lego big morl、様々な音楽を貪欲に吸収した新たな姿が映し出された2ndフルアルバム『Mother ship』特集

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lego big morl 2ndフルアルバム『Mother ship』2010.9.1 リリース

新たな高みを目指して約1年をかけ自らのスタイルを見つめ直した渾身の力作がここに誕生

INTERVIEW

――さて、アルバムに話を戻すと、今回はプロデュースが小林武史さん。やってみてどうでした?

カナタ:小林さんは空間を把握してるって感じなんです、曲の中の空間。それをどう扱うかをよく知ってるんですね。それでいてちゃんとロックしていて、奇抜っぽいこともやる。構成とかアレンジをいじるってことではないんですけど、たとえばシングルにもなってる「バランス」という曲にパッド系シンセを入れたり。この曲にそういうの入れるんだ、ってちょっとびっくりしましたね。他の曲でも、曲に対して僕ら4人が思ってたことをさらにふくらましてくれる感じでした。小林さんのおかげで、全曲いい感じに変わってくれたと思ってます。

――その「バランス」は、スピーディで勢いのあるリズムに、ゆったりと力の抜けたヴォーカルのメロディが乗ってるのがすごく印象的です。

カナタ:あのヴォーカルは難しかったです。曲を作る段階からイメージはできていて、ドラムのリズムとかベースパターンとか、ああいう淡々とした感じ、というのは最初から考えていたんです。でもレコーディングになったらヴォーカルは難しかった。はっきり歌いすぎるとよくない感じもしたし、口の開け方とか微妙なところでニュアンスも変わってくるので、かなり気を使って歌いましたね。

ヤマモト:僕もあの曲特有のアンニュイな感じというか、それでいて淡々としながらも行くとこは行く、みたいなところが難しかった。ベースの音色とかピッキングとか細かいニュアンスにもこだわって弾きました。あまり前に出ない感じでやりたかったんです。

アサカワ:ドラムは音色や叩き方も意識しましたね。この曲は8ビートをずっと刻んでる感じなんで、ニュアンス的にも流れるように叩きたかった。それで叩き方も、あまり強く叩かないようにしました。レコーディングのときにはドラムセットも変えたんです。普段使ってたセットは音がけっこうドスッと出る感じだったんで。

タナカ:ギターは淡々と弾きたいなというのが一番で。一語一句はっきりわからなくても、なんか感じてもらえればいい、みたいな感じでやってました。この曲は最近ライヴでもやってるんですけど、キンタがはっきり歌ってもそうでなくても、お客さんにちゃんと伝わってるなっていうのがわかるようになってきましたね。

――この曲はシングルカットされてるし、アルバムの中でもある意味ハイライトになる曲だと思うけど、それを13曲中の12曲目という最後のほうに収録したのは?

タナカ:確かにシングルだったらもっと前のほうがいいかな、って最初は思ってたんですけど、こうすると11曲目から最後の13曲目までの流れに意味が出てくるな、と思って。

ヤマモト:シングルに決まる前からこの曲順だったしね。アルバムの構成として、最後に「大きな木」が来てそこでひとつになる、みたいな感じがいいと思ったし、その前に「バランス」があるとうまくつながるんで。

――全体の曲順もすごくいいですね。かなり練り込んで決めたのでは?

カナタ:そうですね。まあ小林さんも含め、うーん…、というかまあ、ちゃちゃっと決まりました(笑)。

タナカ:考えたけど、たくさん案があったわけじゃなくて。みんなこんな感じがいいと思ってたから。ただ小林さんの案で1曲目が「カーラ」っていうのだけは、その時はよくわからなかったけど(笑)。でもそれも結果的にはよかったですね。僕らが変わったっていうのをアルバムの最初で示すことができてる気がします。

――lego big morlらしい凝った曲からファンキーな曲までバラエティに富んでるけど、「バランス」のほかにもう1曲、このアルバムを代表する曲を挙げるとすると?

カナタ:「space dive」ですね。この曲ができたときに、このアルバムの方向性がはっきり決まった気がします。一番バンドサウンドやと思うし、今の僕らをもっとも表してる曲だと思います。

――色々な曲調に挑戦したわけですが、曲作りやレコーディングで難航した曲もありましたか?

タナカ:「パーティピーポー」は難しかったですね。たぶんこのアルバムの中でフレーズとかリズムが一番難しいんで、やる前はビビってたんです。でもレコーディングに入ったら意外に早く終わりましたね。

――こういうすごくファンキーな曲は、ドラムとベースは楽しかったのでは?

アサカワ&ヤマモト:……いやぁー(笑)。

アサカワ:難しかったですね。このノリを出すのは。

ヤマモト:これは前からあった曲なんで、楽しんで弾けたといえば弾けたんですけど、こういう曲はグルーヴが一番大事なんで、それが難しかったですね。練習がちょっと足りなかったかな(笑)。ブラスが入ったりとか、今までにないファンキーな曲調で、新しいところにたどりつけた曲だと思ってるんで、どうしてもアルバムに入れたいと4人とも思ってたんです。

――今回もDVD付きバージョンがありますが、DVDの内容を教えてください。

ヤマモト:基本的には去年の<Quartette Paradeツアー>のライヴ映像がメインで、そのほかにこの1年間のライヴと曲作りの映像をドキュメント風に。この7月にやったイベントの映像もあるので、ライヴもこんなふうに変わってきたっていうのを見てもらえると思います。

――ライヴといえば、今年後半もツアーの予定がぎっしりですね。

アサカワ:前のツアーを超えるツアーをやりたいですね。このアルバムを聴いてライヴハウスに来てもらうと、ライブでは違う印象を感じてもらえると思うので、そのへんも楽しみにしていただいて。

ヤマモト:今回は初めて行くところも多いので。ツアーに関係なく、人生で初めて行くところもあるので楽しみです。

――フェスに出るという結成当初の目標は軽くクリアしちゃいました。では次の目標は?

タナカ:武道館でやりたいです! 去年2回くらい行ったんですけど、やっぱりほかのホールとは違う何かが武道館にはありますね。みんなが“武道館、武道館”って言ってるのがわかったような気がしました。

――では、それぞれ個人的な目標を。

ヤマモト:“個人的なバンドの目標”でもいいですか。去年フェスにはたくさん出していただいたのでこれからも2回目、3回目と出してもらえるようになるのが重要だと思ってるんです。だから今後もフェスに呼ばれるようになりたいです。

タナカ:個人的なことだと、僕は引っ越したい(笑)。今の部屋に不満があるわけじゃないけど、もうすぐ更新なんで。

ヤマモト:引っ越さなアカンだけやそれは(笑)。

カナタ:僕は、カッコよく言うならば、自分を超えたい。このアルバムを早く超えたいです。

アサカワ:唯一無二のドラマーになりたいです。自分のスタイルをまだ見つけられていない気がするんです。大御所のドラマーさんとか、プレイを聴いただけで誰だかわかるでしょう。そういうスタイルを早く見つけたいです。

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