DAZZLE VISIONは、J-POPなのかスクリーモなのか、デスなのか
最近の音楽業界では、ジャンルを決めにくい作品が増えてきているようだ。
◆DAZZLE VISION画像&PV映像
例えば、今までビジュアル系と呼ばれていたアーティストも、そのメイクを薄め、逆にサウンドはよりヘヴィーに傾倒し、いつしかネオ・ビジュアルと呼ばれるようになっていたり…。
細かい言葉の成り立ちやニュアンスを理解しているコアリスナーにとって、情報共有のための細かいジャンル分類は非常に便利であり、多くの音楽ファンはジャンルの有用性を実感しているだろう。ただ、それがひとたび一般社会に出てしまうとたちが悪い。
エモ、コア、ハードコア、エモコア、メロコア…もう、なんだか分からない。音楽の傾向、音楽のルーツ、バンドの精神性など、単語の意味する微妙なレイヤーの違いも混乱をきたす要因となっている。「エモは、メロディを重視するんですよ」「え?音楽でメロディを重視しないことがあるんですか?」…もうこの時点で、会話が成立しないのである。
一定のジャンルの中で、それぞれが個性を際立たせ、よりクリエイティブを発揮していくことから、ジャンルの中に亜ジャンルが発生し、それが一勢力となった時に新たなジャンルは生まれる。そう考えていけば、先日インディーズとしてアメリカで4,000人の観衆の中デビューを果たしたDAZZLE VISIONは、まさに新たなジャンルが生まれていく過程のど真ん中に位置しているバンドのひとつだ。
金髪ギャルのアー写だけを見れば、いわゆるギャルバンであり、その黒衣装から想像するにゴシック系のビジュアルバンドなんだろうと思う。事実、大手レンタル店では、乙女の祈り的なポーズで白衣装にカチューシャをかけたVo.Maikoが、しっかりと「ビジュアル」コーナーに面出しで並んでいたものだ。
とはいえ、BARKSでも「2009年最も観られた動画ランキング」で上位に入った「HERE」という楽曲は、レーベル・サイドは“J-POPである”と主張する。もちろんいわゆる一般的なJ-POPよりもずいぶんとヘビーな作風だが。そして、実際タワーレコードではJ-Popにカテゴライズされ、HMVでもジャパニーズポップスとして紹介されている。そしてamazonではなんとフォーク・ニューミュージックとロックにジャンル分けされているという状況だ。
そう、視点によってカテゴライズが変わる…つまりせっかくのジャンル自体がうまく機能していないのだ。
ジャンルで音楽を絞る簡易さとの背中合わせに、出会いや遭遇の場を殺いでしまう危険性を多分にはらんでいるのが、現在の音楽カテゴリー付けの実態だ。ヘビーユーザーとライトユーザーでは求める情報の粒度が決定的に違うにもかかわらず、その点が加味されぬまま、ジャンルの言葉だけが同じ土壌に広げられているのが問題なのだ。音楽との出会いを簡便化するためのジャンルが、ライトユーザーであればあるほど「未来のお気に入り」に出会えにくい状況生み出してしまうのは、なんとも皮肉としかいいようがない。
さて、スクリーモポップと形容されることの多いDAZZLE VISION、彼らの最新作「VISION」のPV映像がある。はたしてこれはなんでしょう。さて、あなたにとってDAZZLE VISIONは? もう、ジャンルなんか、不要じゃないですか?
◆DAZZLE VISION「VISION」映像
◆DAZZLE VISION「HERE」映像
◆DAZZLE VISIONオフィシャルサイト
◆DAZZLE VISIONオフィシャル・ブログ
◆DAZZLE VISIONマイスペース
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