるのです。
今回の、このパンチのないプロモ盤はそれに当てはまるのではないでしょうか。もちろん通常盤よりも早いプレスで音がいいはずのプロモ盤は存在するはずですが、僕が買ったプロモ盤は通常盤のプレスが始まってから追加でプレスされたプロモ盤。そして僕の通常オリ盤はその追加プレスのプロモ盤よりも前にプレスされたもので、マトリクスからみてもかなり早い時期のプレス。ファーストプレスと言ってもいいくらいだと思います。
だから僕が持っているこの2枚の比較では、通常オリ盤の方がプロモ盤よりも音が明らかに太いのです。
おそらく、今回のこの驚くべき結果はさすがに稀だとは思いますが、プロモ盤だから絶対音がいい、ということはないということです。そして、アナログレコードに関して“絶対”はないのです。うーん、奥が深すぎる…。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
text by:鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます
--------------------------------
【D.W.ニコルズ ライヴ情報】
Que’s birthday presents “Sweet Little Sixteen”
<D.W.ニコルズWAY25~ROUTE9 (おまけつき、対バンなし)~『太陽のこども、立つ。』>
9/25(土)@下北沢CLUBQue
OPEN / START 18:30 / 19:00
TICKET:2,500円(前売)
チケット発売中!
※おまけ…Go To ONENNIVERSARYTOUR Tシャツ♪
お問い合わせ:CLUBQue 03-3412-9979
◆ ◆ ◆
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
待望のメジャー1st フルアルバム
2010年4月7日発売
『ONELBUM』(ワンルバム)
初回盤(DVD付)
AVCH-78012/B/3,000円(tax in)
通常盤
AVCH-78013/2,500円(tax in)
【CD】
01.B.D.K.
02.春風
03.ファミレス
04.SMOKE
05.グリンピースヌーピー
06.熱帯夜
07.太陽
08.サマーレイン
09.波待ちサーファー
10.マイライフストーリー
11.haleiwa
【DVD(初回盤のみ)】
01.マイライフストーリー
02.春風
03.B.D.K.
◆D.W.ニコルズ オフィシャルウェブサイト
◆D.W.ニコルズ MySpace
前回取り上げた『OHIO KNOX』の、REPRISE RECORDSのプロモ盤と酷似しています。というのも、リプリーズはワーナー傘下のレーベルですから、リプリーズのプロモ盤がワーナーのプロモ盤とほとんど同じ、と言うべきでしょう。表ジャケットには前回同様、“WARNER BROS. RADIO STATION SERVICE”、“NOT FOR SALE”、それと曲目と分数の印刷された大きなシールが貼られていて、レコードレーベルは通常オリ盤の“鴬ワーナー”を白黒にしたものに“PROMOTION NOT FOR SALE”と印刷されています。
このアルバム、すでに持っていた通常オリ盤の音がすごくいいので、プロモ盤はどんなに凄いのかとワクワクしながら針を落としました。すると…全体的に軽い。そしてやや細い。パンチがない…。正直言って拍子抜け。まさかのまさかでした…。本当にびっくりしました。プロモ盤の方が音がいいと思い込んでいましたから。オリ盤との差がほとんどない、というのならわかるのですが、まさかプロモ盤の方がはっきりとわかるほど音が細いなんて。こうなってくると、先に買っていた通常オリ盤の方が、このプロモ盤よりもプレスが早いのではないか、という新たな疑問が生まれてきます。
ということでマトリクスをみてみると、
プロモ盤 A面: 39877-1B / B面: 39878-1A
通常オリ盤 A面: 39877-1 / B面: 39878-1
となっていました。5桁の数字は原盤番号のようなもので、A面が39877、B面が39878と決まっているので、問題はその後のハイフンより後ろの部分です。マトリクスに関してはたいした知識がないのであくまでも憶測ですが、この場合のプレスの早さは、1→1A→1Bの順だと思われるので、やはり音の通り、このプロモ盤よりも、先に買っていた通常オリ盤の方がプレスが早いということなのでしょう。(ちなみにA面よりB面の方がマトリクスが早いということはよくあることです)。
ではどうしてこんなことが起きるのでしょうか。販売用の通常盤のプレスが始まってから、プロモ盤をプレスしたということになるわけですが、その理由を現在のCDにおけるサンプル盤の場合(前回参照)に置き換えて考えてみました。
実際の話、プロモーションというのはその作品がリリースされてそれで終わりではなく、リリース後も続いています。つまり、リリース後もサンプル盤は必要になる場面が多々あるのです。もちろんサンプル盤を作るときにはそれを見込んで多めに作っていますが、それでもリリース後に足りなくなって、サンプル盤を追加生産するということがあるのです。
今回の、このパンチのないプロモ盤はそれに当てはまるのではないでしょうか。もちろん通常盤よりも早いプレスで音がいいはずのプロモ盤は存在するはずですが、僕が買ったプロモ盤は通常盤のプレスが始まってから追加でプレスされたプロモ盤。そして僕の通常オリ盤はその追加プレスのプロモ盤よりも前にプレスされたもので、マトリクスからみてもかなり早い時期のプレス。ファーストプレスと言ってもいいくらいだと思います。
だから僕が持っているこの2枚の比較では、通常オリ盤の方がプロモ盤よりも音が明らかに太いのです。
おそらく、今回のこの驚くべき結果はさすがに稀だとは思いますが、プロモ盤だから絶対音がいい、ということはないということです。そして、アナログレコードに関して“絶対”はないのです。うーん、奥が深すぎる…。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
text by:鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます
--------------------------------
【D.W.ニコルズ ライヴ情報】
Que’s birthday presents “Sweet Little Sixteen”
<D.W.ニコルズWAY25~ROUTE9 (おまけつき、対バンなし)~『太陽のこども、立つ。』>
9/25(土)@下北沢CLUBQue
OPEN / START 18:30 / 19:00
TICKET:2,500円(前売)
チケット発売中!
※おまけ…Go To ONENNIVERSARYTOUR Tシャツ♪
お問い合わせ:CLUBQue 03-3412-9979
◆ ◆ ◆
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
待望のメジャー1st フルアルバム
2010年4月7日発売
『ONELBUM』(ワンルバム)
初回盤(DVD付)
AVCH-78012/B/3,000円(tax in)
通常盤
AVCH-78013/2,500円(tax in)
【CD】
01.B.D.K.
02.春風
03.ファミレス
04.SMOKE
05.グリンピースヌーピー
06.熱帯夜
07.太陽
08.サマーレイン
09.波待ちサーファー
10.マイライフストーリー
11.haleiwa
【DVD(初回盤のみ)】
01.マイライフストーリー
02.春風
03.B.D.K.
◆D.W.ニコルズ オフィシャルウェブサイト
◆D.W.ニコルズ MySpace
この記事の関連情報
<下北沢にて'23>第4弾出演アーティスト発表、<TENJIN ONTAQ>コラボステージも
D.W.ニコルズ、4年ぶりの新作『EVERGREEN』を8月8日にリリース
D.W.ニコルズ、C.W.ニコルの森で制作した楽曲をリマスター配信
D.W.ニコルズ、2020年春までの活動休止を発表
『DI:GA ONLINE』にて、アーティスト直筆年賀状プレゼント企画実施中。ZIGZO、Psycho le Cému、メトロノーム、神宿、Rayflowerら参加
春フェス<Rocks ForChile>、最終発表にCaravan、SHE'S、D.W.ニコルズ、林青空、DJダイノジ
【ライブレポート】D.W.ニコルズ、大合唱に包まれた初の野外ワンマン
【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】第41回『オリ盤から感じる風景と匂い〜RY COODERの名盤から〜』
『DI:GA ONLINE』にてMISIA、降谷建志、Chantyらのグッズが当たる